重賞の壁を乗り越えられるか 岩田望来騎手の「買える条件・買えない条件」

東大ホースメンクラブ

岩田望来騎手に関するデータ,ⒸSPAIA

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キャリア4年目のサラブレッド

今週日曜、新潟競馬場でGⅢ関屋記念が行われる。注目はなんといってもイルーシヴパンサー。東京新聞杯での強烈な勝ちっぷりから安田記念で1番人気に推されたほどの素質馬であり、サマーマイルシリーズを足掛かりに秋GⅠで再び輝きを放ちたいところだ。

同馬の鞍上を務めるのは岩田望来騎手。同じくジョッキーとして長く活躍する岩田康誠騎手を父に持つサラブレッドだ。今週は過去のデータを紐解きながら、岩田望来騎手の「買える条件・買えない条件」を調査していく。

岩田望来騎手 デビュー以来の騎乗成績,ⒸSPAIA


<岩田望来騎手 デビュー以来の騎乗成績>
2019年【37-27-38-418】勝率7.1%/連対率12.3%/複勝率19.6%
2020年【76-67-72-577】勝率9.6%/連対率18.1%/複勝率27.1%
2021年【88-110-102-589】勝率9.9%/連対率22.3%/複勝率33.7%
2022年【71-50-46-375】勝率13.1%/連対率22.3%/複勝率30.8%
※8月7日時点

まずは岩田望来騎手のここまでのキャリアを振り返る。

2019年にデビュー。菅原明良騎手、斎藤新騎手、団野大成騎手などが同期にあたる。3月末に初勝利を挙げると大きなスランプなく勝ち鞍を積み重ね、斎藤新騎手に次ぐ37勝を挙げる上々のルーキーイヤーとなった。

2年目はさらに飛躍して76勝。関西のホープとして地歩を固めたものの、オープンクラス以上での勝利はゼロと上級条件での課題も見える一年に。3年目は88勝と数字を伸ばし、オープンクラスでも5勝と悪くない結果ながら、重賞は51度騎乗して未勝利だった。

岩田望来騎手が待望の重賞初制覇を飾るのは今年の2月、京都牝馬S。関屋記念覇者ロータスランドの手綱を取り、番手から押し切る強い内容でゴールを駆け抜けた。98回目の挑戦でついにタイトルをゲット。同馬とのコンビでは次走のGⅠ高松宮記念でも勝ち馬ナランフレグとタイム差なしの2着に食い込み、ビッグレースでの存在感も少しずつ増してきている。今年は現時点で71勝、自己初の年間100勝が目前に迫る。

藤原英昭厩舎とのタッグが吉

岩田望来騎手を「買える条件」,ⒸSPAIA


<岩田望来騎手を「買える条件」>
藤原英昭厩舎×継続騎乗【23-19-7-76】勝率18.4%/連対率33.6%/複勝率39.2%
中京競馬場【81-70-53-428】勝率12.8%/連対率23.9%/複勝率32.3%
ゴドルフィン所有馬【16-15-14-67】勝率14.3%/連対率27.7%/複勝率40.2%

まず回収率の高い「買える条件」についてチェックする。

厩舎別では所属する藤原英昭調教師とのコンビで安定感がある。特に継続騎乗でうまみがあり、4割に迫る複勝率かつ単勝回収率97%・複勝回収率99%と妙味も十分。特に今年は【7-8-2-11】複勝率60.7%。見かけたら馬券を仕込みたい。

関西所属とあって、ホームグラウンドといっていい中京競馬場での成績が上々。通算8度しか騎乗のない札幌を除く9場の中で最高の勝率を誇り、2020年以降では2割超えの連対率を継続中だ。特によいのは芝1600m【8-13-10-39】複勝率44.3%、ダート1400m戦でも単複回収率が110%を上回っていて魅力的だ。

馬主別ではゴドルフィン所有馬で結果を残している。乗り替わりで4割台の複勝率を残し、単勝回収率132%・複勝回収率111%と跳ね上がる。また、乗り替わり有無問わず芝レースでは【9-9-6-32】複勝率42.9%、単勝回収率151%と素晴らしい。

メインレースで消しも一つの手

岩田望来騎手を「買えない条件」,ⒸSPAIA


<岩田望来騎手を「買えない条件」>
重賞【2-7-6-107】勝率1.6%/連対率7.4%/複勝率12.3%
11R【12-18-19-189】勝率5.0%/連対率12.6%/複勝率20.6%

次に「買えない条件」をピックアップ。

前述のロータスランド(京都牝馬S)に続き、京都新聞杯もアスクワイルドモアで制しているものの、まだ重賞では信頼感に欠けるのが事実。継続騎乗では【0-5-4-43】とまだ勝利がなく、覚えておきたいデータだ。

これとダブるが、(一部例外除き)メインレースにあたる「11R」というくくりでも厳しい。全レース番号の中で最も複勝率が低く、今年もアスクワイルドモアの京都新聞杯以降連対がない。人気を背負うケースも少なくないため、馬券の妙味を求めて消すのも一つの手だ。

岩田望来騎手を「買える・買えない条件」,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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