【レパードS】カフジオクタゴンのスタミナから見えるメジロの歴史 厳しい展開で2着したタイセイドレフォンの今後にも期待

勝木淳

2022年レパードS回顧,ⒸSPAIA

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序盤600m35.4

レパードSは今年で14回目。今年は過去13回に劣らないタフな競馬になった。その目安が前半600m。今年は35.4と序盤の入りが速かった。過去13回で前半600mが35.5を下回ったのは3回。10年ミラクルレジェンド、11年ボレアス、19年ハヤヤッコ。最速は19年の34.6。この年は今も快速でならすハヤブサナンデクンが飛ばした。35.4は10年と同じ。芝内回りのさらに内側にあるダートはコーナーがきつく、圧倒的に先行有利。しかし序盤から突っ込んで入り、35.5を切ると、差し追い込みの台頭を招く。今年勝ったのはカフジオクタゴン。前走2勝クラスを阪神ダート2000mで勝ちあがった持久力型だ。

もっともタフな流れを制したハヤヤッコは今年、道悪で消耗戦になった函館記念を勝利。カフジオクタゴンも父はモーリス、ダート専用とは限らない。そのスタミナの源は血統表にある。母メジロマリアンの父は6月にこの世を去ったメジロベイリー。メジロ牧場最後のGⅠ馬だ。カフジオクタゴンの祖母にあたるメジロサンドラは芝2500m以上で活躍、その父はメジロ牧場を代表する往年の名ステイヤーメジロマックイーン。当然、カフジオクタゴンの血統表にはメジロティターン、メジロアサマの名がある。

さらに父モーリスもメジロの血を継ぐ。母メジロフランシスの母メジロモントレーは重賞4勝。このうち3勝は牡馬相手の中距離戦。90年アルゼンチン共和国杯勝ち。以降、このレースでは牝馬の優勝馬は出ていない。アルゼンチン共和国杯はモーリスの父スクリーンヒーローが08年格上挑戦で制したレース。カフジオクタゴンはレパードSでそのスタミナを証明。残り400m12.6-12.6と力をふり絞る場面でのタイセイドレフォンとの競り合いで見せた強さは見事。血のなせる業だった。

これが来日2勝目にしてJRA重賞初制覇となったチャクイウ・ホー騎手。「ダートはちょっと」なんて初勝利時にコメントしていたが、早くも対応した。スタミナを削がれる流れを前半は内目でやり過ごし、勝負所で強引に動いた。カフジオクタゴンはスタミナ型の分、エンジンのかかりが遅い。この強引さも手が合った。陣営の騎手手配も勝因だろう。

勝ちに等しかったタイセイドレフォン

前半1000m通過1.00.5から残り800mは13.0-13.2-12.6-12.6。道中はどの馬も追っつけながら追走する厳しい流れだった。ならば2着タイセイドレフォンは最後にカフジオクタゴンに屈したとはいえ、立派。6番手から3、4コーナーで3番手まで動く積極策で一旦先頭は力がなければできない。上位はみんな差し追い込み勢。平均ペースなら、この馬が勝っていておかしくなかった。ダート中距離戦線での活躍は約束されたといっていい。

3着はハピ。大井のJDDで外を回って差を詰めた末脚をここでも発揮。4コーナーでカフジオクタゴンに弾かれる形になったのは痛かった。流れが向いたとはいえ、新潟ダート1800mは簡単に差せる舞台ではない。力はある。勝利までとなると、やはりもう少し序盤から動けるようになりたい。

先行勢に厳しい展開だったので、当然次走での巻き返しを期待したい馬も多い。逃げた9着ヘラルドバローズ、2番手から8着メイショウユズルハはこの流れで大敗しなかった。自己条件ですんなり先行ならあっさり通過だろう。


2022年レパードS回顧展開,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。

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