【エルムS】休み明け18キロ増の前走2着 叩いた上積み大きいウェルドーン

坂上明大

2022年エルムS参考レース,ⒸSPAIA

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レースぶりに進境あり

昨年は函館競馬場で行われたエルムSだが、今年は札幌競馬場に舞台を戻しての開催。1周距離に大差はないが、函館に比べてコーナー角度が緩いため昨年よりも末脚の重要度が高まりそうだ。函館ダ1700m戦に使ってきた馬が多いだけに、まずは参考レースのバイアスや各馬の適性を精査していきたい。

【大沼S】
木~金曜に降雨があり土曜は重馬場での開催だったが、日曜は含水率が下がって時計は稍速い程度。レースはロードエクレールがマイペースで運んで前後半3F36.4-36.5。10頭立てで馬群は捌きやすかったが、コースなりに内前有利と評価する。

1着馬アイオライトは好位のインで脚をタメたが、4角では外に張り気味でスピードに乗れず。それでも、ラスト1Fはメンバー中最速のラップを刻んで5勝目を挙げた。近走は逃げにこだわってペースに苦しんだが、今回は控える競馬でガラリ一変。展開が向いた面もあるが、レース内容の良化には一定の評価を与えたい。コーナーがゆるやかな札幌に替わる点も魅力だろう。

3着馬ロードエクレールは気分良く逃げられてはいたが、ラスト1Fで大きく失速。馬体重12キロ増で久々を感じさせる負け方であった。

多頭数で内前有利に

【マリーンS】
メインレース直前から小雨が降り出したが、馬場には影響せず時計は標準程度。レースはロードエクレールが先手を主張し、前後半3F36.5-37.1。大沼Sより速いペースを刻んだが、14頭立てで馬群が捌きにくくなった分、内前有利のバイアスは大沼Sより強まった感がある。

1着馬フルデプスリーダーは2枠2番から好位のインにつけ、ゴール直前で先行馬2頭を差し切った。不器用な馬だけに小回りコースでは先行策が好走条件。今回は展開も味方につけた形ではあるが、後方から大外を回った大沼Sとは一変して見せた。

2着馬ウェルドーンはロードエクレールをぴったりマークし、直線に向いて同馬をスムーズにパスしたが、ゴール直前でフルデプスリーダーにハナ差差し切られてしまった。ただ、本馬は18キロ増で過去最高馬体重と余裕残しの仕上げ。力関係としては本馬が上と見る。

3着馬ロードエクレールは叩き2戦目で馬体重8キロ減。結果は大沼Sと同じ3着だが、ペースを考慮すれば叩いての上積みは十分にあっただろう。今回も展開のカギを握る一頭だ。

4着馬オメガレインボーは中団馬群で脚をタメ、3~4角から外々を回ってスパート開始。4着まで追い上げるのがやっとだったが、斤量56.5キロと展開不利を考慮すれば上位馬との力差はほぼなさそうだ。

メンバー中上がり3F3位以内の末脚を使ったダンツキャッスル、ブラックアーメット、バティスティーニは展開が向かず。特にダンツキャッスルはコーナーで大きく外に膨らんでおり、札幌競馬場に替わる点は大きな魅力だ。

激しい先行争いで波乱

2022年エルムステークスの参考レース,ⒸSPAIA



【プロキオンS】
メイショウウズマサが好スタートを切ったが、内のエアアルマスが先手を主張。さらに、ペースが落ち着きそうになった2角ではトップウイナーがマクリにかかり、向正面で再度ペースアップする形に。前後半3Fは35.3-38.0の前傾2.7秒。先行勢にはかなり厳しい展開で、後有利と評価。

2着馬ヒストリーメイカー、4着馬ロードレガリスはともに後方待機策からの追い込み。展開に恵まれた感は否めない。ただ、ヒストリーメイカーは外々を回っての競馬であり、2頭での比較はヒストリーメイカーが上とみる。

関東オークス馬久々の勝利へ

最重要ステップレースであるマリーンSからは2着馬ウェルドーンに注目。叩いての上積みは大きく、コーナーのゆるやかな札幌替わりもプラスだ。素晴らしい瞬発力を見せたダンツキャッスルの巻き返しにも期待。地力上位のスワーヴアラミスはGⅠ後で状態面には要注意だが、当然好走圏内の一頭だろう。

注目馬:ウェルドーン、ダンツキャッスル、スワーヴアラミス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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