【宝塚記念】内枠、逃げ・先行が有利なコース 東大HCが阪神芝2200mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

阪神芝2200mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週末は阪神競馬場で上半期の総決算・GⅠ宝塚記念が開催される。前走でドバイシーマクラシックを圧勝し、GⅠ・4連勝に挑むイクイノックスが大本命。他にも、今年の天皇賞(春)を制したジャスティンパレスや、昨年のエリザベス女王杯を勝利したジェラルディーナなど、GⅠ馬8頭を含むグランプリにふさわしい豪華メンバーが集結した。

阪神芝2200mは正面のポケット地点からスタート。直線に入っていきなり高低差2m近い急坂を通過し、1コーナーへ。ここから3コーナーにかかるまでの長い平坦な道のりを進んでいく。3コーナーから最後の直線半ばまではだらだらと下りが続き、ゴールまで200mの地点で2度目の急坂を駆け上がる。

当該コースの重賞はGⅠ宝塚記念のみだ。データは2013年6月23日~2023年6月11日の期間でとっている。


基本的には内枠、前が優勢

阪神芝2200m・過去10年の枠別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・過去10年の枠別成績>
1枠【5-16-14-100】勝率3.7%/連対率15.6%/複勝率25.9%
2枠【18-14-12-96】勝率12.9%/連対率22.9%/複勝率31.4%
3枠【13-14-12-107】勝率8.9%/連対率18.5%/複勝率26.7%
4枠【14-10-8-122】勝率9.1%/連対率15.6%/複勝率20.8%
5枠【16-18-7-127】勝率9.5%/連対率20.2%/複勝率24.4%
6枠【10-10-19-141】勝率5.6%/連対率11.1%/複勝率21.7%
7枠【14-15-20-157】勝率6.8%/連対率14.1%/複勝率23.8%
8枠【18-12-15-167】勝率8.5%/連対率14.2%/複勝率21.2%

1枠の勝率3.7%は低いものの、コーナーがタイトな内回りコースらしく、基本的には内枠有利。特に2枠は単勝回収率115%とプラス域をマークしている。また、1、2枠を引いた馬のうち、前走先行した馬は【11-10-9-40】複勝率42.9%と、馬券における信頼度も高い。

しかし宝塚記念だけは傾向が異なる。過去10年で8枠が【7-0-2-14】勝率30.4%とずば抜けて良い。今年は昨年や一昨年と違い、ある程度馬場が荒れる開催4週目。外枠有利の傾向が戻ってくると考えていいだろう。5番人気以内の馬が8枠に入った場合の成績は、【5-0-1-5】で勝率45.5%、単回収率219%を記録。単系馬券は桃色帽の人気馬から仕込むのも手だ。

阪神芝2200m・過去10年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・過去10年の脚質別成績>
逃げ【14-16-10-71】勝率12.6%/連対率27.0%/複勝率36.0%
先行【52-41-43-235】勝率14.0%/連対率25.1%/複勝率36.7%
差し【32-35-35-352】勝率7.0%/連対率14.8%/複勝率22.5%
追込【7-14-16-346】勝率1.8%/連対率5.5%/複勝率9.7%

セオリー通り、逃げ・先行有利は揺るがない。前走4角3番手以内の馬を全て買うだけでも単回収率113%、複回収率101%と黒字域。迷ったらより前につけられる馬を狙いたい。

また、過去10年の宝塚記念で上がり3F最速をマークした馬は【6-5-0-0】連対率100%。上級クラスらしい淀みないペースと加速しやすい下り坂のコース形態などがあいまって、極端な数値が出ている。


ディープインパクト産駒、川田将雅騎手が盤石

阪神芝2200m・過去10年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・過去10年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【17-14-14-117】勝率10.5%/連対率19.1%/複勝率27.8%
キングカメハメハ【12-10-10-67】勝率12.1%/連対率22.2%/複勝率32.3%
キズナ【5-3-2-24】勝率14.7%/連対率23.5%/複勝率29.4%
キタサンブラック【0-0-1-3】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率25.0%

種牡馬別成績では、ディープインパクトが圧倒的に出走数が多く、勝ち鞍も積み重ねている。過去10年の宝塚記念では、8頭の同産駒が馬券圏内に入り、そのうち6頭が前走上がり4位以下。キレで勝負というよりも長くいい脚を使うタイプが有力で、アスクビクターモアはその典型と言っていいだろう。

そのディープインパクトを父に持つキズナ。こちらは10番人気のアカイイト、7番人気のステラリアで決着した一昨年のエリザベス女王杯からも分かる通り、コース適性は抜群。単回収率も289%を記録している。ディープボンドは昨年4着の雪辱を果たし、今度こそ悲願のGⅠ制覇なるか。

圧倒的1番人気が想定されるイクイノックスの父キタサンブラックの産駒は未勝利。しかし、サンプルが4例と非常に少ないこと、このコースで重賞に出走するのは今回が初めてであることを鑑みると、度外視できる。

その他、キングカメハメハ産駒は単回収率114%を記録している。宝塚記念でも過去にミッキーロケット(7番人気1着)やラブリーデイ(6番人気1着)が穴をあけている。今年の該当馬はラブリーデイの全弟ボッケリーニ。鳴尾記念を制した勢いそのままに、8年前の兄の再現なるか注目だ。

阪神芝2200m・過去10年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・過去10年の騎手別成績>
川田将雅【14-5-6-30】勝率25.5%/連対率34.5%/複勝率45.5%
武豊【13-8-5-29】勝率23.6%/連対率38.2%/複勝率47.3%
M.デムーロ【5-4-11-17】勝率13.5%/連対率24.3%/複勝率54.1%
C.ルメール【5-2-1-21】勝率17.2%/連対率24.1%/複勝率27.6%

騎手別成績では川田将雅騎手が14勝でトップ。25.5%と高い勝率を記録しつつ、単回収率も114%。安定感がありながら、妙味もある。騎乗馬のほとんどが上位人気だが、6~10番人気の馬に騎乗した際も、【2-1-0-8】単回収率229%としっかり結果を出している。今回はブレークアップに騎乗するが、阪神大賞典3着、天皇賞(春)4着の実力馬。距離が短いという懸念点はあるが、川田騎手の手腕に期待だ。

最も安定しているのはM.デムーロ騎手。過半数を好走させている点は特筆に値する。GⅠでも【1-2-2-5】複回収率221%。今回はライラックに騎乗予定だ。

レジェンド武豊騎手も勝率23.6%、連対率38.2%とハイアベレージを記録している。宝塚記念ではC.デムーロ騎手からの乗り替わりで、ジェラルディーナに騎乗予定。このコースで差し馬に騎乗した際は8勝、単回収率225%。末脚を生かすことに長けており、新コンビに期待したい。

イクイノックスに騎乗予定のC.ルメール騎手は、このコースでは複勝率が3割を下回っている。宝塚記念を制したのも21年クロノジェネシスの1回のみで、逆らう余地があるとすればここか。

その他、ドゥラエレーデに騎乗予定の幸英明騎手が【6-3-3-49】単回収率382%と妙味十分。3歳馬の出走は11年ぶりであり、非常に不気味な存在だ。

阪神芝2200mのコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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