【日本ダービー】皐月賞のトラックバイアスに要注意! 4着ダノンベルーガ上積み大きい

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超外有利のトラックバイアス
3歳牡馬クラシックの第2戦であり、日本競馬最高峰のGⅠ・日本ダービー。「最も運のある馬が勝つ」という格言があるが、運だけで手に入る栄冠でないことは言うまでもない。今年は前哨戦に紛れが多く、まずは参考レースの内容から各馬の近走を振り返っていきたい。
【皐月賞】
開催最終日、かつ木~土曜の降雨により水分量の多い路盤での開催。日曜は気温が上がり回復に向かったが、それでも内目の馬場状態は相当悪く、一日通して外有利のトラックバイアスが顕著だった。レースはデシエルトがスタートで躓いたこともあり、1枠2番からアスクビクターモアが先手を取る形に。前後半1000m60.2-59.5の後傾0.7秒は皐月賞としては比較的楽な展開で、前後の有利不利は認められない。
1着馬ジオグリフは中団外目で脚をタメ、3~4角では大外からポジションアップ。直線でのイクイノックスとの叩き合いも制して皐月賞馬の栄冠を手にした。トラックバイアスが向いた感は否めないが、ラスト1Fまで上位の脚を使えた点は高評価。ただ、東京芝2400mとなると相対的にパフォーマンスは下がりそうだ。
2着馬イクイノックスは大外枠から好位外目を追走。直線はジオグリフに伸び負けたが、正攻法での2着には高い評価を与えたい。距離適性を考慮すれば十分に逆転可能な力関係だ。
3着馬ドウデュースは後方待機策からの大外一気。メンバー中唯一の上がり3F33秒台を計時しており、瞬発力は世代屈指のモノを持っている。その反面、締まりの強い馬体でもあるため、距離は2000m以下がベターだろう。
4着馬ダノンベルーガは最内枠から終始内々の競馬。上位馬で内目を通過したのは本馬のみであり、その前の2走より大幅に上がった追走スピードに対応した点も高く評価できる。東京芝2400mに替わっての上積みも大きい。
5着馬アスクビクターモアはワンパンチに欠くが、安定した先行力としぶとい末脚は大きな魅力。展開さえ向けばどんな条件でも穴を開けられるタイプだろう。
7着馬ジャスティンロックは内目後方からイン差しの形。ダノンベルーガと同様にトラックバイアスに反しており、着順以上の評価が必要な一頭だ。
13着馬キラーアビリティも出遅れたうえ、終始内々の競馬。巻き返しに注意したい。
本番では2着馬に期待!?

【青葉賞】
7Rまで稍重馬場での開催と水分量の多い路盤ではあったが、開催2週目の東京競馬場らしく時計は速め。内外の極端なトラックバイアスは認められず。レースはディライトバローズが気風良く逃げて前後半1000m58.9-60.3の前傾1.4秒。ただ、3番手以降は同60.4-58.7程度と例年の青葉賞と大差ないペースを刻み、走破時計も過去5年の平均とほぼ同じものだった。
1着馬プラダリアは好位追走から上がり3F2位の末脚で接戦に勝利。ディープインパクト産駒らしいコンパクトな馬体だが、母父がクロフネだけに古馬になって筋肉が硬くなると馬力勝負向きになりそうだ。例年の青葉賞優勝馬と同程度の評価。
2着馬ロードレゼルは唯一逃げ馬を追う形で運んだが、残り400m過ぎで先頭に立つとやや気を抜いた走りになり、勝ち馬に並ばれてから再度ピッチアップ。瞬発力で劣る分粘り切れなかったが、本番でハマる可能性が高いのは本馬かもしれない。前哨戦2着から先行して押し切ったロジャーバローズの再現なるか。
皐月賞からの巻き返しに期待
皐月賞ではトラックバイアスに反しながらも4着を確保したダノンベルーガ。共同通信杯ではジオグリフに完勝しており、東京の舞台なら巻き返す可能性はかなり高いだろう。同じく馬場が向かなかったジャスティンロックにも要注意。青葉賞2着馬ロードレゼルもハマる可能性を秘めた実力馬だ。
注目馬:ダノンベルーガ、ジャスティンロック、ロードレゼル
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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