【平安S】テーオーケインズ断然ムード データで浮上する対抗格はメイショウハリオ、ケイアイパープルら
勝木淳
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テーオーケインズ登場
上半期中距離ダート戦線は大井の帝王賞を目標に進む。JRAのステップレースは平安S。今年も舞台は代替中京ダート1900m。100m短いチャンピオンズCを圧勝したテーオーケインズのサウジ遠征からの帰国初戦。サウジCこそ8着に敗れたが、国内、それもGⅢ、59キロであっても断然ムードは止むなし。遠征から3カ月と十分な間隔をとっており、帰国初戦の不安も少ない。
テーオーケインズ一本かぶりは承知しつつ、ここでは舞台の中京ダート1900mのコース傾向から残り2枠の好走馬を探していきたい。データは2012年以降、中京ダート1900m、古馬3勝クラス以上13レースを使用する。
1枠の落ち込みに注意
レース数が多い中京ダート1800mよりスターティングゲートを100mだけ4コーナー寄りに置く1900mはレイアウトとしては1800mと大きな変化はない。しいていえば、スタート地点が急坂の途中にある1800mより4コーナーに寄ったことで、坂の立ち上がりからに変わる。スタートダッシュが急坂をフルに使って行われるため、先行争いで思わぬ消耗をする場合がある。
ただ、上級条件ならば、1コーナーまでが長く、距離を意識して無理な先行争いを避け、すんなり隊列が決まることもある。どちらに転ぶか、出走馬の組み合わせと枠の並びを吟味したい。
過去13レースはすべて4番人気以内が勝利。1番人気は【5-1-0-7】勝率38.5%、複勝率46.2%は堅実だが、3着がなくやや極端な傾向。以下、2番人気【3-4-3-3】勝率23.1%、複勝率76.9%、3番人気【2-1-3-7】勝率15.4%、複勝率46.2%、4番人気【3-2-0-8】勝率23.1%、複勝率38.5%と続く。7番人気【0-2-2-9】複勝率30.8%など複穴もないことはないが、基本的に上位人気を中心に考えたい。
レイアウトを見た感じ枠番に偏りはなさそうだが、1枠が【0-1-1-22】複勝率8.3%と極端に落ち込んでいる。3勝クラス以上の1900m戦がフルゲートになったのは13回中11回なので、頭数の影響ではない。
基本的にダートの内枠は揉まれて砂をかぶるため、不利。とりわけ1枠は先行させるか、後ろに下げないと最初の正面直線部分からびっしり揉まれてしまう。これによって力を発揮できないケースが多いゆえに、1枠の成績が悪いと考える。たとえ先行馬でも好走たった2頭というデータを踏まえれば、評価は下げたいところだ。
前走ダート1800m好走馬が狙い
上位人気堅調、1枠不利というコース傾向をつかんだところで、ここからは前走距離に注目。好走パターンを探っていく。
まずは前走との距離の比較。前走ダート組に絞ると、同距離1900mは【2-0-0-13】勝率、複勝率13.3%。これは1900m戦のレース数が少ない上に、1800mと比べると出走メンバーのレベルが一段下がるからだろう。3勝クラスを同距離で勝ったペルセウスシチーは強力上位陣との力関係がカギを握る。1900m未満の延長組【9-11-10-108】勝率6.5%、複勝率21.7%、1900m超の短縮組【2-2-3-28】勝率5.7%、複勝率20.0%と拮抗。ここは詳しく調べたい。
3勝クラス以上13レースで前走芝は【0-0-0-12】と好走なし。これを除き、ダートに限定した前走距離別成績をみる。今年の出走馬も多くが当てはまる1800mは【5-7-8-82】勝率4.9%、複勝率19.6%。頭数が多く率は低く出るものの、ここが中心。率でいえば1700m【3-4-2-21】勝率10.0%、複勝率30.0%や2100m【1-2-2-15】勝率5.0%、複勝率25.0%など半端な距離が優勢。前走2100mのスマッシングハーツが当てはまる。
中心視される前走ダート1800m組について着順別成績を出す。2着【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%など前走好走馬の成績がよく、5着【1-1-2-4】勝率12.5%、複勝率50.0%など惜敗までケアしたい。掲示板外の6~9着【0-2-2-23】複勝率14.8%、10着以下【0-1-0-30】複勝率3.2%で大敗からの巻き返しは少ない。
マーチSから1着メイショウハリオ、3着ブルベアイリーデ、アンタレスSから5着ケイアイパープルなどが該当する。一方、テーオーケインズは8着で凡走データに当てはまる。しかしながらサウジCを国内データに当てはめるのはいささか乱暴というもの。状態に問題がなければ、ここから上記の馬たちにという馬券でいいのではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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