【ヴィクトリアマイル】「前走マイルで2、3着」×「社台系生産」が大活躍　東大HCの本命はファインルージュ

2022/05/15 06:00

東大ホースメンクラブ

ⒸSPAIA

この記事のレース

ヴィクトリアマイル

GⅠ

5月15日(日)　東京11R

3年ぶりの混戦

日曜は先週に続く東京芝1600mのGⅠ、ヴィクトリアマイルが行われる。一昨年の三冠牝馬デアリングタクトを筆頭に、アイドルホース・ソダシ、久々のGⅠ勝利を狙うレイパパレ、東京新聞杯から巻き返しを誓うファインルージュ、サウジ帰りのソングラインなど多士済々のメンバー構成だ。

ここ2年の同レースではアーモンドアイ、グランアレグリアが断然の人気に応えて圧勝。翻って今年は実績最上位のデアリングタクトが出走も、1年1ヶ月の休み明けかつ桜花賞以来のマイルとあって抜けた存在とはいえない。他の有力馬も一長一短、久々に混戦といえるヴィクトリアマイルが帰ってきた。

女王の座をかけての仁義なき戦いで台頭するのはどの馬か。過去16回のデータを紐解きながら、好走、凡走パターンを探っていく。

「前走マイル2、3着×社台系生産」は裏切らない

ヴィクトリアマイル条件別成績,ⒸSPAIA

＜ヴィクトリアマイルの条件別成績＞
前走マイルで2、3着【3-3-4-7】勝率17.6%/連対率35.3%/複勝率58.8%
前走差しで2、3着【2-3-6-15】勝率7.7%/連対率19.2%/複勝率42.3%
マイル重賞初挑戦【2-1-3-52】勝率3.4%/連対率5.2%/複勝率10.3%

ヴィクトリアマイルは前走勝ち馬が【1-4-3-51】と絶不調の珍しいGⅠ。実力差が小さいことの多い牝馬戦線においては、本番でマークを受けて逆転を許す、または前哨戦の勝利自体が馬場や展開の助けを受けたものというケースが少なくない。人気が集まりやすい、馬柱がきれいな馬の凡走が、ヴィクトリアマイルで高配当が出やすい理由である。

むしろ前走で敗れていたほうが馬券的には狙い目で、特に好走例が多いのは「前走でマイルを使い、2、3着に敗れた馬」。該当馬は6割に迫る複勝率を記録しており、単勝回収率457%、複勝回収率227%と爆発力も兼備している。

該当馬のうち「社台F、ノーザンF、白老F」のいずれかで生産された馬は【3-3-4-1】複勝率90.9%を記録。2019年12番人気14着アマルフィコーストを除いて好走している。今年の該当馬はアンドヴァラナウト（阪神牝馬S2着）、ソダシ（フェブラリーS3着）、デゼル（阪神牝馬S3着）、ファインルージュ（東京新聞杯2着）の4頭。さらにGⅠで掲示板に入ったことのある馬は【3-3-3-0】のパーフェクトで、9頭全てが父サンデーサイレンス系だった。

また差して2、3着からの臨戦も悪くなく、単勝回収率246%、複勝回収率161%は前述のデータほどではないが十分威張れる数字。今年の該当馬はデゼルとファインルージュ、そしてミスニューヨーク（中山牝馬S3着）の3頭。

一方、マイル重賞未経験のままで同レースに臨む馬はかなり厳しく、4番人気以内の馬が【0-0-0-8】と全滅している。ラヴズオンリーユーやカワカミプリンセスなど、中距離GⅠ勝ち馬が沈んできた歴史もあり、レイパパレとアカイイトは過信禁物といえそうだ。

黄金ローテで悲願のGⅠ獲りへ

◎ファインルージュ
本命は好走データに合致する同馬。通算成績【3-3-1-1】、着外は距離が守備範囲外だったオークスのみという安定感を誇り、桜花賞3着、秋華賞2着とハイレベルなレースで善戦してきた。前走の東京新聞杯は+16kgかつ直線では前が壁になり若干の仕掛け遅れがありながら2着で、本番に向けての試走として合格点をつけられる内容だった。鞍上はグランアレグリア、アーモンドアイ、アドマイヤリードで同レース最多の3勝を挙げているルメール騎手。念願のGⅠタイトルへ最大のチャンスだろう。

◯ソングライン
前走マイル組以外で最も買いたい馬。東京芝1600mは富士S勝ちとNHKマイルC2着を含む【2-1-0-0】で、特にNHKマイルCはのちに好メンバーの毎日王冠を勝つシュネルマイスターにハナ差まで迫った価値ある走りだった。3歳時の紅梅Sでは前半3F33秒5の流れを道中3番手で追走し、上がり最速で突き抜けてみせた。この内容からも、ヴィクトリアマイルで頻発する持続力勝負どんとこいのタイプ。サウジアラビア帰りの状態面を懸念して2番手としたが、純粋な脚力では牝馬マイル戦線のトップクラスといっていい。

▲ソダシ
芝1600mはGⅠ・2勝とアルテミスSの3戦3勝で、桜花賞でマークした1分31秒1の持ち時計は優秀そのもの。ただ血統的に背負う気性の爆弾があり、軸にしにくいタイプ。前走のフェブラリーSは3着も、楽な流れを番手で追走しながらテイエムサウスダンを捉えられなかった点にむしろ不満を感じる。過去のヴィクトリアマイルで前走マイル×4角2番手以内だった馬は【0-1-2-10】と安定感を欠いており、アイドルホースの宿命といえる人気先行も加味して3番手とした。

以下、実績最上位のデアリングタクト、前走データからアンドヴァラナウト、デゼル、ミスニューヨークを押さえる。馬券は◎から◯▲を2列目に、印を打った馬を3列目に据える3連複とする。

▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎ファインルージュ
◯ソングライン
▲ソダシ
△デアリングタクト
×アンドヴァラナウト
×デゼル
×ミスニューヨーク

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。