【NHKマイルC】最有力は前走負けて強しのインダストリア　穴候補は桜花賞組のアルーリングウェイ

2022/05/05 06:00

坂上明大

ⒸSPAIA

この記事のレース

ＮＨＫマイルカップ

GⅠ

5月8日(日)　東京11R

阪神芝1600mらしい地力勝負

3歳芝マイル王決定戦・NHKマイルC。アーリントンCやニュージーランドTといったステップレースのほか、中距離路線や牝馬路線からの参戦も多く、各路線のレベル比較が重要な一戦だ。参考レースを振り返りながら各路線の勢力図を整理していきたい。

【朝日杯FS】
連続開催の終盤のうえ、週中の降雨により非常にタフな馬場状態。内目の傷みも強く、インコースを大きくあけてレースは行われた。展開は最内枠からカジュフェイスが先手を取り、前後半3F34.3-35.2の前傾0.9。ただ、当時はスタート直後に追い風を受けており、数字ほど厳しいペースではなかっただろう。展開による大きなバイアスは感じない。

2着馬セリフォスは押してポジションを取りにいったが、その分道中は折り合いに苦労。それでも直線は渋太く粘ってドウデュースの2着を確保しており、同馬が後の皐月賞3着馬ならここでは地力上位と見て問題ないだろう。

3着馬ダノンスコーピオンは前半は折り合いに専念し、残り600m前後からスパート開始。ラスト1Fはセリフォスに伸び勝っており、同馬との力差は大きくないみる。機動力では劣るが、末脚勝負なら本馬に軍配が上がっても驚かない。

6着馬トウシンマカオは3番手追走から4着馬と時計差なしの接戦。好位勢ではセリフォスに次ぐ着順を確保しており、後のファルコンS優勝馬プルパレイなどにも先着した点は高く評価できる。

ちなみに、後の皐月賞馬ジオグリフは直線に向いて左手前に替えたが、ドーブネが外に張ったところで本馬も大きく外に振られて右手前に戻す形に。再度すぐに左手前に戻したが、手前変換には大きな体力を使うため、ここでのスタミナロスは大きかっただろう。5着には敗れたが、上位勢との比較には注意が必要だ。

負けて強しの素質馬

2022年NHKマイルC参考レース,ⒸSPAIA

【弥生賞】
リューベックがハナを叩き、前半1000m61.1秒の弥生賞らしい緩い流れ。4角でのロジハービンのマクリでペースは上がったが、その後の同馬の失速で後続、特にドウデュースとラーグルフは後手を踏む形となった。先行馬にうまく抜け出された形で、前有利と評価したい。

5着馬インダストリアは後方で折り合いに専念し、残り600mからスパート開始。ただ、4角で外に張られる不利を受け、レース展開も向かなかった。先行勢を捉えることはできなかったが、着順以上の評価が必要なレース内容だった。リオンディーズ産駒らしい優れたバネを感じ、まとまった体形からも1600～1800mがベターだろう。

見事な逃げ切りも低評価？

【ニュージーランドT】
ジャングロが気風良く逃げ縦長の展開となったが、600～1000mでは12秒台のラップを刻んでおり、フラットなトラックバイアスからも位置取りによる大きな有利不利は認められず。

1着馬ジャングロは武豊騎手のリードのもとしっかりと脚の溜まる逃げを打ち、直線ではマテンロウオリオンの追撃も二枚腰で抑え込んだ。距離は1600mがギリギリだが、今回も展開の鍵を握る1頭であることは間違いない。ただ、3着が弥生賞6着馬リューベックだけに、メンバーレベルは高くは評価できないか。

中距離路線との比較がポイント

全体的にマイル路線と中距離路線のレベル差を感じる現3歳世代。当然上位に評価しているのは皐月賞組を中心とした中距離路線で、それならば今回も弥生賞で強い走りを見せたインダストリアが中心だろう。3/4同血の兄ケイデンスコールが2019年2着馬である点も加点材料だ。相手筆頭は朝日杯FS2着馬セリフォス。型通り上積みを見せるキングエルメス、桜花賞では不利が目立ったアルーリングウェイが穴候補だ。

注目馬：インダストリア、セリフォス、キングエルメス、アルーリングウェイ

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。