【青葉賞】すべてがかみ合ったプラダリア、厳しい流れになったロードレゼル 将来楽しみなディープインパクト産駒たち

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プラダリア、データを覆す勝利
今年の青葉賞は例年以上に混戦だった。皐月賞までの重賞路線に実績がなく、すみれS2着レヴァンジル、1勝クラスを勝ったばかりのロードレゼル、ジャスティンスカイが上位人気におされた。みんな、2000mを超える距離を使われてきた馬たち、狙うはダービー一本。勝ちあがった勢いそのままに本番まで進みたかった。
しかし勝ったのは4番人気プラダリア。3歳春のディープインパクト産駒は下のクラスを勝ちあがった、いわゆる重賞初挑戦を狙えとはよく言われるが、ディープインパクト産駒プラダリアの前走は未勝利戦。阪神芝2400m、重馬場で1.1差の圧勝。
グレード制導入後の84年以降、青葉賞を前走未勝利戦を勝った馬が制するのは初。データがまたひとつ破られた。翌日の天皇賞(春)で主役候補の一角におされ、3着と健闘したテーオーロイヤルですら21年、未勝利勝ち直後に青葉賞挑戦、15番人気4着。スケール感たっぷりのプラダリアの将来は明るい。
厳しい流れ、それでも2着のロードレゼル
レースは一発勝負のダービートライアルらしく、スタート直後、どの馬も先頭を譲り合う形になり、押し出される形で人気のロードレゼルがハナへ。行きたくはなかったが、これ以上引っ張ってもといった雰囲気だった。
ところが、正面スタンド前の攻防で外枠の馬に前に入られ、予想外に位置を下げたディライトバローズが1コーナー手前で思い直し、先に行かせた馬たちの外に出て進出。2コーナー手前でロードレゼルと併走する。押し出されたロードレゼルが主張するわけもなく、ディライトバローズをやり過ごそうとするが、一旦落ち着きかけたところでのできごとのため、ここで消耗してしまった。
レースのラップは12.7-11.3-11.5-11.5-11.9と前半1000m通過地点まで11秒台が続いてしまい、58.9。いくら絶好の馬場状態とはいえ、東京芝2400m3歳同士でこのタイムは厳しかった。
後半はディライトバローズも落ち着き、12秒台にラップを落とすものの、12.3-12.7-12.4-12.4と4コーナーまで息を整えるほど落ち切らない。これが響いたのかディライトバローズは残り400mでアクシデント発生、ジョッキーが懸命に馬を止めた。
この一連の流れをみると、2着ロードレゼルには厳しいレースだった。前半でペースを乱され、後半は早めに先頭に立たされ、かっこうの目標になってしまった。それでも最後は11.9-11.9と失速せずに踏ん張り、優先権を得られる2着を確保。本番での上がり目は心配だが、プラダリアとともに将来は明るい。
よく追い上げた3着エターナルビクトリ
プラダリアは前半から枠順を利して好位のインコース。いくら前半突っ込んだペースとはいえ、今の東京芝で下げてはどうにもならない。絶好位をとった池添謙一騎手、見事だった。前がやり合いそうになる場面、直線早め先頭のロードレゼルという目標の存在、色々な要素がかみ合った。今日はプラダリアの強運と池添騎手の好騎乗による勝利。それもダービートライアル青葉賞でのこと。こういったかみ合わせのよさもプラダリアの将来を約束する。
かみ合わなかったのが3着エターナルビクトリ。道中、最後方から直線一本にかける競馬で3着。馬場を考えればよく3着まで押し上げてきたといっていいが、日本ダービーへの切符はこぼれ落ちてしまった。スタートが遅く、前半からダッシュがつかないあたりは体質だろうか。ここがパンとしてくれば、末脚とかみ合ってくるだろう。1、2着とは完成度の差。ルーラーシップ産駒は晩成タイプが多く、現状ここまで戦えれば、まだまだこれからといった感じだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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