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【天皇賞(春)】実績ならディープボンド ディバインフォースの巻き返しも期待

2022/04/28 06:00
坂上明大
2022年天皇賞(春)バイアスアイキャッチ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

好配合馬が素質開花

日本競馬の最長平地GⅠ天皇賞(春)。昨年同様、京都競馬場が改修工事のため阪神芝3200mを舞台に開催され、例年以上にスタミナの要求値が高い一戦となりそうだ。ただ、今年の超長距離路線はカテゴリーレベルに疑問符も。参考レースから有力馬の力関係を整理していきたい。

【ダイヤモンドS】
開催後半で馬場の傷みが目立ち、含水率も高かったが、平均程度の時計が出る馬場状態ではあった。レースはグレンガリーが離して逃げたが、61.6-88.6-59.9ならスローペースの部類。さらに、2番手以降は前半1000m62.6程度で、近年の超長距離戦らしくスローペースでの折り合い勝負となった。

1着テーオーロイヤルは好位追走から2馬身半突き抜けての重賞初勝利。2着ランフォザローゼスが次走日経賞14着、3着トーセンカンビーナが次走阪神大賞典7着という結果からメンバーレベルに恵まれた感は否めないが、折り合いに心配がなく、無駄肉も少ない馬体などから長距離馬としての資質はなかなかのモノを持っている。

4代母Courtly Deeに遡る名牝系。母の3/4同血の弟にはメイショウカドマツ(15年アルゼンチン共和国杯2着)などがおり、本馬の半兄にはメイショウハリオ(21年みやこS)がいる。配合上では、Habitat≒Kris S.の5×3が特徴的で、これはエピファネイアと共通する柔軟性を刺激する仕掛け。また、母がNorthern Dancerを1本も持たない点も父リオンディーズとの相性の良さにつながっており、4歳2月という点も考慮すれば今後の活躍が楽しみになる勝利であった。

着差以上の強さを披露

2022年天皇賞(春)の参考レース,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【阪神大賞典】
火曜に4.5mm、金曜に5.5mm、土曜に4.0mm の降雨があり、芝は7Rまで稍重での開催。メインレース時には良馬場発表となったが、含水率が高い重めの馬場状態ではあっただろう。

レースはキングオブドラゴンが先手を取り、1000m別ラップで63.1-62.9-59.0のスローペース。それでも馬場状態も影響し、阪神芝超長距離戦らしいスタミナが求められるレース展開となった。

1着ディープボンドは中団馬群で脚をタメ、大外から上がり3F最速の末脚で追い込んでの連覇達成。ステイヤーらしい息の長い末脚を披露し、改めて現役屈指の超長距離馬であることを証明した。また、休み明けで過去最高馬体重、かつ他馬より重い斤量を背負っての勝利には着差以上の評価が必要だろう。

2着アイアンバローズはやや行きたがる面を見せながらも、しぶとく粘ってディープボンドと3/4馬身差。先述の通り、ディープボンドには着差以上の地力差を見せつけられたが、3着シルヴァーソニックとはラスト1Fで再度差を広げており、ステイヤーズSの結果からも同馬との勝負付けは済んだとみる。折り合い面が改善すれば、さらに高いパフォーマンスを見せてくれるだろう。

4着マカオンドールはディープボンドより後ろで運び、終盤は同馬と差のない末脚を披露。進路取りも考慮するとやはりディープボンドの方が上だが、重賞クラスでも十分に通用することを証明した走りであった。

課題が残る勝利?

【日経賞】
午後からの降雨により、芝はメインレースのみ稍重での開催だった。レースはタイトルホルダーが押して先手を取ったが、取り切ってからは落ち着いて前半1000m63.5のスローペース。さらに、1~2角では13.4-13.4まで落ちたため前有利。後方待機勢にはかなり厳しい展開だったといえる。

1着タイトルホルダーは菊花賞同様に先手を取ったため、道中の折り合いはスムーズ。ただ、その分本番での折り合いには不安が残り、今回も先手を主張する形がベストだろう。同型馬に競りかけられた場合への対応がカギとなりそうだ。

2着以下も先行馬が上位を独占。一方、11着馬ディバインフォースは大幅な距離短縮もあって後方待機し、レースに参加できず。叩き2戦目、かつ距離延長での巻き返しに期待したい。

昨年以上の走りに期待する2頭

昨年2着馬ディープボンドが中心。今年の超長距離路線のカテゴリーレベルには疑問符がつき、それならば既に地力の高さを証明している同馬の立ち位置は揺るがないだろう。人気薄ではディバインフォースの巻き返しに期待。強行参戦の昨年は歯が立たなかったが、叩き2戦目、かつ今年の顔ぶれなら上位争いに加わっても不思議ではないだろう。両馬とも昨年以上の走りに期待したい。

注目馬:ディープボンド、ディバインフォース

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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