【フローラS】桜花賞馬を破った脚力はクラシック級 東大HCはルージュスティリア快勝に期待

東大ホースメンクラブ

フローラSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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昨年3着ユーバーレーベンは樫獲り

今週は東京芝2000mを舞台にGⅡ・フローラSが行われる。4週後のオークスへ用意されたわずか2枚の切符を賭け、未完の大器シャケトラの妹・ラスール、チューリップ賞6着の雪辱を誓うルージュスティリア、デイジー賞で豪脚を披露したルージュエヴァイユ、フィリーズレビューから一気の3F延長となる良血マイシンフォニーなど、大舞台へ殴り込みをかけたい15頭が集結した。

昨年3着だったユーバーレーベンは収得賞金で滑り込んだオークスで戴冠、亡き岡田繁幸総帥にクラシックのタイトルを捧げた。馬券はもちろん、本番でも狙えるかどうか広い視野を持って見届けたい一戦。過去10年のデータを参考に的中へのヒントを探っていく。


前走1勝クラスvs前走重賞

過去10年フローラS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<過去10年のフローラS・前走クラス別成績>
新馬【0-0-0-6】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
未勝利【1-1-2-28】勝率3.1%/連対率6.3%/複勝率12.5%
1勝クラス【7-4-3-57】勝率9.9%/連対率15.5%/複勝率19.7%
オープン【1-0-0-11】勝率8.3%/連対率8.3%/複勝率8.3%
重賞【1-5-5-43】勝率1.9%/連対率11.1%/複勝率20.4%

桜花賞に間に合わなかった馬が多く出走してくるレース。新馬、未勝利からの臨戦はさすがに厳しいものの、前走クラス別成績では1勝クラスからの勝ち馬がずば抜けて多く、オープンクラスでの実績はさほど問われないレースといっていい。

前走1勝クラス組のうち、前走で勝っていると【6-2-0-14】複勝率36.4%、単勝回収率301%、複勝回収率105%を記録しており、さらに4角先頭で勝った経験があると【3-1-0-1】複勝率80%。2016年のパールコードから該当馬が4戦連続で連対している。今年の該当馬はヴァンルーラーただ1頭だ。

前走重賞組は1勝にとどまるものの、複勝率では前走1勝クラス組をしのぎ、目下5年連続で好走馬を輩出。このうち前走上がり2位以内に限ると【1-2-1-2】複勝率66.7%をマークしており、単複回収率はともに140%を超えている。こちらも該当馬は1頭、ルージュスティリアだけだ。


末脚と開幕週の兼ね合い

過去10年フローラS脚質別成績,ⒸSPAIA


<過去10年のフローラS・脚質別成績>
逃げ【0-0-1-9】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率10.0%
先行【2-6-3-24】勝率5.7%/連対率22.9%/複勝率31.4%
差し【6-4-6-62】勝率7.7%/連対率12.8%/複勝率20.5%
追込【2-0-0-50】勝率3.8%/連対率3.8%/複勝率3.8%

脚質別成績を見ると差し、追込勢が8勝を挙げており、末脚自慢が広い東京で順当に走ってきた歴史が見えてくる。一方4角3番手以内だった馬も【1-6-4-23】と勝ち切れないものの好走率は悪くない。

東京競馬は今週から2回開催が始まり、フェブラリーS週以降2ヶ月蹄音を待ったきれいなターフが舞台となる。インが使える馬場状態ゆえに前の馬たちも簡単には止まらず、馬券圏内に粘り切るケースが多い。アタマは後方から、2、3着には逃げ、先行勢を拾っておくのが馬券戦略の基本となりそうだ。


オークスに向けて落とせない

以上のデータを踏まえ、印を打っていく。

◎ルージュスティリア
新馬戦では新潟、さらに前半3F39.0秒のドスローだったとはいえ、後半3F32.7秒と上々のキレを披露。2着に下したのはのちの桜花賞馬スターズオンアースだ。レース後半4Fは45.3秒だったが、1986年以降、芝1800m以上の2歳戦において、後半4F45.3秒以下をマークしたのは他にジオグリフの新馬戦のみ。こちらは先週の皐月賞を制した馬。ポテンシャルはクラシックレベルといっていい。

前走のチューリップ賞は6着に敗れたものの、大出遅れから4角14番手、ここから上がり最速のタイムで追い込んで脚力を証明した。キズナやラヴズオンリーユーを出したディープインパクト×Storm Catの黄金配合から産まれた最後の大物候補。オークスに向けて落とせない一戦だ。

◯ヴァンルーラー
君子蘭賞勝ち馬。アルテミスS以降の3戦は馬柱を汚していたが、前走は少頭数からすんなりとハナを取って逃げ切った。脚質のシフトチェンジが奏功した印象で、今回もポジションを取ってレースを進めるだろう。

初勝利を挙げた昨年10月の未勝利戦はレースの後半5Fが57秒3。1986年以降、芝1600m以上の2歳戦において、後半5F57.3秒以下をマークしたレースは他に2つ、勝ち馬はグランアレグリアとジオグリフだ。また、前走1勝クラスで連対した関西馬は【3-3-1-4】複勝率63.6%、単勝回収率417%、複勝回収率233%。先行型で開幕週も味方するとあって、人気薄では最もそそられる。

▲パーソナルハイ
未勝利戦はラスト3F11.2-11.0-11.5で押し切り、赤松賞では後のチューリップ賞勝ち馬ナミュールの2着。桜花賞6着も決してフロックではなく、脚力は重賞でも通用するレベルにある。

前走GⅠ組は【0-0-0-3】だが、3頭はいずれも前走勝ち馬から1秒以上離された大敗で、桜花賞で勝ち馬から0秒2差だったこの馬にあてはめるのは早計だろう。中1週のローテで嫌われ、派手な勝ち方をした1勝クラス組の陰で人気の盲点となるようなら、2、3着でも高配当が見込める可能性が高い。

以下、デイジー賞の差し切りに光るものを感じたルージュエヴァイユ、良血マイシンフォニー、君子蘭賞2着シンシアウィッシュまで押さえる。馬券は◎の単勝と◎◯2軸から印への3連複とする。

▽フローラS予想▽
◎ルージュスティリア
◯ヴァンルーラー
▲パーソナルハイ
△ルージュエヴァイユ
×マイシンフォニー
×シンシアウィッシュ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開、新入部員は随時募集中。



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