【福島牝馬S】中山牝馬Sで届かなかった馬が逆襲 ルビーカサブランカ立て直し期待

佐藤永記

福島牝馬Sにおける前走中山牝馬S組の成績,ⒸSPAIA

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中山牝馬Sの再戦

昨年は地震の影響で新潟開催となった福島牝馬Sだが、今年も地震によってスタンドなどに影響が出てしまったため、全体の日程は動いた。福島牝馬Sは無観客ながら、予定通り23日土曜日に開催されることとなった。福島を応援する意味でも今年の福島牝馬Sは積極的に買いたいところだ。

福島牝馬Sは日程でもコース形態でも中山牝馬Sとの親和性が高い。新潟開催だった昨年を除く直近9年でみると、優勝馬は9頭中8頭が前走中山牝馬Sから。2着馬も6頭が中山牝馬Sからとなっており、連対馬に占める率は77.8%となっている。

むしろ例外の優勝馬を確認しておきたい。2016年の勝ち馬は前走愛知杯18着からであったマコトブリジャール。この年の福島牝馬Sはスタートから2F目が11.4とスロー気味に流れた年であり、なおかつ中山牝馬S1、2着馬の参戦がなかったという例外感の強い年である。

やはり基本的には中山牝馬S組から勝ち馬を探すレースだ。ただし、中山牝馬Sで必ずしも好走している必要はない。2012年から2014年にかけては中山牝馬S2、3、2着だった馬が勝利しているが、2017年から2019年までは同4着以下だった馬が勝利している。

内容を見てみると、中山牝馬Sで上がりが最速かそれに近かった例が2019年のデンコウアンジュと2017年のウキヨノカゼ。2019年は10頭立ての少頭数で2F目が12.0と、良馬場とは思えない超スローで流れたうえ、福島では珍しい追込勝負になり、勝ち時計1.48.1は例年より1秒以上遅かった。2017年も離した逃げ馬を除いてスロー寄りに流れた結果、上位は皆追込み勝負となっていた。

つまり、スローで流れそうなら中山牝馬Sで速い上がりを出した馬を狙い、平均ペース以上で流れそうなら中山牝馬S好走組を狙うのが基本だといえよう。

前走中山牝馬Sの注目馬は

前走が中山牝馬Sだった馬は7頭。このうち上記条件に見合う馬を整理してみよう。

まずは平均ペース以上を想定する場合に狙いたい好走組だ。今年は中山牝馬Sの1、2着馬が参戦しているので、素直にこの2頭となろう。

1着のクリノプレミアムは4角9番手から上がり3位タイの34.3で差し切り勝ちを決めている。単勝15番人気97.4倍の一発だったので印象に残っている方も多いだろう。基本は先行勝負する馬だったが、今年に入って後ろからの競馬をするようになり、それがハマった形だ。中京開催の京都金杯で7番手から0.3秒差の5着になったあたりで光明が見えていたのだろう。この馬の場合、上がりも上位なのでスロー寄りでも勝負になる。

2着馬のアブレイズは4角5番手からのもの。この馬の場合は馬体重の増減が激しく、戦績を見る限り理想は480kg台。前走は-14kgの488kgで巻き返してきた。馬体重に注目しておくべきだ。

一方、スロー想定で狙いたい速い上がりの馬からも2頭。まずは上がり2位の34.2で4着のスライリー。4角12番手という位置取りで、前方に勝ち馬クリノプレミアムがいた。先行したり追込みに回ったりと試行錯誤が続く馬ではあるが、ハマったときの一撃は大きい。

もう1頭は上がり3位タイの34.3だったルビーカサブランカである。2番人気に推されたもののスタートでアオって最後方からのレース。道中少しずつ押し上げながら4角12番手から直線で0.2秒差の6着まで詰めている。スタートのロスがなければと思える内容で、武豊騎手が福島まで継続騎乗となる点も期待感は高い。1回福島の参戦は2017年の福島牝馬Sでクインズミラーグロに騎乗(1番人気3着)したとき以来だ。

ロザムールが再度スローで逃げるか

問題は今年の福島牝馬Sがどのようなペースになりそうか、である。登録馬を見る限り、絶対的な逃げ馬は前走中山牝馬Sでも逃げていたロザムールのみ。前走逃げた馬ならばシャーレイポピーもいるが、過去10戦中2回だけで、徹底した逃げ馬ではない。中山牝馬Sをスローで逃げたロザムールが同様にスローで逃げる展開が予想される。

よって当欄では、上がり勝負もできそうなクリノプレミアムと、スローペース時候補のルビーカサブランカ、スライリーの3頭を注目馬としてチェックしておきたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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