【福島牝馬S】中山牝馬S組の取捨がポイント、候補はアブレイズ! 大穴は別路線から
勝木淳
ⒸSPAIA
10番人気以下3着5回
2年続けて春の福島開催は地震の影響を受けた。昨年は新潟代替、今年は無観客。開催できるだけでもありがたいと思う一方で、日数が少ないローカル開催でライブ観戦を満喫できないのは辛い。復興を心よりお祈りいたします。データは過去10年、新潟代替だった昨年を除く9回分を使用する。
ヴィクトリアマイルの前哨戦でもあり、貴重なローカル牝馬重賞とあって、決まって混戦になるレース。1番人気は【2-3-1-3】勝率22.2%、複勝率66.7%と連軸としての信頼度は高い。2番人気【0-1-2-6】複勝率33.3%と勝利なし。3番人気【3-1-0-5】勝率33.3%、複勝率44.4%、4番人気【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%なので、上位人気は連軸向きも、やはり伏兵陣が怖い。10番人気以下【1-1-5-45】勝率1.9%、複勝率13.5%。大穴3着が半数以上の5回。福島の重賞らしくヒモ荒れ警戒だ。
年齢別成績では5歳【4-5-5-35】勝率8.2%、複勝率28.6%が中心。4歳は【2-4-2-49】勝率3.5%、複勝率14.0%と好走確率が低調。怖いのは6歳【2-0-2-15】勝率10.5%、複勝率21.1%。その単複回収値は311、191。人気を落としたベテラン勢に注意したい。
中山牝馬S組の取捨
ここからは前走成績に注目。このレース、好走ローテーションのクセが際立つ。穴馬を探すためにもその傾向をしっかり押さえておきたい。
前走クラスをみると、前走GⅢ【9-6-4-56】勝率12.0%、複勝率25.3%が目立つ。福島で行われた9回すべて勝ち馬は前走GⅢ組だった。また前走3勝クラス【0-2-3-15】複勝率25.0%。その複勝回収値は262。この2クラスに当てはまる馬から探したい。
前走GⅢの内訳は中山牝馬Sが【8-6-2-46】勝率12.9%、複勝率25.8%と質量ともに圧倒的。小回り芝1800mという似た条件だからこそのつながり。とはいえ、新潟で行われた昨年もドナアトラエンテが1番人気2着と好走。間隔がちょうどいいということもある。
前走中山牝馬S組の着順別成績をみる。まず1着【1-2-0-0】、2着【2-1-0-1】と勝ち負けを演じた組に注目。今年もクリノプレミアム、アブレイズが参戦。だがその前走人気は15、12番人気、馬連106,850円の大波乱。「穴馬は追いかけるな」は鉄則。連続好走はあるのか。だが中山牝馬S1、2着馬限定の前走人気別成績では6番人気以下【2-2-0-1】。こと、福島牝馬Sと中山牝馬Sとの関係においては例外で、人気薄の連続好走もある。
以下、前走3着【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%、6~9着【2-2-1-14】勝率10.5%、複勝率26.3%など好走組以外の巻き返しも十分ある。ただし10着以下大敗は【0-0-0-18】。4着スライリー、6着ルビーカサブランカ、8着ジュランビルまでは頭に入れておきたい。
今年の中山牝馬Sは良馬場で時計が出る状態で行われ、残り1000mから11.8-11.6-11.5-11.7-11.8と11秒台が連続した先行勢にはキツイ競馬。4コーナー外から進出したクリノプレミアム、アブレイズの差しが決まり、インを立ち回ったミスニューヨークが3着だった。今年も馬場状態は難しいが、反対に中山牝馬Sで展開不向きだった先行勢に目をつけるべきか。
逃げ【0-1-0-4】複勝率20.0%、先行【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%。逃げ候補となる13着ロザムールは着順別成績に引っ掛かるが、4コーナー5番手にいた8着ジュランビルは見直したい。重賞はアイビスSD、ターコイズS5着。通用しないことはない。
ただし中団【2-3-1-16】勝率9.1%、複勝率27.3%、後方【3-1-1-16】勝率14.3%、複勝率23.8%と差してきた組も互角。当日の馬場や展開をしっかり読み切りたい。
ハンデ戦だった中山牝馬Sとの関係でいえば、斤量も重要。増減別にみると、中山牝馬Sより別定の福島牝馬Sで斤量が増えると、【4-4-2-31】勝率9.8%、複勝率24.4%、減ると【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%、増減なし【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%。ハンデの上下差が大きくなりやすい中山牝馬Sという特徴を踏まえると、数は断然斤量増が多いため、好走確率は若干下がるものの、斤量減もしくは同斤量はチェックしたい。中山牝馬S56キロのアブレイズ、同55キロのルビーカサブランカは有力候補だ。
別路線のGⅢ組も大穴警戒。愛知杯【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%。16年15番人気1着マコトブリジャール、20年15番人気3着ランドネと大穴続出。アナザーリリックに注意したい。京都牝馬S【0-0-1-2】も好走は15年13番人気3着メイショウスザンナ。今年はサンクテュエールがいる。
最後に複穴を出す傾向がある前走3勝クラスについて。距離別成績では1600m【0-0-0-5】、1800m【0-2-1-6】複勝率33.3%、2000m【0-0-1-3】複勝率25.0%など1800m以上に良績が集まる。シャーレイポピーではなく、ホウオウエミーズ、エヴァーガーデンを候補に入れたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
《関連記事》
・3連単の最高額は2073万8890円 2021年中央競馬の高額配当ランキング
・ルメール騎手の鉄板条件は 頭に入れておきたい2021年の傾向振り返り
・1位は「1.8秒差」つけたサイレンススズカ&メジロブライトの伝説2レース! JRA平地重賞の着差ランキング
おすすめ記事