【中山グランドジャンプ】1頭は差し馬が絡むレース ブラゾンダムールの自在性に期待
佐藤永記
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中山大障害との小さくて大きな違い
年内に二つしかないJ・GⅠ、中山グランドジャンプ。現在の日本競馬において最長の4250mを誇るタフ・オブ・タフなコースである。
先日、佐々木朗希投手が20歳にして完全試合を成し遂げたばかりだが、こちらはオジュウチョウサンが高齢の11歳にして6度目の中山GJ制覇を狙うという、驚異的な状況になっている注目のレースだ。
中山GJについて皆様はこのように思ったことはないだろうか。
「中山大障害とほぼ一緒なんだから同じように買えばよくね?」
確かに、4100mの中山大障害とコースはほぼ一緒なので、概ね間違いではないのだが、ひとつ明確な違いがある。
中山GJでは最後の直線に置き障害があるが、中山大障害にはそれがない。直線が短い中山でも最後に置き障害があると、そこで止まりやすいと考えられる。障害を飛びながら加速できる馬は普通いない……いや、オジュウチョウサンがやってましたねえ。
そんな全盛期のオジュウチョウサンは例外としても、減速させる置き障害があることで、中山GJと中山大障害では違いがでてくる。
過去10年で最終3角位置が3番手以内の成績を比較すると、中山GJでは【9-5-5-11】、中山大障害が【10-7-1-12】。基本先行有利であることは間違いないのだが、中山GJの2着と3着には、3角4番手以下だった馬が半数ほど含まれていることがわかる。
傾向から考えると、中山GJでは置き障害によってタフさが増し、逃げ・先行馬がスタミナ切れを起こして失速しやすいため、結果的に差しが3着のみならず2着まで届くことがあるのだろう。一方、中山大障害では最終直線の置き障害がないため前々で運んだ馬がロングスパートをかけやすく、差しが3着までしか届かない。
もちろんどちらのJ・GⅠでも、勝つには前々で位置取りすることがほぼ必須だ。
先行有利だが、1頭は差し馬を入れておきたい
前章の理由から、3連単の馬券作戦としては勝ち馬候補と差し2、3着候補を分けて考えるのがよさそうだ。
勝ち馬候補から考えると、やはりオジュウチョウサンは入れておかねばならないだろう。最近はステップレースで3着に敗れるパターンが続くが、本番の昨年中山大障害ではしっかり勝ったように、超長距離のJ・G1ではまだまだ健在だ。なにせ12歳でJ・G1を制しているカラジの事例がある。それと比べればまだ1歳若いのだからJ・G1において軽視するわけにはいかない。
他の勝ち馬候補としては、昨年の中山GJ2着馬ケンホファヴァルト、中山大障害2着馬のブラゾンダムール、そして前哨戦のペガサスJSを勝ったビレッジイーグルまで挙げたい。
差し2、3着候補としては、マイサンシャインとマイネルプロンプトあたりだろう。
マイサンシャインは前走ペガサスJSで7番手から追い込んで3着。平地時代も含めて基本逃げ・先行で戦ってきた馬で、ペガサスJS以外で3角4番手以下から馬券に絡んだのは一昨年冬の小倉1勝クラス・ダート1700mの時のみ。これも4番手からの3着だった。ハマる可能性もあるが、ペガサスJSを見る限りは飛越のたびに位置が下がっていたので初の大障害コースでは厳しいとみる。
もう1頭の候補マイネルプロンプトは19年まで障害重賞戦線の有力馬だったが、長期休養後の去年からは馬券圏内に届いていない。三年前の中山GJでは3角5番手から3着になっているように、復調さえできれば差し候補として可能性はあるものの、どこまでやれるかは未知数のため候補にしづらいところだ。
魅力的な差し候補が見つからない状況だが、勝ち候補を4頭挙げたので、この中から位置を下げても競馬ができそうな馬がいれば、そこを軸にしやすそうだ。そう考えるとブラゾンダムールが妥当ではないだろうか。昨年の中山大障害2着時も2角で7番手、3角で2番手に押し上げての2着だった。後方からでは届きづらい中山大障害で2着まできたことから、今年の中山GJでも馬券に絡む可能性が高いとみる。もちろん、ペガサスJSのように先行策もとれる馬なので勝つ可能性まで見える。よって今回はブラゾンダムールを軸馬にしてみたい。
馬券はブラゾンダムールを軸にオジュウチョウサン、ケンホファヴァルト、ビレッジイーグルを相手にした3連単マルチを基本に考える、と当欄では結論づけたい。ただ少頭数なのでオッズとの相談だ。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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