【ニュージーランドT】近年勝ち馬は後々ダート路線に 求められるのはパワーとダイエット

佐藤永記

ニュージーランドT馬体重別成績,ⒸSPAIA

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本番NHKマイルCになかなか直結しない理由

現在の立ち位置的にはNHKマイルCへのステップレースとなるニュージーランドT。3着以内にNHKマイルCへの優先出走権が与えられるのだが、ニュージーランドTで好走した馬たちの本番での成績は最近あまり芳しくない。

2018年こそニュージーランドT2着ケイアイノーテックがNHKマイルCを制しているが、この年の勝ち馬カツジはNHKマイルでは8着。ニュージーランドTからの転戦馬がNHKマイルCを制したときを遡ると、次は2013年のマイネルホウオウ(ニュージーランドT7着)となり、ニュージーランドT勝ち馬がNHKマイルCも制したのはその前年、10年前の2012年カレンブラックヒルまで昔のこととなってしまう。

まあ、昨年に関してはここを勝って本番3番人気となったバスラットレオンがスタートで落馬してしまった出来事もあったものの、2着馬タイムトゥヘヴンはNHKマイル6着、3着馬シティレインボーは16着であった。ステップレースのGⅡでありながら、過去10年でニュージーランドT出走馬のNHKマイルCの成績は【3-0-2-49】。正直イマイチだというのは否めない。

やはり、1角ポケットからスタートし、外回りで2角に向かい、短い直線となる中山マイルの三角コースと、ロングストレート、広いコーナー、長い直線の東京マイルでは、同じタイプの馬に向くわけがないのだ。

近年勝ち馬はダートで復活

気になるのは近年のニュージーランドT勝ち馬のその後である。昨年のバスラットレオンはその後連敗続きだったが、先日のドバイ、ゴドルフィンマイルでニュージーランドT以来の復活勝利を遂げた。

3年前の勝ち馬ワイドファラオはNHKマイルC9着後、ダート路線に移り、ユニコーンSやJpn1・かしわ記念を勝利している。ニュージーランドTのあとに苦戦している馬が非常に多いなかで、ダートに活路を見出した馬がちらほらおり、2016年勝ち馬ダンツプリウスの場合は2年後に障害へ転向して2年ぶりの勝利を挙げている。

このようにトリッキーな中山マイルで3歳にして結果を出した馬は、そのまま王道マイルに進むというよりも、パワーを求められる舞台で活躍している印象だ。そして、おおまかな話にはなるが、NHKマイルCの上位馬よりも、ニュージーランドTの上位馬のほうが馬体重が重い傾向にある。

ニュージーランドT 直近10年 馬体重増減別成績,ⒸSPAIA


過去10年、ニュージーランドTの3着以内馬平均馬体重は478.3kgに対し、NHKマイルCでは473.7kgと約5kg落ちる。勝ち馬でみるとニュージーランドTは488.4kgでNHKマイルCは477.4kgと11kgも落ちてしまう。本番で仕上げて絞った分もあるんじゃないか、という方もおられるだろうが、3歳春の成長期ではトライアルから本番で馬体重は減らない場合もあるので、この差は結構大きいのだ。

内容をさらに見ていくと、NHKマイルCは直近10年で馬体重500kg以上の勝ち馬はいないが、ニュージーランドTには10年で2頭の勝ち馬がいる。2019年の勝ち馬ワイドファラオも前走から+12kgの512kgであった。だが1点だけややこしい話がある。パワーに繋がりやすい大型馬のほうがよいニュージーランドTだが、前走から増量した馬の成績が直近10年で【1-2-4-46】とあまり芳しくない。勝利事例はさきほど紹介したワイドファラオの+12kgのみである。

逆に馬体減ならば【8-6-4-56】となり、いうなれば「大型馬がダイエット」が好走パターンである。ちなみに同体重であれば【1-2-2-24】だった。そうなると気になる馬がいる。そう、前走500kg以上の馬だ。今回登録で2頭、前走514kgで1勝クラスを勝ち上がってきたサーマルウインドと、前走ファルコンSを510kgで8着だったが、前々走ひいらぎ賞を勝っているティーガーデンだ。

いずれも中山マイルで結果をすでに出している点も安心感が高い。人気になりそうなシンザン記念勝ち馬マテンロウオリオンは前走486kg、リューベックも前走弥生賞6着時が494kgと、充分な馬体重ではあるが、この人気2頭に割って入るだけのパワーをもっている可能性から穴で推奨してみたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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