春のクラシック開幕! サクラローレル、大波乱の桜花賞など「春」にまつわる名馬とレース振り返り

高橋楓

「サクラ」冠の馬の獲得賞金ランキング,ⒸSPAIA

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春に思い出される名馬やレース

4月1日から新年度。打ち合わせも詰まっており足早に銀座線の階段を駆け上っていた際に、ふと頭の中に松たか子さんの「明日、春が来たら97-07」が流れてきた。オリジナルをはじめて聞いてからすでに四半世紀、リメイクからは15年もの月日が経ったと気付いた時、時間の流れるスピードに少々驚き、日々大事に過ごさねばと再認識することが出来た。

さて、全国各地で桜の便りが届いている今日この頃。筆者が個人的に「春」というワードで思い出す名馬やレースをご紹介したい。

サクラ軍団、最多獲得賞金馬! サクラローレル

1996年 サクラローレル 躍進の軌跡,ⒸSPAIA


まずは春の花「サクラ」で真っ先にサクラローレルが頭に浮かんだ。1996年天皇賞(春)のパドック。美しい、という言葉を馬に使ったのは私にとって初めての経験だった。光り輝く栃栗色の毛並みは他馬よりも際立って見えた。

世間の話題はナリタブライアン対マヤノトップガンの再戦でもちきり。ブライアンの単勝オッズが1.7倍、トップガンは2.8倍。対してローレルは3番人気、14.5倍。伏兵の1頭だった。

もともと体質が弱くデビューが遅れ、その後も度重なる怪我、そして競走能力喪失に等しい骨折。それを乗り越え競馬場にカムバック。そしてこの晴れの舞台でナリタブライアンを2馬身半突き放して勝利。内容からは今後の飛躍が大きく期待された。改めて1996年のサクラローレルの軌跡をレース名、着順、2着馬の順で振り返ってみたい。

3月10日 GⅡ・中山記念 1着 (ジェニュイン)
4月21日 GⅠ・天皇賞(春) 1着 (ナリタブライアン)
9月15日 GⅡ・オールカマー 1着 (ファッションショー)
10月27日 GⅠ・天皇賞(秋) 3着 勝ち馬・バブルガムフェロー
12月22日 GⅠ・有馬記念 1着 (マーベラスサンデー)

背中にはこの年からコンビを組んでいた横山典弘騎手が跨り続けた。特に不完全燃焼だった天皇賞(秋)の次走、横綱競馬で完勝した有馬記念は今でも忘れられないレースだ。生涯成績22戦9勝、獲得賞金6億2699万円はサクラ軍団のトップになっている。

3連単700万2920円の衝撃! 第68回桜花賞

2008年 第68回 桜花賞,ⒸSPAIA


次に「桜」が入った思い出のレースとして2008年の第68回桜花賞を紹介する。私はまだ全く競馬と関係のない会社でサラリーマンをしており、この年の4月から札幌勤務を命じられ着任していた。

今のような生活様式ではなかった時代。土曜日も夜から朝までススキノで飲み歩き、起きたのはレース当日の昼だった。二日酔いの頭痛をこらえながらノソっと起き上がり、私服に着替えると前日に予想し終えた競馬新聞を片手にウインズへ向かった。そのあとのことは断片的にしか覚えていない。

ウインズ札幌のA館にいたのかB館にいたのか。覚えているのは、◎レジネッタ、◯リトルアマポーラ、▲ソーマジック、△エフティマイア、穴ハートオブクィーンと殴り書きしてあった新聞の1面と、帰りにヤケ酒で飲み干した缶チューハイのことだけだ。

改めて当時の映像を振り返ってみた。ポルトフィーノが出走取消となり17頭が一斉にスタート。先頭集団が前半1000mを58.5秒の“桜花賞ペース”で飛ばすなか、トールポピー、リトルアマポーラ、ブラックエンブレムなどの上位人気馬は後方待機。直線に向くと馬場一杯に広がり、ラスト100mの地点でも大激戦が続いていた。コンマ5秒の中に9頭がひしめく大激戦をレジネッタが差し切ったところがゴールだった。

1着 レジネッタ(小牧太) 1分34秒4 12番人気
2着 エフティマイア(蛯名正義) 1分34秒5 15番人気
3着 ソーマジック(後藤浩輝) 1分34秒5 5番人気
4着 ハートオブクィーン(幸英明)1分34秒6 16番人気
5着 リトルアマポーラ(武幸四郎) 1分34秒6 2番人気

印をつけた馬が掲示板を独占。それなのに1枚も当たり馬券がないのだ。馬連19万6630円、3連複77万8350円、3連単700万2920円。小牧太騎手のガッツポーズの映像を改めて見て、買い目だけはハッキリと思い出した。

◎レジネッタ、◯リトルアマポーラの社台レースホース2頭から、印をつけた3頭への3連複流し。本命対抗の2頭に▲ソーマジックをつけ足した馬連、馬単BOX。本来穴党なのだから外れることには慣れている。

しかし悔やんでも悔やみきれないのは印をつけた5頭の3連複BOXもマークカードに塗っていたことだ。直前で「穴を狙い過ぎか」と考え、3連複BOXの購入を見送り、他の馬券の金額を増やしてしまった。桜花賞の時期になると、あの日の苦い缶チューハイの味が蘇ってくる。

全レース大外馬番が勝利! 1997年春のクラシック

1997年 8枠(ピンク帽子)大活躍の春クラシック,ⒸSPAIA


クラシックへの出走権がなかった持込馬マルゼンスキーの中野渡清一騎手が「日本ダービーに出させて欲しい。枠順は大外でいい。他の馬の邪魔は一切しない。賞金もいらない。この馬の能力を確かめるだけでいい」と語ったとされることは余りにも有名な話である。最後は大外馬番、ピンク帽子の馬が4連勝した1997年春のクラシックを振り返ってみたい。

まずは桜花賞。雨が降り続き馬場状態は不良となるなか、8枠18番のキョウエイマーチがスピードの違いを見せつけ、2着メジロドーベルを4馬身も突き放す圧勝劇を披露、松永幹夫騎手は桜花賞初制覇を飾った。

翌週の皐月賞は同じく8枠18番の大外枠からスタートしたサニーブライアンが優勝。大西直宏騎手にとっては嬉しいGⅠ初勝利となった。この馬の場合、スタートが速くない一面もあったため、不利を受けにくい大外枠が功を奏した形になった。

オークスは16頭立て、大外8枠16番を引いたメジロドーベルが約15万人の観衆の前で快勝。見事に桜花賞の雪辱を果たした。

日本ダービーでは皐月賞同様に大外枠からのスタートとなったサニーブライアンが二冠を達成。皐月賞馬ながら前走はフロック視され、単勝13.6倍の6番人気。大西騎手の「1番人気はいらないから1着だけ欲しかった」はこのときの優勝インタビューでのコメントだ。その年、ダービーを迎えるまでわずか3勝。うち2勝がサニーブライアンとのコンビ。心の底から出た言葉だっただろう。

今年はどんな春の思い出が増えるか、今から楽しみでならない。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。

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