【高松宮記念】逃げ、先行自在のレイハリア、レシステンシアが有力!

ⒸSPAIA
大きく入れ替わったメンバー構成
一昨年の香港スプリント、昨年の高松宮記念を制したダノンスマッシュ、一昨年の高松宮記念の覇者モズスーパーフレアは引退。さらに昨年のスプリンターズSの勝ち馬ピクシーナイトは、香港スプリントで落馬事故に巻き込まれ故障し、今回不出走。さらにモズスーパーフレアの引退により、水を得た魚のように、逃げ馬としてこの路線を引っ張っていくと思っていたビアンフェも、オーシャンS3着後に放牧に出され、不出走となった。
今回、4歳馬や路線変更馬などの新興勢力が多数出走。昨年の高松宮記念、スプリンターズSでともに2着だったレシステンシアが繰り上がるような形で、能力値1位となる。しかし、もっとも大きな変化は、逃げてこその馬がファストフォースのみと、逃げ馬が手薄になったことだろう。
そのファストフォースはテンが遅く、前走のオーシャンSは調子落ちを感じさせる内容だっただけに、今回は逃げない可能性もある。またテンが速いレイハリアは折り合いもつくだけに、馬場悪化によるハイペースはあっても、良馬場ならペースはそこまで上がらない可能性が高い。前からでも押し切れることも視野に入れて、予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介

【能力値1位 レシステンシア】
昨年の阪急杯から短距離路線に転向し、春秋スプリントGⅠでともに2着、香港スプリントでも2着と好走した。昨年の高松宮記念では重馬場で前半3F34秒1-後半3F35秒1の速い流れを、好位の外からしぶとく粘って2着。スプリンターズSは高速馬場で前半3F33秒3-後半3F33秒8とペースが上がらない中、好位の中目で折り合っての2着。勝ち切れないが、速い流れになれば控えられるし、遅い流れなら積極的に位置を取っていけるため、崩れないのが魅力だ。
前走の香港スプリントは7番枠からやや出負け。そこから押してスピードに乗せ、好位の中目に突っ込んでいく競馬。道中で包まれたため、外に出していく途中であの大惨事。事故をギリギリで交わして再び中目に進路を切り替え、徐々に前との差を詰めて2着。4角で中目に進路を切り替える際に無駄な小脚こそ使ったが、進路取りの不利はなかった。また、近走とほぼ横並びの指数を記録していたあたりからも、落馬事故に関係なくあれくらいの走りだったと推測される。
レシステンシアはここでは最高値1位。馬場不問で速い流れでも、遅い流れでも対応できる点は強調材料。今回も2列目狙いの競馬をする可能性が高く、ここも崩れない可能性が高いが、今回は実績馬が崩れることも少なくない始動戦。中心視までは怖いが、重い印を打ちたい馬ではある。
【能力値2位 ダイアトニック】
一昨年の高松宮記念ではゴール手前で外からクリノガウディーに寄られて悔しい3着となった馬。一昨年のキーンランドCよりスランプになり、2桁着順の続いたが、骨折による長期休養をへて、前々走の京都金杯4着、前走の阪急杯1着と見事な復活を果たした。
前走は逃げ馬モントライゼが出遅れ。10番枠から好発を決め、そこから押してハナを狙う競馬。最終的には外からハナを主張したモントライゼを行かせて2列目の最内を追走、最後の直線で内ラチ沿い1頭分の狭いところを割って早め先頭に立ち、そこから押し切る強い内容での優勝だった。
ダイアトニックは先行しても、差してもオーケーなタイプ。それゆえに芝1200m~芝1600mまで幅広い距離をこなせる。また芝1400mの前走で行かせたことで、芝1200mの流れにも乗せやすいだろう。内枠なら一昨年のように、ポンとスタート切って3列目の内という、同馬にとって理想的な競馬に持ち込める可能性もあったが、今年は14番枠。先行策ならコーナーロスが生じ、差し競馬ならペース次第では届かない可能性もあるだけに、やや割引が必要だ。
【能力値3位 サリオス】
2歳時には朝日杯フューチュリティSを快勝し、皐月賞、日本ダービーではコントレイルの2着の実績馬。3歳秋の毎日王冠で3馬身差の圧勝を収めたが、それ以降はスランプに。スランプの原因は状態面の問題よりも、不適条件を使われたことが大きいと見ている。同馬はこれまでマイルを7戦しているが、1分32秒4の持ち時計しかなく、3着以内だったのは昨年の香港マイルを含めてそれよりも遅いタイムの決着。
それゆえに時計の掛かる馬場の前走香港マイルでは、同馬の好走に期待したが、予想どおり3着と善戦。1番枠からまずまずのスタートを切り、そこから外の各馬の出方を窺いながら、じわじわハナを主張し、最終的には主導権を握る形。スローペースの逃げで3着に粘った。走破タイムは1分34秒1。
サリオスは時計の掛かる馬場やスローペースのマイル戦で好走、また3歳時の毎日王冠で自己最高指数を記録していることから、ベストは中距離だろう。スプリント戦でも時計の掛かる決着ならチャンスはあるが、テンが速いと置かれてしまう危険性がある。今回は1番枠。外の各馬が内に切ってくることで、道中の位置がかなり悪くなってしまいそうだ。そうなった場合、最後の直線でどうやって進路を確保するか。展開によってはあっさり優勝する可能性もあるが、大凡退もあると見ている。
【能力値4位 トゥラヴェスーラ】
昨年の高松宮記念では、重馬場で前半3F34秒1-後半3F35秒1の速い流れを生かして、中団外からラスト1Fでダノンスマッシュの直後を狙い、人気薄ながら4着と善戦。同馬はその後の京王杯スプリングCで2着、前走の阪急杯では長期休養明けながら2着と好走した。
同馬はどうしてもワンパンチ足りない印象が強く、毎回人気にならないが、近2走はレースが平均ペースで流れた中で、上がり3F最速タイムを連発している。地力強化が著しく、能力自体は今回のメンバーでも通用するレベルまで上がってきていると見るべきだろう。
ただし、今回は休養明けの前走で自己最高指数を記録した後の一戦。いわゆる二走ボケを起こしやすい臨戦過程でもある。そんなものは関係ないとばかりに更なる上昇を見せるか、やはり疲労が残っており凡退してしまうか。また、同馬は4角まで脚をタメる競馬で上昇したタイプだけに、勝ちにいく競馬をした場合の不安もある。
【能力値5位 メイケイエール】
誰もが知る気性難。前走のシルクロードSは3番枠から五分のスタート切り、意識的にじわっと促して先行争いに絡んでいく競馬。最終的に外のビアンフェを行かせて、同馬から離れた2列目の内。3~4角でも2列目の内で我慢しながらスペースを確保し、4角では楽に上がって直線へ。直線では早め先頭から最後までしぶとく粘って優勝した。
前走は暴走しなかったが、同馬が暴走する時はチューリップ賞や桜花賞のように包まれたとき。前の馬に乗っかかりそうになるタイプだけに、包まれなかった前走から暴走癖が改善されたとは言えない。個人的にはまだ気性の危うさを感じているだけに、包まれずに追走できる外枠はプラス。前走からさらなる成長があれば、ここで通用する可能性はある。
【能力値5位 ロータスランド】
昨春に2勝クラスを勝ったばかりで、米子Sに格上挑戦、その後の関屋記念も制し見事にサマーマイル王者に輝いた。4走前の関屋記念では、6番枠から積極的にハナを主張したが、外からきたマイスタイルを行かせて、離れた2列目の内を追走。最後の直線では2番手まで上がり、ラスト2Fで最内から先頭に立って押し切る強い内容だった。
同馬はキレるというより、先行してスピードの持続力を生かす競馬をしてきた馬。それだけに前走の京都牝馬Sは「距離が短くなるのはどうか?」と考えていたが、鞍上の積極的にハナ争いに絡んでいく強気な先行策がハマっての好走。一旦は2番手の外に収まりかけたが、3角でまた逃げ馬アスタールビーに並びかけ、4角で仕掛け先頭に立ち、そのまま押し切る意外性のある競馬だった。
休養明けで自己最高指数を記録した直後の一戦では思わぬ反動が出てしまうことは多々あり、今回はその点が懸念材料となる。しかし前走を見る限り、本質がスプリンターであった感が強い。勢いのまま更なる上昇を見せる可能性も十分に警戒しておくべきだ。
穴馬は逃げる可能性の高いレイハリア
レイハリアはデビュー当初からスプリント路線を使われてきた馬。昨年3月にダ1200m戦を逃げ切り勝ちすると、その後、破竹の4連勝で昨夏のキーンランドCを制した。同馬はそのキーンランドCでは斤量51Kgを生かして12番枠からトップスタートを切り、内の馬の出方を窺いながらの競馬。メイケイエールが捌いて上がってきたので、それを行かせて2列目の内に収める形と理想的な競馬だった。4角でもメイケイエールを見ながら、最内でレースを進めていたため包まれかけたが、カイザーメランジェが4角で先頭に並びかけ、直線早めで先頭に立ったことで、その後ろから抜け出し優勝した。
キーンランドC当日は、Cコース替わりと言っても劇的な変化はなく、ややタフな馬場。レースは前半3F34秒0-後半3F35秒1のハイペースで、ハナを主張したメイケイエールが7着に失速した一方、出遅れて最後方付近からじわじわ位置を押し上げたエイティーンガールが2着したように、差し、追い込み馬有利の流れとなった。その流れを先行策から押し切って優勝した内容は優秀。
前走の京阪杯は、4回阪神から16日間使用したAコース最終日でタフな馬場だった。逃げたファストフォースにサヴォワールエメらが競り掛けていく形で、レースが緩みなく流れたため、逃げ、先行馬には厳しい展開。追い込んできたエイティーンガール、タイセイビジョンが浮上したレースだった。その流れをスタミナが不足する休養明けで外枠15番枠から前に競り掛けていき、3~4角でも2列目の外では16着大敗も仕方ない。
今回は前走から立て直されての始動戦。この中間は動きも良く、復調気配が窺える。スプリント路線では活躍が目立つ4歳馬、まだ伸びしろも見込めるだろう。そのうえスタートが速く逃げられる強み、他馬がハナを主張してくれば2番手でも上手く折り合える強みもあるので、ここは一発の可能性が十分あると見る。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)レシステンシアの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【高松宮記念】本命はメイケイエールとグレナディアガーズの2択! レシステンシア消しで爆穴馬にもチャンス?
・【高松宮記念】好データは「前走1着」「阪急杯組」など GⅠ制覇へ、機は熟したダイアトニック
・【高松宮記念】レシステンシア中心もグレナディアガーズの可能性とメイケイエール、ナランフレグの適性にかける!
