【高松宮記念】3強にあらず、隠れた実力馬多数 京大競馬研の本命は末脚切れるナランフレグ

京都大学競馬研究会

高松宮記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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重馬場で光るダート血統、追い込み馬軽視は早計

3月27日(日)に中京競馬場で高松宮記念(GⅠ)が行われる。昨年短距離GⅠで全て2着のレシステンシア、一昨年の2歳王者グレナディアガーズ、荒ぶる重賞4勝馬メイケイエールの3強ムードが漂う一戦。その他にも重賞馬は多数いるが、3強それぞれが勝ち方など他と比べて目を引く競馬をしてきたことは間違いない。しかし果たしてこの3頭で堅く買ってしまってもいいのか。データをもとに調査しよう。


過去10年高松宮記念ラップ,ⒸSPAIA


まずは過去10年の好走馬の通過順位と前後半のラップについて調べた。1月に同コースで行われたシルクロードSの際に、中京芝1200mの脚質別成績をあげて「上のクラスほど末脚重視で、逃げ馬には厳しいコースである」と述べた。


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高松宮記念も例外ではなく、逃げ馬の好走は20年1着のモズスーパーフレア(2位入線から繰り上がり)と13年3着のハクサンムーンのみと当てにできない。対照的に、二桁番手からの追込みが7頭届いているなど差し馬の台頭が多い。

良馬場以外で行われた年は10年中5年あるが、後方待機勢の末脚は削がれることなく3頭が連対している。その3頭とは、顕彰馬クラスだった20年2着グランアレグリア、17年2着レッツゴードンキと14年2着スノードラゴン。後ろの2頭はダートでも好走歴がある。また17年に中団から伸びて3着だったレッドファルクスもダートで4勝を挙げるなどパワー豊富。この3年とも1着は先行した馬であり、印を追い込み馬で固めるのは禁物だが、雨予報の今回はダート血統の差し馬を1頭以上は馬券に入れておきたい。


勝ちは6歳まで、7歳以上不振も3着は考えたい

過去10年高松宮記念年齢別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の年齢別成績を調べた。勝ち馬を最も多く輩出しているのは5歳馬で【5-2-3-36】、複勝率は21.7%となっている。複勝率ベースだと4歳馬【3-2-4-30】の複勝率23.1%、6歳馬【1-6-3-34】の複勝率22.7%もほぼ互角で、この三世代はあまり優劣をつけずに検討するべきだ。

一方7歳以上は【1-0-0-49】。香港スプリント覇者のエアロヴェロシティ以外は馬券に絡めておらず、そのエアロヴェロシティも南半球産馬で実質6歳だったことを考えると、全滅と言って差し支えない。4、5着になった例は複数あり、7歳以上の高齢馬に好走の可能性が欠片も無いとは言い切れないが、加齢によってどうしても若い馬に末脚で劣ってしまうため、買うなら3着までに留めておくべきだ。

データ上はレシステンシア不動だが…

◎ナランフレグ
2走前は大幅に馬体を増やしたが末脚鈍らず3着、前走は直線短い中山で前残り決着に割って入る2着。ここに来ての馬体増は太め残りではなく、充実期に入ったものと考えられる。中京に戻るのはもちろんプラス材料。父ゴールドアリュール、母ケリーズビューティは船橋4勝のダート血統でパワーは折り紙付き。相手は一気に強化されるが、展開に左右されない強烈な末脚でどれだけ前を捉えきれるか。実績から穴人気はしてしまうが、中穴程度で落ち着くのであれば単勝を買いたい。外を回して豪快に伸びる派手な競馬は、脳に強烈な刺激をもたらすこと間違いなしだ。

◯レシステンシア
昨年の同レースは外枠が響いて2着、スプリンターズSはピクシーナイトに完敗の2着、香港でも故障のあおりを受けながら2着。馬自身はそつのないハイレベルな競馬をしている上に、データでも5歳の先行馬と好走条件に合致。休み明けもプラスで三連系の軸としては最適だ。しかし枠や展開などの面で運に見放されているのが現状。勝った阪神JF以降、マークされる立場になると末脚で勝ち馬に劣ってしまう。些細なことでケチをつけてしまったが、“運も実力のうち”でどうしても単勝では買いづらい。

▲ロータスランド
京都牝馬Sは馬場の差を考慮しても、走破時計や上がりの脚などはグレナディガーズ(阪神C)や、ダイアトニック(阪急杯)と互角の内容。その前走は太め残しだったため上積みがかなり大きい。マイルまでこなせるスタミナもプラスで、先行してレシステンシアと同じ位置から早めに追い出せたらスタミナの差で抜き去ってもおかしくない。5歳先行馬とデータも後押し。

△メイケイエール
前走で折り合いが大幅に改善し、馬具の効果で快勝。2走前のスプリンターズSも4着でまともならレシステンシアと互角。ただ気性の問題は残っているためこれ以上の印には出来なかった。本馬場入場までしっかり見たい。

×トゥラヴェスーラ
前走は長期休養明けながら内からダイアトニックの後を伸びて2着。強い相手をマークして競馬すると伸びるタイプ。上位勢との差は小さいが、マーク戦法の特性上相手の動きを見てから追い出すため頭は厳しい。年齢もあって評価を下げた。

×グレナディアガーズ
阪神Cでスプリント適性を見せた。中京巧者の福永祐一騎手騎乗で無視できないが、競馬の内容はダイアトニック、ロータスランドと互角止まりで突き抜けてはいない。中内田充正厩舎は古馬戦で成績を落とす傾向があり、3強の中では頼りない。

×ダイアトニック
阪急杯で久々の勝利、ようやく復調した。一昨年3着の得意舞台。だが年齢から評価低め。

消サリオス
まさかの短距離出走。朝日杯FSは能力の差でこなしたのであって、昨年はマイルで先行しても差しても完敗したように距離が合わない。本質は中距離馬。ハーツクライ産駒は短距離GⅠで馬券になったことがなく適性に疑問符。大阪杯で見たかった。

馬券はナランフレグとロータスランドを軸にして、紐は△までの馬連5点、三連複レシステンシア1頭軸の15点、ナランフレグの単勝を大量に購入。テレビの前で大きな声で「差せー!」と必死に叫び続けようと思う。アドレナリンと一緒にお金も湧かせてくれると最高だ。(文:福山)

高松宮記念 予想印
◎ナランフレグ
◯レシステンシア
▲ロータスランド
△メイケイエール
×トゥラヴェスーラ
×グレナディアガーズ
×ダイアトニック

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。部員は随時募集中。



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