【マーチS】今年こそ大波乱の予感! キーワードは6歳以上、コース巧者、前走重賞大敗、そして斤量減!

勝木淳

マーチSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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6歳以上から評価

マーチSが高松宮記念と同日施行になったのは01年から。震災の影響で変則日程になった11年も含むと、この間21回で1番人気はたった2勝。20年スワーヴアラミスの勝利は09年エスポワールシチー以来11年ぶりだった。唯一の中山ダート1800mの重賞、そしてハンデ戦。高松宮記念とはひと味違った難しさがある。ここでは過去10年間のデータから馬券に役立つヒントを探っていきたい。


過去10年マーチS人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、なかなか勝てないどころか、2、3着も10年で1頭ずつ。思い切って消してもいいぐらい。ただそこを強調すると裏目が出るのも競馬。1番人気を軽視するなら、根拠を持って実行したい。むしろ2番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%がいい。一方、6番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、8番人気【2-0-1-7】勝率20.0%、複勝率30.0%など伏兵にも注意が必要で、10番人気以下【1-2-3-63】勝率1.4%、複勝率8.7%まで気を抜けない。


過去10年マーチS年齢別成績,ⒸSPAIA


ダート重賞はベテランも注意というレースは多いが、マーチSはさらにその上を行く。年齢別でもっともいいのは6歳【5-5-2-34】勝率10.9%、複勝率26.1%。ついで5歳【3-1-3-27】勝率8.8%、複勝率20.6%、4歳【1-2-2-28】勝率3.0%、複勝率15.2%の順。なお6歳の単複回収値は145、104。また7歳以上も【1-2-3-40】勝率2.2%、複勝率13.0%、単複回収値55、140なので、目つけは6歳以上に。ここがほかの重賞とは違うので、入り口を間違えないようにしたい。


過去10年マーチS斤量別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦なので斤量もチェック。軽量は53キロ以下【0-0-0-11】、54キロ【1-0-2-20】勝率4.3%、複勝率13.0%と強調しづらい。ただし、55キロ以上にはわかりやすい傾向がない。もちろん58キロ【1-1-1-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、57.5キロ【1-2-0-11】勝率7.1%、複勝率21.4%と重ハンデは買える。ただ頭数が少ない。頭数がそれなりにいて、好走するのは56キロ【3-3-2-29】勝率8.1%、複勝率21.6%。その前走成績は2着以内【1-1-2-8】、10着以下【2-0-0-4】と極端。このふり幅がマーチSの難しさだ。


注目はアイオライトのハンデ

人気、年齢、斤量とデータを調べたところで、ここからは前走成績に注目し、さらに好走候補を見極めていきたい。


過去10年マーチS前走レース別成績,ⒸSPAIA


まず前走レース別成績。着度数トップは総武S【2-4-1-20】勝率7.4%、複勝率25.9%。中山ダートは2回開催も良馬場ならば乾燥した状態が続き、冬のように上がりを要する。JRA10場でもっとも重いダートで、コース相性がモノをいう。そうした背景が総武S組優位にはある。


過去10年マーチS前走総武S組脚質別成績,ⒸSPAIA


今年の総武S組は4着ダノンファスト、14着マイネルユキツバキなどがいる。その位置取り別成績が傾向をつかみやすい。後方【0-0-0-6】に対し、先行【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%、中団【0-3-1-6】複勝率40.0%と機動性が重要。時々派手な追い込みが決まるコースではあるが、重賞ともなれば甘くない。4コーナーで先頭を射程に入れられる形が理想だ。マイネルユキツバキよりダノンファストを選びたい。


過去10年マーチS前走仁川S組着順別成績,ⒸSPAIA


次に同じOPの前走仁川S【1-2-2-17】勝率4.5%、複勝率22.7%。ここは4着ヒストリーメイカーがいる。その着順別成績は基本的に好走した組、4着以内【1-2-2-4】、5着以下【0-0-0-13】。ヒストリーメイカーの4着は【0-1-0-2】。昨年マーチS2着の実績馬。今年も注目したい。


過去10年マーチS前走JRA重賞組着順別成績,ⒸSPAIA


では前走JRA重賞組はどうだろうか。フェブラリーS【2-0-0-6】を除くと、東海S【0-0-0-4】、根岸S【0-0-0-1】などマーチSでは前走重賞組はイマイチ。とはいえ、サンプル数が少なく、この成績だけで東海S、根岸S組をバッサリ行くのは危険。というのも今年は東海Sから3着ブルベアイリーデ、8着ケンシンコウ、13着アイオライト、根岸Sからオメガレインボーが出走予定。東海Sは過去10年と変わらない数が出走してくる。これは過去データを信用しない方がいい。

そこであえて個別ではなく、ざっくりJRA重賞組というくくりで着順別成績を出す。前走JRA重賞5着以内は【0-0-0-3】で掲示板を外した組、特に10着以下【3-1-1-15】勝率15.0%、複勝率25.0%が結果を出す。


過去10年マーチS前走JRA重賞組斤量別成績,ⒸSPAIA


ふたつ目のポイントは斤量。前走JRA重賞組で今回斤量が前走より減った馬は【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%。増減ゼロ【1-0-0-11】、斤量増【1-0-1-14】なので、前走JRA重賞組は斤量減を狙いたい。前走凡走で重賞ではまだ厳しいとハンデキャッパーにジャッジされた馬が巻き返す。確定ハンデ次第だが、東海S13着アイオライトは別定で56キロだったが、重賞実績がないだけに、もしかすると斤量減の可能性がある。確定ハンデを待ちたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


マーチSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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