【阪神大賞典】スタミナ抜群ディープボンド! 復調気配トーセンカンビーナも上位争いだ

坂上明大

有馬記念馬場/展開バイアス:内後有利,ⒸSPAIA

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不完全燃焼のGⅠ入着馬

天皇賞(春)の最重要ステップレースに位置づけられる阪神大賞典。昨年同様、京都競馬場の改修工事の影響により天皇賞(春)が阪神芝3200m(外→内回り)で行われるため、同じく阪神芝内回りで行われる本レースの重要度は非常に高い。本番に向けても目が離せない一戦だ。参考レースの内容を見ていこう。

【ステイヤーズS】
9月以来約2カ月ぶりの開催で絶好の馬場コンディション。例年とは異なりエアレーション作業をしておらず、硬めの馬場状態で時計は速め。レースはカウディーリョがハナを切ったが、遅過ぎるペースを嫌ったアイアンバローズが1周目向正面でハナを奪う形に。それでも、1000~2600mを1000m換算した場合の区間別ラップは65.3-64.6‐58.9で、近年の超長距離重賞らしい超スローペースの展開となった。勝ち時計3.47.6は過去10年で3番目に遅い数字。

2着馬アイアンバローズは主導権を奪ってからは終始マイペースで、残り1000m強からロングスパートを開始。ゴール直前でディバインフォースに差されたが、距離延長と逃げの手で一変して見せた。ただ、走破時計は高く評価できず、展開に恵まれた感も否めないか。

3着馬シルヴァーソニックは好位外目で折り合いスムーズ。ラスト1Fではアイアンバローズに伸び負けており、着順通りの評価が妥当か。

4着馬トーセンカンビーナはまともに出遅れて、勝負どころではスムーズにスパートをかけることもできず。自身の上がり3Fは11.6-11.7-11.7程度と不完全燃焼の一戦であった。

抜群のレースセンスを発揮

有馬記念馬場/展開バイアス:内後有利,ⒸSPAIA


【有馬記念】
馬場の傷みは強かったが、トラックバイアスは内有利と評価。レースはパンサラッサが気風良く逃げて前後半1000m59.4-61.5の前傾2.1秒、2番手タイトルホルダーで同60.3-60.7の前傾0.4秒を計時。近年の有馬記念としては非常にタフな流れで、過去10年では2019年に次いで厳しい展開だったといえる。上位5頭は力が抜けていたが、6~9着馬は二桁番手からの入線。後有利と評価。

2着馬ディープボンドは好位馬群で脚をタメ、直線も比較的スムーズに進路を確保。持続力勝負も得意なクチで、持ち味が存分に活きた形だ。このレースにおいてはやや展開に恵まれた感はあるが、今回のメンバーで抜けた実績馬であることは間違いないだろう。

9着馬ユーキャンスマイルは後方のインでジッと脚をタメたが、直線も目立った脚は使えず。復調に苦戦中か。

格上挑戦での快勝

【万葉S】
12月最終週のBコース開催からAコースに戻り、約3週間ぶりに仮柵が取られた形。昨年のような内枠天国とはならなかったが、良好な馬場コンディションで競馬が行われた。レースはリーヴルが大外枠からハナを主張して、1000mごとのラップは60.3-64.6-59.4。中盤で大きくペースが落ちたが、ステイヤーズSほど楽な展開とはならなかった。

1着馬マカオンドールは中団馬群で折り合いに専念し、直線はラチ沿いから末脚を伸ばす形。ゴール前は2着馬レクセランスとの叩き合いを制して、格上挑戦での勝利を挙げた。ただ、レクセランスが次走のダイヤモンドSで9着と敗れており、本馬は斤量52キロとハンデをもらった立場でもある。重賞となるとさらなる成長が求められるだろう。

3着馬シルヴァーソニックも中団馬群で折り合いスムーズ。レースセンスは高く評価したいが、やはり決め手を欠く印象だ。

現役トップ級のスタミナに期待

天皇賞(春)2着馬ディープボンドは連覇がかかる一戦。有馬記念でも2着と現役トップクラスの実績を挙げており、前哨戦とはいえ恥ずかしい競馬はできないだろう。トーセンカンビーナも一昨年2着の実績馬。復調気配にもあり、今年の顔ぶれなら十分に上位争いに加われる一頭だ。

注目馬:ディープボンド、トーセンカンビーナ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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