【金鯱賞】GⅠ級好時計のジャックドール有力! 穴は距離短縮&左回り魅力のシャドウディーヴァ

坂上明大

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ハイペースの差し決着

大阪杯のステップレースに位置づけられる金鯱賞。GⅠホルダーはもちろんのこと、無冠の素質馬も多数登録しており、非常にエキサイティングな一戦となりそうだ。まずは参考レースから各馬の素質と弱点を探っていきたい。

2022年金鯱賞の参考レースインフォグラフィック,ⒸSPAIA


【エリザベス女王杯】
連続開催、かつ週中の降雨の影響でタフな馬場状態。レースはシャムロックヒルが先手を取ってすんなり隊列が決まったかと思ったが、ロザムールが主張したため前半3F34.1と速い流れに。道中も緩むことはなく、牝馬限定戦としては非常にタフな競馬となった。結果的には道中でジッと脚をタメた馬が上位を独占する形に。後有利。

1着馬アカイイトは残り700mから一気に加速して抜け出す形。キズナ産駒の牝馬らしいTom Fool的機動力に優れ、ラストは失速しながらもリードを守り切った。立派な腹袋も特徴的で心肺機能の高さがうかがえる。展開が向いた感は否めないが、消耗戦では今後も楽しみな一頭だ。

2着馬ステラリアは中団で手綱をガッチリ絞り、向正面で他馬が上がって行ってもジッと我慢。4角でのアカイイトのカットインでやや下がる面があったが、直線もじわじわと伸びて2着に食い込んだ。ウインドインハーヘア増幅型のスタミナ血統。体力勝負なら現役牝馬屈指の一頭だろう。

4着馬ソフトフルートも後方で脚をタメ、直線は馬群を縫って追い上げる形。展開が味方した感は否めないか。

6着馬レイパパレは3~4番手に控えて折り合いに苦労。展開も向かず、さすがにラスト1Fで苦しくなった。距離も1800~2000mがベストだろう。

11着馬ランブリングアレーは抜群の手応えで直線に向いたが、ラスト1Fで失速。オールカマーでも残り100mで脚が上がっており、スローペースでない限り2200mは1F長いか。また、自身の残り1600mからは12.0-11.9-12.1-11.8-12.1-11.9-12.1-12.9程度。道中で小足を使い過ぎた感も。

強敵相手に善戦

【ジャパンC】
乾燥した馬場状態で時計は速め。内外の極端なバイアスはなく、東京競馬場らしい末脚の伸びる馬場状態であった。レースはアリストテレスがハナを切ったが、向正面でキセキがマクッて行く展開に。キセキの後半1600mは11.5-11.2-11.3-11.6-11.7-11.8-12.2-12.6程度。前半1000m62.2のスローペースではあったが、後半はしっかりと持続力が求められる展開となった。

4着馬サンレイポケットは先行策から息の長い末脚。上位馬には一気に突き放されたが、ラスト1Fでは差を詰めており、ジャングルポケット産駒らしい素晴らしい持続力を見せた。持続力勝負になりやすい中京中距離戦も合う。

7着馬シャドウディーヴァは1角でアリストテレスの不利をまともに受け、1~2角を逆手前で走る形に。距離も2000m前後が良さそう。7着と敗れはしたが、十分に評価できる内容であった。

GⅠ級の好時計で快勝

【白富士S】
1着馬ジャックドールは楽に先手を取り切り、1F11.8を上限とした坦々としたラップを刻む。直線に向いても追い出しを我慢する余裕があり、のちの中山記念3着馬アドマイヤハダルの追撃も難なく凌ぎ切って4連勝。

勝ち時計1.57.4は天皇賞(秋)を除いた東京芝2000m戦で最速の好時計であり、否が応でもGⅠでの走りに期待してしまう勝ちっぷりであった。モーリス産駒らしいタフさが持ち味。1600~2000mでの消耗戦がベストだ。

相手強化も通過点!?

目下4連勝中のジャックドール。相手関係は大幅に強化するが、前走のレース内容からすれば十分に勝負になりそうだ。4走前の走りから控えても問題ないだろう。JC4着馬サンレイポケットもひと叩きして巻き返し濃厚。シャドウディーヴァも距離短縮&左回りは魅力大だ。

注目馬:ジャックドール、サンレイポケット、シャドウディーヴァ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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