【チューリップ賞】前走は不利が重なっての惜敗 京大競馬研はナミュールの能力に全幅の信頼

京都大学競馬研究会

チューリップ賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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とにかく阪神JF組が中心

3月5日(土)に阪神競馬場で行われるチューリップ賞(GⅡ・芝1600m)。近年はアーモンドアイやグランアレグリアなど、トライアルを使わず桜花賞へ直行する馬が増えているが、今年は2歳女王サークルオブライフをはじめ、ウォーターナビレラやナミュールなど、有力馬がチューリップ賞に出走してきた。

その他にもサウジアラビアRC2着のステルナティーアや、素質十分のルージュスティリアなどGⅠと遜色ないメンバーが揃う、桜花賞に向けて重要な一戦だ。過去の傾向も踏まえながら予想していきたい。


過去10年チューリップ賞ローテ,ⒸSPAIA


まずは過去10年のチューリップ賞における、3着内馬の前走成績を見ていく。すると、1着馬11頭(2021年は1着同着)のうち8頭が阪神JF組であり、3着内馬に広げても30頭中17頭を阪神JF組が占めていた(18年2着のマウレアは阪神JF→クイーンC→チューリップ賞のローテ)。また阪神JF組で馬券に絡んだ17頭のうち15頭は阪神JFでも5着以内に好走しており、阪神JF好走馬を馬券の中心に据えるべきだろう。

これ以外ではエルフィンS組が3頭好走しているくらいで特段相性の良いローテはないが、新馬戦や未勝利戦を勝ち上がった馬も時々好走している点は押さえておきたい。今年はルージュスティリアをはじめ5頭該当するが、通用する能力にあるかどうかしっかり見極めたいところだ。


差し馬も十分届く

過去10年チューリップ賞通過順位,ⒸSPAIA


次に過去10年の3着内馬について、コーナー通過順を見ていく。トライアルらしく基本的には先行馬有利で、4角3番手以内の馬が6勝、2着1回、3着5回の好成績。しかし差し馬がノーチャンスというわけではなく、4角10番手以下の馬は2勝、2着3回、3着1回と十分結果を残している。勝ち切ったのはハープスターとシンハライトであり相当な大物であったことは間違いないが、アンドリエッテやノーブルスコアなど人気薄も馬券に絡んでおり、決して先行一辺倒ではないことは覚えておきたい。

今年はサークルオブライフとナミュールの人気馬2頭がともに差し馬。もう1頭の人気馬ウォーターナビレラが先行馬なので、先行勢vs差し勢の争いにも注目したいところだ。


ナミュールの能力を信頼

以上を踏まえて本命はナミュールとする。前走の阪神JFは4着に敗れたが、出遅れた上に道中は荒れた内を走らされる展開。さらに直線でも伸びない内を走りながら、上がり最速の脚を使って0.2秒差まで詰めてきた。初めての多頭数で馬体重も10キロ減と、これでもかというほどマイナス材料が重なっていたことを考慮すれば、まさに「負けて強し」の内容だ。

今回、多頭数の競馬は2回目で慣れが見込めること、まだ開催前半で前回のような馬場の不利はなさそうなこと、間隔をあけて馬体を戻してきやすいことを考えれば、仮に出遅れたとしても勝ち切ることができる。相性の良い阪神JF組であり、差し馬にも十分チャンスがあるレースなので、ナミュールの能力を信頼して1着固定で狙いたい。

対抗はサークルオブライフ。阪神JFは中団追走からスムーズに外に出し、突き抜ける快勝。直線に向いてからの伸び脚は素晴らしく、末脚をフルに活かせる阪神マイルは最適な舞台だ。ただ賞金に余裕があり、再度関西圏で桜花賞を控えていることから、あくまで「本番は次」という仕上げになる可能性が高いのも事実。大崩れすることは考えづらく馬券内は外さないだろうが、取りこぼしは十分あるとみて対抗評価にとどめる。

3番手にウォーターナビレラ。阪神JFは3着だったが、早め先頭から押し切ろうかという構えで、最後は止まったものの十分強い内容だった。前で競馬ができるのでスローペースになりがちな前哨戦でも結果を出しやすく、安定感という意味ではかなり信頼できるタイプだ。ただ逆に決め手不足とも言え、上位2頭にキレ負けしそうなのもまた事実。こちらもサークルオブライフと同様、賞金に余裕があり、桜花賞を見据えた仕上げになることも考慮して3番手評価だ。

4番手にルージュスティリア。阪神JF組以外ではまずこの馬を狙いたい。前走は夏の新潟新馬戦だったが、超スローペースとはいえ上がり32秒台の脚を使って快勝。負かした相手はクイーンC2着のスターズオンアースであり、クイーンC3着のベルクレスタ(阪神JF6着、アルテミスS2着)を物差しにすればある程度は通用しそうだ。頓挫がありアルテミスSを回避するなど順調さを欠いたが素質はかなり高そうで、能力を発揮できればチャンスがありそう。2017年には夏の札幌新馬戦以来だったミスパンテールが2着に食い込んだ例もあり、前走新馬戦、休み明けという馬でも決してノーチャンスではない。秘めた素質に期待する手もアリだ。

5番手にラリュエル。前走のクイーンCは初の重賞だったが、好位追走からしぶとく伸びて4着。直線で前が狭くなって追いづらい場面があったことを踏まえれば、2戦目としては上出来の内容だった。川田将雅騎手を確保できたのも大きく、2回目の重賞で慣れが見込める今回はさらなる前進が期待できる。

ステルナティーアの前走は、馬体減と道中不利があったとはいえ物足りない内容。サウジアラビアRCでの2着はあるが、このレースの出走馬はその後重賞で好走した馬が皆無であり、レベルに疑問が残るところ。阪神JF組で6着以下から巻き返した馬は過去10年で2頭しかおらず、上位勢がかなり強力なここは見送りたい。

買い目は3連単◎→◯→▲△×と◎→▲△×→◯の計6点で厚く勝負したい。ナミュールの素質は相当なものだと考えているので、ここを楽に突破してクラシックにつなげてほしいところだ。(文:川崎)

▽チューリップ賞予想印▽
◎ナミュール
◯サークルオブライフ
▲ウォーターナビレラ
△ルージュスティリア
×ラリュエル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史を持つ京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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