【エンプレス杯】「馬に助けられて進路をこじ開けた」 吉田隼人騎手騎乗、1番人気ショウナンナデシコが重賞初制覇

三木俊幸

2022年エンプレス杯を制したショウナンナデシコ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

内でじっと脚を溜めるレース

3月2日(水)に川崎競馬場で行われた牝馬限定の交流重賞、エンプレス杯(JpnⅡ・ダート2100m)。単勝2.1倍に支持されたショウナンナデシコが勝利し、重賞初制覇を飾った。

あまり良いスタートではなかったショウナンナデシコだったが、すぐさま巻き返して1週目の3角では逃げるサルサディオーネの直後、2列目の内でじっと脚をためる形でレースが流れていった。

2週目の3角に差し掛かり、レーヌブランシュが2番手のクリノフラッシュに並びかけていったことで4番手に後退。直線に向いても内に閉じ込められて行き場がなかったが、吉田隼人騎手はサルサディオーネの内が開いた一瞬の隙を見逃さず、狭いスペースを突いた。そこからは一気に突き抜け、ゴール前では後続の脚色を伺う余裕もあり、勝ちタイムは2:15.7(良)だった。

レース後、吉田隼人騎手はインタビューで最後の直線の進路取りについて「スムーズな競馬にはならなかったですが、逃げていた馬(サルサディオーネ)が強いのは分かっていたので、ピッタリついていこうと思っていました。最後は馬に助けられて、進路をこじ開けてくれました」と語った。


2022年エンプレス杯を制した吉田隼人騎手,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



前走のTCK女王盃はテオレーマに僅差の2着、そして今回のレースを見ても改めて力をつけてきている印象を受ける。そのテオレーマは引退することが発表された。今後のダート牝馬路線はこの馬が引っ張っていきそうだ。


2022年エンプレス杯口取り,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

8歳を迎えても牝馬同士なら

1馬身半差の2着はしぶとく逃げ粘ったサルサディオーネ。同じ舞台で行われた川崎記念では好スタートから2角までのラップが6.8-11.3-13.0-13.3-12.9-13.1(1:10.4)、今回も同じくスタートダッシュを決めて6.7-11.5-13.3-13.3-12.9-13.4(1:11.1)のラップ構成。

川崎記念よりトータルすると0.7秒遅いペースで楽だったのもあるが、8歳を迎えても牝馬同士ならまだまだ力は通用するところを見せつけた一戦だった。


2022年エンプレス杯2着サルサディオーネ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)



サルサディオーネとクビ差の3着だったのはレーヌブランシュ。今回は先週末サウジアラビアに遠征した松山弘平騎手から川田将雅騎手に乗り替わり。

スタートで出遅れたが、1週目の正面スタンド前ではショウナンナデシコと横並びの3番手の外までポジションを押し上げた。2週目3角で動いていき、直線では一旦先頭に立ったかと思われたが、最後は苦しくなったのかサルサディオーネに差し返されてしまった。


2022年エンプレス杯3着	レーヌブランシュ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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