【2歳馬ジャッジ】2021年の2歳戦総復習(2) 牝馬クラシック路線の指数トップはサークルオブライフ

山崎エリカ

2021年2歳馬ジャッジPP指数ランキング「牝馬クラシック路線」,ⒸSPAIA

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2021年2歳戦振り返り第ニ弾 牝馬クラシック路線

昨年6月から2歳戦の指数と評価を掲載してきた「2歳馬ジャッジ」。2021年の2歳戦を、路線ごとにPP指数ランキングで振り返っていく。今週は振り返りの第2弾「牝馬クラシック路線」をお送りする。

2歳牝馬クラシック路線 PP指数ランキング (2021年12月31日まで)

1位 サークルオブライフ 指数-15 阪神JF・1着
2位 ロン 指数-14 野路菊S・1着
2位 ラブリイユアアイズ 指数-14 阪神JF・2着
2位 ウォーターナビレラ 指数-14 ファンタジーS・1着
2位 ウィズグレイス 指数-14 未勝利・1着
6位 ナミュール 指数-13 阪神JF4着
6位 ナムラクレア 指数-13 小倉2歳S・1着
8位 ソネットフレーズ 指数-12 デイリー杯2歳S・2着
8位 ベルクレスタ 指数-12 アルテミスS・2着
10位 アルーリングウェイ 指数-11 万両賞・2着
10位 キミワクイーン 指数-11 1勝クラス・1着
10位 コラリン 指数-11 カンナステークス・1着
10位 シゲルイワイザケ 指数-11 アルテミスS・3着

僅差の1位は2歳女王サークルオブライフ

1位 サークルオブライフ
デビュー2戦目の未勝利戦では飛び上がるようなスタートで大きく出遅れ、道中最後方。そこから3角で捲り上げ、4角では好位に上がる負担の大きい競馬。並の馬なら失速当然の競馬ぶりだったが、直線ではそこからさらに伸び、ラスト2Fを12秒0-11秒9と加速を刻みゴール。かなり高い心肺機能の持ち主で、能力の天井はかなりのものと確信させた走り。この連載では高評価し、次走のアルテミスSでは個人的に本命視、見事1着になってくれた。

サークルオブライフは次走の阪神JFも優勝、2歳牝馬チャンピオンになった。並の重賞級の馬ならアルテミスSでかなり走った直後の阪神JFは疲労が残って取りこぼすこともありえたが、そこをクリア。まだまだ奥がありそうだ。

今年の阪神JFの決着指数は近年の同レースと比較するとやや低めだったが、この馬の能力の天井はもっと上と推測されるだけに、3歳牝馬クラシック路線でも期待して良いだろう。今後を推測するならトライアルで負け、本番で巻き返してくるタイプになるように感じる。

2位 ロン
8月函館の新馬戦では5頭立てのレースを逃げ切り勝ちしたロン。数字面はそこまで秀逸ではなかったが、最後までまっすぐ走れたあたりに余裕を感じさせ、意外と強そうだと思わせた。驚かされたのは次走の野路菊S。好位から突き抜けて2着に4馬身差をつけて圧勝、3着に負かしたのは素質馬マテンロウスカイと負かした相手も強かった。

同馬が野路菊Sで記録した指数は古馬2勝クラス勝ち負けレベル。このレベルの指数をデビュー2戦目、重賞以外のレースで記録したとなると、かつて百日草特別で好指数を記録したアサクサキングスを思い出す。当然のことながらロンはこの時点でGⅠ級の潜在能力の持ち主、牝馬ではなく牡馬クラシック路線でも通用する可能性は十分だったし、オークスの最有力候補と言えた。

しかし、残念ながらその後ロンは屈腱炎で戦線離脱。デビュー間もない時点での好指数での激走は大きなダメージが残りやすいもの。復帰を待ちたい。願わくは復帰初戦は能力を出し切らないようにダートに起用してほしい。能力の高い馬は復帰初戦から適条件を使うと、気で走ってしまい、その後ボロボロになってしまうことも多い。ゆっくり大舞台を目指して欲しい馬だ。

2位 ラブリイユアアイズ
新馬戦は平凡なタイムで特に強さは感じなかったが、驚かされたのはデビュー2戦目のクローバー賞。2着ブッシュガーデンを2馬身半突き放し、この時点での指数は世代最高値を記録。この連載では高い評価をした。

次走の京王杯2歳Sは出遅れから好位まで位置を押し上げ、コントロールに苦労してブレーキをかけたりとチグハグな走り。能力を出し切れず敗れたが、阪神JFでは人気薄ながら2着に好走。8番人気ではあったが、クローバー賞で好指数を記録した実力から好走して当然と言えた。指数で能力関係をしっかり把握しておくことに価値があった昨年の阪神JFだったと言える。

阪神JFはフロックで2着だったわけではなく、実力は確かで今後も期待できる。ただ京王杯2歳Sで能力を出し切れなかったことが阪神JFの好走に繋がった面があることも確か。現時点での能力判断は対サークルオブライフでは、やや劣勢という評価。

2位 ウォーターナビレラ
8月の札幌新馬戦を逃げてラスト2F11秒2-11秒4となかなか優秀な内容で勝利。その後もサフラン賞、ファンタジーSを2番手から伸びて勝利するなど、競馬センス抜群の走りを見せた優等生だ。阪神JFも1着、2着馬よりもワンテンポ早く仕掛けての3着で、レース内容は濃い。

これまでの成績は4戦3勝、3着1回、勝利時は小差だがその成績以上に強さがある馬と言える。今後も牝馬クラシック戦線では上位争いする馬だろう。ただ上位争いではなく、本番で勝ちきるためには、戦法やローテーションにひと工夫がほしいところだ。

2位 ウィズグレイス
出遅れた新馬戦では脚を余すようなレースぶりだったが、デビュー2戦目の東京芝2000mの未勝利戦では、古馬の上級条件に匹敵するタイムで6馬身差の圧勝を収めた馬。スピードとスタミナの総合値はかなり高いレベルにある。野路菊Sを勝利したロンとよく似たタイプと言えるだろう。

ただ最後の直線では完全に一杯になっており、余裕があったようには見えず、かなり疲れが残ってしまいそうな走りに見えた。よって次走に関しては過大評価をできない。ただその後も順調に使っていけるほど体質が強い馬なら、未勝利戦の指数はすでに3歳重賞級レベルにあるだけに、当然大きいところを狙っていけるだろう。次走でどんな走りをするかで、今後が占えそうだ。

6位 ナミュール
新馬戦ではラスト2Fで10秒8-10秒7の流れを勝利。破格の潜在スピードを感じさせる走りで、この連載でもとても高く評価。その期待に応えて、次走の赤松賞で強烈な末脚を発揮し、強さをアピール。阪神JFでは1番人気に支持された。

阪神JFは当初から予想されたように、お約束の出遅れで不発。ただそれでも馬場の悪い内からしっかり4着と上位に食い込んだように、負けて強しの内容だった。おそらく阪神JFに出走した馬の中で潜在的なスピード能力は一番だろう。現時点では不安要素もあり、春のG1戦で確実に結果が出るとは言い切れないが、将来的に大きなところを獲れる潜在能力の持ち主であることは間違いない。

6位 ナムラクレア
デビュー2戦目のフェニックス賞では、出遅れて最後方から3角3番手まで上がっていく、ロスの大きい競馬ながら勝利し、着差以上の強さを感じさせた馬。ロスを克服して勝利するような馬はかなり強くなることが多い。個人的に小倉2歳Sでは本命視、その期待に応えて優勝してくれた。ただ、内荒れの外差し馬場を利したものではあった。

それでもその後はファンタジーS2着、阪神JFでは5着と好走しているように、高い能力を持っていることは間違いない。阪神JFの上位馬たちに対しては現時点では逆転できる要素が少ないが、戦法などを工夫すれば、ノーチャンスではないだろう。

8位 ソネットフレーズ
新馬戦では出遅れたがすぐに好位に取りつき、3馬身半差で圧勝した馬。強さを感じさせるレースだったと同時に、気合をつけて外目から位置を上げていくロスのある競馬ぶりに、能力の天井はもっと上だなと感じた。

次走のデイリー杯2歳Sではいきなり2着とやはり強かった。ノーザンファームの馬らしく、今後も疲れを取りながらゆったりなローテーションでいくと思われる。よって、あまり馬券的な妙味を感じる馬ではないが、着実に自分の能力を発揮しながら活躍する馬になりそうだ。

8位 ベルクレスタ
新馬戦ではセリフォスの2着。この連載ではその時点で次走未勝利戦を勝利し、このまま伸びていくのではないかと予感めいたことを記したが、その予想通りアルテミスSで2着と化けてくれた。

阪神JFでも期待したのだが結果は6着、やや仕掛けが早く、そのぶん伸びきれなかった印象だったが、力負けであったことは確か。阪神JFの上位入線馬たちに対してはやや劣勢。この春に結果を出すためにはかなりの成長が必要だと見る。

10位 アルーリングウェイ
新馬戦ではなかなかの好指数勝ちした馬。かといって次走すんなり伸びる馬ばかりではないが、アルーリングウェイは次走万両賞で強敵マテンロウオリオンの2着と好走、しっかりと成長を見せた。それも自ら勝ちにいってのクビ差の2着だっただけに、内容は勝ち馬よりも上だったと評価できる。。次走のレース内容次第ではトップグループに一気に食い込んでいきそうな馬だ。

10位 キミワクイーン
6月東京の新馬戦でラスト2F10秒8-11秒0の内容はかなり優秀で、この連載ではかなり期待を込めて評価した馬。次走の新潟2歳Sでは6着だったが、続く1勝クラスでは新潟2歳Sで3着のオタルエバーを負かし、なかなかの指数を記録と着実に成長。阪神JFでは10着に敗れたが、勝ちにいくレース内容は悪くなかった。今後も勝ったり負けたりしながら、馬券妙味のある馬として活躍しそうだ。

10位 コラリン
デビュー2戦目の未勝利戦では出遅れを挽回して先行勢の直後まで位置を押し上げ、4角では仕掛けて先頭に並びかけていくロスのある競馬で勝利。高い評価をした馬。その期待に応えてカンナSを快勝、京王杯2歳Sでも4着と好走した。同馬はいつも多少出遅れており、まだ能力を出し切ったとは言えない走り。今後も勝ったり負けたりしながら、オープン級で活躍していく馬になりそうだ。

10位 シゲルイワイザケ
7月小倉の新馬戦を勝利した馬。ただそこまで光る数字はなく、高い評価はできなかった。しかし、その後はサフラン賞、アルテミスSで3着。強敵を相手に好発を決めて好位からの競馬で健闘を続けている走りはまぐれとは言えない。今後も人気にはなりそうもないが、実力は高いものがあるだけに、要警戒の馬だ。


2021年2歳馬ジャッジPP指数ランキング「牝馬クラシック路線」,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)サークルオブライフの阪神JF1着時の指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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