【2歳馬ジャッジ】イクイノックス、ナミュールはクラシック候補! 今後も大注目の2頭

山崎エリカ

2021年11月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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2頭のクラシック候補が現れた11月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は東京スポーツ杯2歳Sを勝利したイクイノックス、赤松賞(1勝クラス)を勝利したナミュールなどがでた11月20日、21日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

11月20日(土) 東京2R 優勝馬 ジュンブロッサム 指数-8 評価B
この未勝利戦は前走で2着だった馬が3頭、その他にも前走で掲示板を確保していた馬が多く出走し、レース前からハイレベルな一戦になると予想された。結果は前走の新馬戦で2着だったジュンブロッサムが、未勝利クラスとしてはかなり優秀な指数でレコード勝ちを収めた。デビュー2戦目でこの指数が記録できるならば、今後もなかなか楽しめそうだ。

ただ、このレースがレコード決着になった理由は、飛び上がる感じでトップスタートを切って逃げたユイノゴトクが、途中から暴走気味に後続を引き離して逃げたためだ。馬場の良い芝のレースは逃げ馬がレースを引っ張れば、走破タイムは速いものが出てしまうもの。レコードタイム勝ちをした馬は、その後過剰人気になりやすい面があるが、芝のレースは走破タイムではなく、いかに後続馬に着差をつけたかどうかが、能力を評価する上では大事になる。

11月20日(土) 東京11R 優勝馬 イクイノックス 指数-15 評価AA
新馬戦では好位から突き抜けて独走、好指数で勝利したイクイノックス。今回はデビュー2戦目、この馬の潜在能力が思いのほか低かった場合は、新馬戦勝ちのダメージが残って凡退というパターンも考えられた。しかし、そんなことはこの馬には関係なかった。最内枠から控えて中団後方で脚をタメ、最後の直線で外に出して豪快に突き抜けて勝利した。

指数は現2歳世代芝部門では、札幌2歳S勝ちのジオグリフと並んでトップとなった。ジオグリフの札幌2歳Sはやや展開に恵まれた面があったが、イクイノックスの今回はラスト2Fで11秒9-11秒4秒とまだ余裕を感じさせるもの。東京スポーツ杯2歳SはGⅡ昇格初年度から、クラシック候補を出現させた。

11月21日(日) 東京6R 優勝馬 ダノンベルーガ 指数-6 評価A
好スタートからすっと控えて中団で折り合う競馬となったダノンベルーガ。道中はあまり良い手応えではなかったが、最後の直線を向いて外に出されると、グイグイ伸びラスト1Fで前を交わし、そのまま突き抜け、3着馬には7馬身差をつけて好指数勝ちを収めた。

ラスト2Fは映像で見た通りの感じで、11秒2-11秒5と失速しているが、上がり3Fタイム33秒1はこの日の東京芝の全レース中、NO.2に当たるもの。かなり優秀と言える。なかなか面白い存在になりそうだ。

11月21日(日) 東京9R 優勝馬 ナミュール 指数-12 評価AA
新馬戦ではラスト2Fで10秒8-10秒7の流れを勝利し、この連載では高評価したナミュール。今回はデビュー2戦目、新馬戦も出遅れたが、今回はもっと大きく出遅れ、道中は中団の外からレースを進めた。

最後の直線では完全に前が残りそうな展開だったが、上がり3Fタイムはこの日の東京芝で最速の33秒0の脚を繰り出し、あっさり差し切った。これで2戦2勝。出遅れ癖が多頭数になった場合に気になる材料ではあるが、新馬戦のラスト2Fで示した通り、秘めたスピードは抜群の馬。牝馬クラシック戦線で大きな仕事が期待できる。

11月21日(日) 阪神4R 優勝馬 アストロフィライト 指数-3 評価B
現在活躍中のグレナディアガーズの妹ということで、今回の新馬戦では1番人気の支持を受けたアストロフィライト。スタートでははっきりと出遅れ、道中は後方内からの競馬となった。直線では他の馬が馬場の荒れた内を避ける中、最内に進路を取って見事に突き抜けた。

走破タイムはこの日の阪神芝としてはなかなか優秀。ただラスト2Fは10秒9-12秒1と急失速した形。緩みないペースで走破タイムが速かった分、さすがに最後は各馬ともに苦しかったのだろう。こういった余力を残せない新馬戦は、疲れが残りやすいので過大評価はできないが、アストロフィライトは出遅れを挽回して勝利したという、数字以上の強さがある。大事に使えば強くなりそうだ。

11月21日(日) 阪神5R 優勝馬 セレシオン 指数-5 評価B
やや出遅れて道中は前3頭から少し離れた中団からの競馬となったセレシオン。現在の阪神芝2000m以上はタフなレースになりやすい馬場状態。セレシオンは道中あまり行きっぷりが良くなかったが、馬場がタフなだけに他の馬がバテ始め、自然とポジションが上がり、4角では好位の外に進出。そこからバテ比べとなったが最後までしっかりと伸び、新馬戦としてはなかなかの好指数で勝利した。タフな消耗戦を勝利しただけに、やや疲労が気になるところだが、能力は高そうだ。

11月20日(土) 福島5R 優勝馬 タイラーテソーロ 指数-2 評価B
好ダッシュから逃げる競馬となったタイラーテソーロ。道中はペースをぐっと落として絶妙な逃げ。最後の直線では後続馬の追い上げが激しく、失速しそうになったが、最後にまた盛り返して見事に逃げ切った。ラスト2Fは12秒0-11秒7。あの最後の盛り返しが最後のラップに現れている。なかなか良い内容の新馬戦勝ち。地味だが楽しめる馬になりそうだ。

2021年11月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)イクイノックスの指数「-15」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.5秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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