【天皇賞(秋)】ルメール騎手同レース4連覇へ視界良好 東大HCが東京芝2000mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

東京芝2000mのコース傾向,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は東京芝2000mを舞台に、秋古馬三冠初戦・GⅠ天皇賞(秋)が行われる。大阪杯3着以来の実戦、復権を期す昨年の三冠馬コントレイル、1200m・1600mに続く「三階級GⅠ制覇」をもくろむ女王グランアレグリア、古馬との初対戦で世代交代を目指す3歳馬エフフォーリアの3強に、善戦ホース・カレンブーケドール、天皇賞春秋制覇を目指すワールドプレミア、未完の大器ポタジェなど、伏兵勢にも楽しみなメンバーが揃った。

当該コースの重賞は天皇賞(秋)と、オークストライアル・GⅡフローラSの2レース。今週は「東京芝2000m」の特徴をデータで分析していく(使用するデータは2016年10月29日~2021年10月24日)。

まずはコース紹介。1コーナー奥に設けられたポケット地点をスタートしてから間もなく2コーナーを迎えるため、外枠の馬は内に切れ込みにくく距離ロスが大きくなりやすい。向正面で上ったのち3コーナーに向かってなだらかな下りを通過、大ケヤキに迎えられる4コーナーを過ぎると最後の525.9mに及ぶ直線で高低差2mの坂が待ちうける。末脚とスタミナの総合力が問われるチャンピオンコースだ。

1枠最有力、3枠と8枠はかなり厳しい

東京芝2000mの枠順別成績,ⒸSPAIA



<東京芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【30-24-19-155】勝率13.2%/連対率23.7%/複勝率32.0%
2枠【21-17-18-183】勝率8.8%/連対率15.9%/複勝率23.4%
3枠【20-24-27-184】勝率7.8%/連対率17.3%/複勝率27.8%
4枠【25-25-20-201】勝率9.2%/連対率18.5%/複勝率25.8%
5枠【22-28-32-214】勝率7.4%/連対率16.9%/複勝率27.7%
6枠【21-24-27-253】勝率6.5%/連対率13.8%/複勝率22.2%
7枠【28-28-22-284】勝率7.7%/連対率15.5%/複勝率21.5%
8枠【34-31-36-278】勝率9.0%/連対率17.2%/複勝率26.6%

枠別成績では1枠が頭一つ抜けている。唯一複勝率が3割を超えている上に全体の単勝回収率も108%とくれば逆らいようがない。天皇賞(秋)でも2005年・14番人気1着のヘヴンリーロマンスを筆頭に好走馬が続出しており、独特なスタートからロスなく運べる内枠を重視しておきたい。

全体成績ではイメージほど外枠の好走率が悪くないものの、こと天皇賞(秋)に限定すると高い壁が浮かび上がる。東京競馬場のコース改修を経た2003年以降の同レースにおいて8枠は【1-0-3-45】複勝率8.2%、複勝回収率18%だ。改修元年の2003年こそシンボリクリスエスが大外枠から快勝したものの、それ以降は勝ち馬が出ていない。

なお、天皇賞(秋)で最も勝ちに見放されているのは3枠。2019年のアエロリットなど、3着に入るシーンは時たま見られるものの、最後に連対したのは1999年のステイゴールド、最後に勝ったのは1987年のニッポーテイオーで、実に33年間勝利に見放されている。2011年のブエナビスタをもってしても4着に敗れており、アタマはないと見て買い目を工夫するのが吉だろう。

東京芝2000mの脚質別成績,ⒸSPAIA



<東京芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【33-26-20-128】勝率15.9%/連対率28.5%/複勝率38.2%
先行【87-81-66-465】勝率12.4%/連対率24.0%/複勝率33.5%
差し【64-64-75-588】勝率8.1%/連対率16.2%/複勝率25.7%
追込【16-28-40-560】勝率2.5%/連対率6.8%/複勝率13.0%

脚質別成績では当然ながら逃げ・先行有利。ただし他コースほど好走率や回収率が高くないことは頭に入れておきたい。能力で劣る馬が逃げ残るケースはそれほど多くなく、実力をフェアに試される舞台という側面が見えてくる。

天皇賞(秋)でも東京改修後の2003年以降に限ると逃げは【0-1-2-15】と未勝利。馬券になった3頭は2008年のダイワスカーレット(2着)、2018年のキセキ(3着)、2019年のアエロリット(3着)といずれも世代の一線級だった。

対照的に台頭するのが差し馬で、2003年以降の天皇賞(秋)18レース中12勝を挙げている。このうち前走上がり3ハロン3位以内だった馬は【8-4-5-40】で、単勝回収率は272%と高い水準。しぶとく末脚を伸ばせる馬に信頼を置きたい。

2着を死守するディープ産駒

東京芝2000mの種牡馬別成績,ⒸSPAIA



<東京芝2000m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【34-40-34-174】勝率12.1%/連対率26.2%/複勝率38.3%
エピファネイア【5-3-2-24】勝率14.7%/連対率23.5%/複勝率29.4%
ロードカナロア【5-4-9-20】勝率13.2%/連対率23.7%/複勝率47.4%
モーリス【4-4-2-7】勝率23.5%/連対率47.1%/複勝率58.8%

種牡馬別成績ではディープインパクトが2位のハーツクライに大差をつける34勝でトップ。ただし人気馬が勝ち切れず、単勝回収率は35%と厳しい数字となっている。

その傾向は天皇賞(秋)でも変わらず、2013年以降のべ46頭を送り出して勝ったのは2014年のスピルバーグのみ。とはいえ、2017年以外は全て2着を死守し、1番人気馬が2013年のジェンティルドンナ(2着)のみであることに情状酌量の余地はある。コントレイル・グランアレグリアがともに連を外すようなことはまずないだろう。

エピファネイア産駒は3番人気以内で【4-3-0-4】連対率63.6%のハイアベレージをマーク。エフフォーリアは2歳時に同舞台の百日草特別を快勝している。ただし3歳以上で【1-0-0-16】とほとんど結果が出ておらず、3強から評価を下げるならここか。

穴で面白いのはロードカナロア産駒。こちらは3歳以上の牡馬が【2-3-4-3】複勝率75.0%と素晴らしい成績。複勝回収率は200%超えと爆発力もある。天皇賞(秋)に出走するカイザーミノルは前走の毎日王冠でシュネルマイスターから0.3秒差の5着。今年のGⅡ・3戦はいずれも評価できる走りで、人気薄だろうが買い目に入れておくべきだ。その他、天皇賞(秋)に産駒の出走はないものの、モーリスも目を見張る数字。追いかける価値があるだろう。

東京芝2000mの騎手別成績,ⒸSPAIA



<東京芝2000m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【36-19-20-42】勝率30.8%/連対率47.0%/複勝率64.1%
福永祐一【9-6-1-25】勝率22.0%/連対率36.6%/複勝率39.0%
川田将雅【4-6-3-17】勝率13.3%/連対率33.3%/複勝率43.3%
横山武史【3-4-4-29】勝率7.5%/連対率17.5%/複勝率27.5%

騎手別成績ではルメール騎手がトップ。牝馬に騎乗した際は【11-5-4-8】複勝率71.4%、単複回収率はともに100%を超える。このうち前走上がり最速だった馬は【5-0-2-0】とパーフェクトだ。天皇賞(秋)4連覇がかかる今年もグランアレグリアで堅実に結果を残す可能性が高い。

コントレイルに騎乗する福永祐一騎手は昨年フィエールマンで2着。騎乗数は多くないものの、4割に迫る複勝率はさすがトップジョッキー。ディープインパクト産駒に騎乗した際は2019年11月から連対圏を外しておらず、こちらも崩れないか。

川田将雅騎手は2016年3着ステファノス、2018年3着キセキ、2019年2着ダノンプレミアムと天皇賞(秋)と相性がいい。牝馬【0-0-0-5】を除くと複勝率が5割を超えるため、ポタジェも押さえておきたい。

エフフォーリアで3歳Vを狙う横山武史騎手は上位3人に比べるとやや見劣りする数字で、3歳馬では【1-2-0-13】複勝率18.8%。3度の好走例はいずれも牝馬であることを考慮すると、軸に据えるのは避けたほうが良さそうだ。

東京芝2000mのコースデータ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。



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