【天皇賞(秋)】いずれも強力な3強だが…… 驚きの成長力を見せた三冠馬コントレイル!

坂上明大

2021年天皇賞(秋)の参考レース,ⒸSPAIA

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現役トップクラスの証明

現役最強マイラー・グランアレグリア、2020年クラシック三冠馬・コントレイル、2021年皐月賞馬エフフォーリアの三強ムードが漂う今年の天皇賞(秋)。他のメンバーがやや手薄なだけに3頭の強さがより際立つ一戦となりそうだ。まずは3頭の強さを改めて参考レースから振り返っていきたい。

【ジャパンC】
週中に2.5mmの雨が降るも馬場は乾燥して含水率は低め。秋の連続開催最終週で馬場の傷みが強く、3角~直線の内側はそれが顕著。 内々を走った馬にとっては苦しい馬場状態であり、好走馬が傷んだ馬場を避ける進路取りをしている光景が印象的だった。ペースはキセキが超ハイペースで逃げたが、馬群は前後半1000m60.3-58.7の後傾1.6秒。ただ、道中も終始11秒台を刻む淡々としたラップであり、天皇賞(秋)のような決め手勝負でなかった点は留意しておきたい。

2着馬コントレイルは出たなりで折り合い重視。勝負どころではデアリングタクトの直後につけて同馬には競り勝ったが、アーモンドアイには届かず2着に終わった。とはいえ、歴史的一戦での2着は改めて現役屈指の強さを証明するものであり、秋3戦目というローテーションも加味すればそれ以上の評価が必要なのかもしれない。

4着馬カレンブーケドールは持ち前の機動力を活かして3歳の三冠馬2頭より早めの仕掛け。ラストは決め手に屈したが、アーモンドアイを含めた三冠馬3頭を相手に小差の4着は素晴らしいの一言。さらに自身の上がり3Fは11.6-11.5-11.7程度と失速率は最も低く、上がりのかかる展開になれば今回も上位争いに食い込む余地はあるだろう。

現3歳世代の大将格

【日本ダービー】
例年とは異なる馬場状態が続き、Cコースに替わった当週も内有利にはならず。むしろ、一日通して外目が伸びており、長い直線を活かした外差が決まりやすいトラックバイアスであった。レースはバスラットレオンがハナを切り、タイトルホルダーが2番手。前半1000m60.3、1000~1400m25.2とペースは緩く、後半1000mは57.0秒という高い終盤力が求められる展開となった。

2着馬エフフォーリアは抜群のスタートで好位のインにつけたが、緩い流れで終始行きたがる面を見せていた。直線では力強い末脚で抜け出してきたが、ゴール直前でシャフリヤールにハナ差交わされる。スパート位置をやや遅らせていれば粘り切っていかもしれないが、世代トップクラスの地力があることにケチがつくわけではなく、夏~秋の3歳馬の快進撃を考慮すれば本馬にも高い期待をせざるを得ないか。

負けて強しの2着

2021年安田記念の展開/馬場バイアス,ⒸSPAIA



【安田記念】
当日に弱い雨が降るも馬場への影響はなく終日良馬場での開催。ただ、内目の馬場状態は荒れ気味で「外有利」のトラックバイアスではあった。レースはダイワキャグニーが躓きながらもハナを奪取。その後は競りかける馬もおらず前後半3F34.9-33.9。後傾1.0秒は2016年に次ぐ2番に遅い流れであったが、600~1000mは11.5-11.4とまずまずのラップを刻んでおり、結果的には東京のマイル戦らしい決め手勝負となった。

2着馬グランアレグリアは序盤の行きっぷりがヴィクトリアマイル時とは比べ物にならず、向正面ではゴチャついてポジションを下げる形に。上がり3Fは11.0-10.9-11.0程度と素晴らしい末脚を見せたが、トラックバイアスの影響もありダノンキングリーには頭差届かなった。中2週の疲れはあっただろうし、勝ち馬には完璧に乗られた結果。現役最強マイラーであることには変わりなく、近走の折り合いなら2000mにも対応できるだろう。

クラシック三冠馬の成長力

春の走りを見る限りグランアレグリアに衰えは感じず、3歳馬エフフォーリアは当然成長を見せるだろう。ただ、フォトパドックを見た印象ではコントレイルの成長力に驚きを隠せなかった。残り2戦で引退となるが、両レースとも同馬が負けるシーンが想像できない。

注目馬:コントレイル

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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