【菊花賞】難解な一戦、フィエールマンのローテをなぞって 京大競馬研の本命はヴァイスメテオール

京都大学競馬研究会

菊花賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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条件馬は過信禁物、重賞大敗馬の巻き返しはほぼない

10月24日(日)に阪神競馬場で菊花賞(GⅠ)が行われる。皐月賞、ダービーともに3着のステラヴェローチェや皐月賞2着のタイトルホルダー、ダービー大敗組や条件戦からも実績馬の減ったここならばと一発を狙う馬たちが集結、フルゲートとなった。GⅠ馬のいない菊花賞も珍しくなくなったが、ここを勝って古馬GⅠで活躍する馬が多数いる以上、菊の権威が落ちることはない。悲観することなく各馬の実力をはかっていきたい。


過去10年菊花賞前走レース別成績,ⒸSPAIA


まずは前走レース別成績について調査した。トライアル組の傾向については昨年も紹介したが、神戸新聞杯組が断然、セントライト記念組が数の割に大不振という傾向だった。



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今年はトライアル以外から参戦した馬について掘り下げる。前走条件戦から馬券になった馬は過去10年で5頭のみ、【0-1-4-45】で複勝率10%と不振。前走距離などに共通点はなかったが、馬券内5頭のうち不良馬場だった2017年3着のポポカテペトル以外は、初勝利以降は自己条件戦で連対を外すこと無く2勝クラスを勝ち上がっていた。良馬場で全馬実力を出し切るレースになると、自己条件でつまずくようでは通用しないことが分かる。今年は条件戦組の好走パターンを満たす馬が皆無。厳しそうだ。

前走トライアル以外の重賞組はラジオNIKKEI賞から【1-0-0-0】、札幌記念から【0-1-0-2】。当日馬券内の2頭は前走でも好走しており、力のあるところを証明出来ていれば、穴人気する条件馬よりも信頼度は高いと言える。一方でトライアル組も含めて前走重賞掲示板外からの巻き返しは2017年のクリンチャーだけ。馬場悪化でもない限り重賞で大敗を喫した馬はここでも来ないと考えて良さそうだ。


外枠の枠順成績は罠、距離ロス少ない1枠優勢

過去10年芝3000m以上枠順別成績(右回り),ⒸSPAIA


次に過去10年、右回り3000m以上の芝レースにおける枠順別成績を調べた。勝ち馬を最も多く出しているのはなんと8枠で【12-6-2-95】。6枠は【6-12-5-66】の複勝率25.8%、7枠は【7-9-9-82】の複勝率23.4%と一見外有利に見えるが、馬番別で見ると話が変わってくる。

メンバーが揃いにくいGⅡ以下では少頭数により、8枠と言っても額面ほどに外ではないケースが多く存在した。勝ち馬を輩出した中で最も外は15番【2-0-2-20】、大外18番は13頭走って全頭馬券外に敗れるなど、フルゲートの外枠はやはり厳しい。

となると外の人気馬を無理矢理信じるよりは内枠の馬を重視した方が良いのは当然。1枠は【9-1-4-53】と悪くなく、ゴールドシップが3回1枠1番から勝利、2012年天皇賞(春)で大穴をあけたビートブラックも1枠1番だったように、長距離戦は人気でも穴でも狙いは内枠だ。

以上を踏まえて予想を組んだのだが、実績馬が外枠に回され各馬一長一短。難解なレースであることは間違いない。印上位2頭は差がほとんど無いというのが私見なのだが、自分の中で能力が高いと思う方を本命とした。

◎ヴァイスメテオール
ラジオNIKKEI賞は展開利もあったが1頭違う脚で完勝。馬場にあった立ち回りが出来たのは高評価で、距離が延びる菊花賞でそういった器用さは必須。負けた時も大崩れはしておらず、フィエールマンと同じローテで1着を狙える存在だ。外枠は痛いが馬番15番はギリギリセーフか。乗り方1つで大敗の怖さはあるものの、能力はダービー組に引けをとらないかそれ以上。

◯アサマノイタズラ
セントライト記念は前崩れの展開もあって完勝。上位騎手への乗り替わりがプラスに働き、今回は絶好の1枠を引けたこともプラス。前走同様の追込み競馬だと阪神内回りで届くかは疑問も、スプリングSのような先行早仕掛けであれば頭もあり得る。

▲ステラヴェローチェ
皐月賞、ダービーともに3着。能力は上位だが、皐月賞はイン突き、ダービーも直線だけの追込。強い内容かと言われると疑問で、ワンパンチ足りない印象。神戸新聞杯1着馬は過去10年【5-0-1-1】とはいえ、今年は不良馬場の適性のみが問われて能力比べとしては参考外。外枠を引いたのもマイナス材料で、皐月賞2着ダービー3着と似たような戦績を踏んだ2年前のヴェロックスも外枠から3着止まり。ここでもワンパンチ足りない可能性大。

△レッドジェネシス
ダービーの着順、神戸新聞杯での完璧なコース取りからの完敗を見ると見劣りは否めないが、アサマノイタズラ同様に枠が良い。神戸新聞杯2着馬は過去10年【1-4-1-4】。データと枠の有利で足りない能力を補えるか。

×タイトルホルダー
前走は終始前が詰まって追えず大敗。ただ先行勢総崩れのレースで、仮に前があいていても勝ち負け出来たかは疑問。データ上二桁着順からの巻き返し例が無いため不安はあるが、枠が良く余力たっぷりで上積みがあり、前走を度外視すれば相手候補に。

×モンテディオ
着順だけで判断はしたくないが、神戸新聞杯3着馬は過去10年【2-1-0-6】とそれなりに走る。

消オーソクレース
セントライト記念は怪我明けとはいえ前も捉えきれず後ろからも差される薄い内容。調教後の馬体重にも成長が見られず、初の関西輸送も不安。ホープフルS上位馬がその後軒並み不振というのも気になる材料だ。その上、今回は大外枠を引いてしまうなど、ルメール騎乗でも買いたくない1頭。

買い目はヴァイスメテオールからの馬連5点とアサマノイタズラからの馬連5点、人気薄が想定されるヴァイスメテオールの単複で勝負。丸山騎手の魂の騎乗に期待したい。(文:福山)

菊花賞 予想印
◎ヴァイスメテオール
◯アサマノイタズラ
▲ステラヴェローチェ
△レッドジェネシス
×タイトルホルダー
×モンテディオ

芝3000m以上戦、馬番別成績,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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