【菊花賞予想】セントライト記念組は不振でバビットは消し コントレイルの三冠達成濃厚なレース 

京都大学競馬研究会

菊花賞前走別成績 インフォグラフィックⒸSPAIA

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三冠達成の条件はクリア

今週は連続GⅠ開催の2つ目、菊花賞が行われる。父ディープインパクト以来となる無敗の三冠をかけて出走するコントレイルに注目が集まっているが、過去に三冠を達成した馬とできなかった馬にはどんな違いがあるのか、またコントレイルに死角はあるのか、過去のデータから考察をしてみる。

過去40年の二冠馬の前哨戦と菊花賞の成績ⒸSPAIA


まずは過去40年まで遡って春二冠馬のデータを調べてみた。春二冠を達成した馬は12頭、そのうち菊花賞へ出走したのは8頭。その中で前哨戦も勝ちきったのは4頭で、ミホノブルボン以外はそのまま菊花賞も勝利して三冠馬になっている。

ミホノブルボンは、菊花賞ではいつものように逃げることができず脆さを見せてしまった。しかし裏を返せば柔軟に動けるタイプの馬であれば、三冠を取ることが可能と捉えることもできる。前哨戦は敗れたものの、三冠馬となったミスターシービーとナリタブライアンは、夏の調整に失敗していたという事情があって度外視可能な敗戦だったと言える。

一方で夏場の調整に問題の無かったネオユニヴァースとメイショウサムソンの2頭は前哨戦敗退から巻き返すことができず、三冠達成とはならなかったが、コントレイルは夏場の調整も順調で、神戸新聞杯も快勝。三冠失敗のデータには該当しない。

神戸新聞杯組は巻き返し可能

過去10年の前走別成績ⒸSPAIA


次に出走馬の前走別成績を調べたところ、過去10年で神戸新聞杯を経由して菊花賞に出走してきた馬は【8-6-4-46】と圧倒的に好成績を残しており、毎年連対している。2016年には神戸新聞杯で5着に敗れたエアスピネルが菊花賞で3着に好走と巻き返しは可能だ。

今年の神戸新聞杯は中京開催だったが、同様に神戸新聞杯が中京で行われた2006年は、神戸新聞杯で3着だったソングオブウインドが菊花賞を勝利、1着だったドリームパスポートが菊花賞で2着となっていることからも、中京開催だったからといって割り引く必要はなさそうだ。

一方でセントライト記念組は【1-3-1-47】と頭数の多さを考えると大不振で、過去10年でセントライト記念と菊花賞を連勝した馬はキタサンブラックのみ。その前となるとシンボリルドルフまで遡る。また勝ち馬が菊花賞に出走しないことも多く、神戸新聞杯と比べると菊花賞との関連性は薄いと言えるだろう。

逆らう理由見当たらず三冠濃厚

◎コントレイル
冒頭にも述べたが、二冠馬が菊花賞で負ける時は、前哨戦で敗退して二冠馬に匹敵するライバルがいる時か、逃げ馬が逃がしてもらえず自分のペースを崩してしまった時のみ。神戸新聞杯を馬なりで快勝し、脚質にも幅があって折り合いにも問題の無い当馬の力は他馬より抜けており、過去のデータからも死角はなかった。

母系から来る距離不安が常に囁かれていたが、それを乗り越えて二冠を達成。またディープインパクト産駒は菊花賞ですでに3勝と長距離が苦手とは言えない。もう逆らえないので本命にする。

○ヴェルトライゼンデ
神戸新聞杯は大外枠から外を回り続けて2着と内容は良く、ダービー3着の力が本物であることを証明した。しかしコントレイルよりも後ろからの競馬となってしまうのが難点で、差し届かない競馬を繰り返してきた。とはいえ、唯一コントレイルの前で競馬ができた皐月賞は伸びを欠いており、差しに徹する方が良い印象を受ける。力上位には間違いないが今回もコントレイルを差し切る事はできないとみて対抗とした。

▲ディープボンド
コントレイルと同様の先行力を持っていて、展開不利で大敗した皐月賞以外は全レース好位からしぶとく粘った。神戸新聞杯は4着に敗れるも、ダービーは5着と世代上位の力を見せている。京都コースで未勝利戦と重賞を勝っており、得意コースに戻ってくるのは好材料だ。ヴェルトライゼンデの方がディープボンドより力はあると考え、上位評価としたが、対抗とほとんど差の無い3番手評価。

注ロバートソンキー
神戸新聞杯ではコントレイルの後ろを伸びて3着。コントレイルが突き抜けることを見越したジョッキーの好騎乗が目立ったレースだった。父ルーラーシップは菊花賞馬キセキを輩出しているので、距離が伸びても問題は無いだろう。本番でも前走同様の騎乗ができれば、再び馬券圏内もありうる。

消バビット
同じ逃げ馬のキメラヴェリテは行き脚がつかないことが多いため、こちらが逃げると予想。逃げてしまえばペースを問わず粘り続けるが、先述したようにセントライト記念組の成績が芳しくない上に、セントライト記念から連勝するのはさらに厳しい。

そのうえ3000mを逃げ切ることは難しく、過去10年で逃げて馬券に残ったのは2013年のバンデ(3着)のみ。しかも当時は不良馬場で差しが全く効かず残っただけで、目標にされると厳しい。コントレイルと未対戦ということで人気しているが、バビットが圧勝したラジオNIKKEI賞の2、3着馬は神戸新聞杯で大敗していることからも、コントレイルに匹敵するだけの力はないと考え、思い切って消す。(文:福山)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。

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