【注目2歳馬】デビュー戦としては完璧なレース 鞍上の指示に“忠実な”フィデルが見せた凄さとは

三木俊幸

2歳新馬戦を制したフィデルⒸSPAIA

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

ラスト3ハロンのラップに注目

小倉競馬場開設90周年という記念すべき日、芝1800mの新馬戦で楽しみな馬がデビュー勝ちを果たした。名前はフィデル(栗東・友道康夫厩舎)、フランス語で「忠実な」という意味の馬名だ。

父は先日種牡馬引退が発表されたハーツクライ、母はラッキートゥビーミー、半姉にはGⅠ・ブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズを制したシャンパンルームがいる良血馬。同馬自身もセレクトセールにて1億9,000万円で取引された。

出走メンバーは8頭と少頭数、単勝1.1倍と圧倒的な人気に支持された中、スタートを決めると楽に4番手へとポジションを取り、しっかりと折り合う。同じくセレクトセールで1億円を超える値段で取引されたダノンピーカブーがペースを握って5ハロンの通過は1:03.6。鞍上の川田将雅騎手は3角で自ら動いて先頭へと並びかけていった。

そこからのラスト3ハロンのレースラップを見ると11.8-11.0-11.5。楽にこの数字を叩き出せるということは、かなりの機動力があることを証明している。最終的な着差こそ1馬身だったものの、最後までノーステッキで軽く追われただけという着差以上の楽勝。

1:50.7の走破時計は当日の馬場状態を踏まえると平凡だったものの、中身は濃かった。期待している新馬には特に辛口のコメントが多い川田騎手。どのようなコメントが出るのか注目されたが、「全部上手くこなしてくれた」と課題は特に挙がらなかった。レースセンスの高さを武器に、クラシックを狙える逸材として完璧なデビュー戦だったと言えるだろう。

新馬戦を制したフィデルⒸSPAIA



今週も小倉で良血馬がデビュー

今週末も続々と楽しみな新馬がデビュー予定となっているが、中でも小倉の新馬戦に注目したい。7月10日(土)の小倉5R、芝1200m戦ではキズナ産駒のサイード(栗東・角田晃一厩舎)がデビュー予定。姉ベルカント、イベリスは短距離路線で活躍しており、1週前の調教ではCWコースで3頭併せの真ん中を割ってくる内容で好タイムが出ている。小倉2歳Sを狙える逸材かもしれない。

また翌日の7月11日(日)の小倉5Rに行われる芝1800m戦には父ハービンジャー、母ディアデラノビアという良血馬グランディア(栗東・中内田充正厩舎)が出走予定。半姉ディアデラマドレは重賞3勝、GⅠ・エリザベス女王杯3着という実績、全兄ドレッドノータスは2歳時に京都2歳S、そして古馬になってから京都大賞典を制するなど、コンスタントに活躍馬が出ている血統だ。今週も良血馬がどのようなレースを見せてくれるのか注目が集まる。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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