【東京大賞典回顧】大井所属のディクテオンが大金星 矢野貴之騎手「馬の力を信じて必死に追いました」

2025-12-30 11:30:53三木俊幸
2025年東京大賞典勝ち馬ディクテオン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

次走はドバイへ

ダート路線を締めくくる年末のグランプリレース・東京大賞典(GⅠ・ダート2000m)は地元・大井所属のディクテオンが勝利。地方所属馬としては2005年のアジュディミツオー以来、20年ぶりの快挙となった。

ブリーダーズカップクラシックを制したフォーエバーヤング、チャンピオンズカップを勝利したダブルハートボンドの参戦はなかったものの、好メンバーが揃った。レースはナチュラルライズとナルカミの3歳勢が予想されていた通りに先行争いを繰り広げ、1周目のスタンド前では2頭が馬体を併せて後続を引き離す。

1角でナチュラルライズがハナを奪い切って隊列は決まったが、12.3-11.0-12.1-12.9-12.6と1000m通過1:00.9。その後1400m地点にかけても12.2-12.4と厳しい流れは続いた。

序盤は自分のリズムで中団を追走していたディクテオンに向く展開。加えて1000mを過ぎたところで前にいた1番人気ミッキーファイトを追いかける形で楽にポジションを押し上げることができた。陣営が前走時よりも今回さらにトレーニングの質と量を強めてきたというだけのことは感じられた。

「勝つ雰囲気だなと思ってはいましたが、良い位置で運べていたので、あとは馬の力を信じて必死に追いました」と振り返った矢野貴之騎手の檄に応え、最後の直線では早め先頭から押し切りを図るミッキーファイトに迫り、最後はクビ差捉え切った。

ディクテオンはJRAでデビューするも勝利できずに名古屋へ。2連勝後に再転入してから着実に勝利を積み重ねて2023年の浦和記念、名古屋グランプリ、2024年の白山大賞典と重賞3勝を挙げ、環境を変えながら強くなった。

今年に入って荒山勝徳厩舎へ転厩すると、9月に韓国で行われたコリアカップで地方所属馬として初の海外ダートグレード制覇を果たしたのに続き、今回の大金星と勢いは止まらない。

荒山調教師を筆頭に厩舎スタッフ、矢野騎手、そして韓国遠征では調教を手伝った藤田凌騎手などチーム力の凄さこそが、7歳を迎えたディクテオンがレースを重ねるごとにレベルアップしている最大の理由だろう。

2025年東京大賞典勝ち馬ディクテオン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


その荒山厩舎は今年、東京大賞典以外にもJBCスプリントをファーンヒルで優勝しており、GⅠ級2勝。その他、韓国での勝利に加えて南関東の重賞を7勝、合計すると年間で重賞10勝(12月29日終了時点)と素晴らしい成績を残した一年にもなった。

次走については「オーナーとも相談しましたが、一旦短期放牧してドバイに向かうことになると思います」とのこと。更なる高い壁に挑むチームの挑戦は、ディクテオンをどのような結果へと導くのか、引き続き楽しみにしたい。

1番人気のミッキーファイトは2着

帝王賞、JBCクラシックとGⅠ級競走を連勝し、単勝1.4倍と断然の支持を集めたミッキーファイトは序盤から中盤にかけては中団を追走する。

前2走も速いペースを先行して押し切るレースをしていただけに、今回も鞍上のC.ルメール騎手は1000mを過ぎたところから徐々にポジションを押し上げていき、4角では3番手の外まで進出する強気の騎乗を見せた。しかし、レースラップのラストは12.4-13.2と失速しているように一杯になってしまい、2着に終わった。

2025年東京大賞典2着ミッキーファイト,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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アウトレンジは外枠からのスタートだったが、3走前の帝王賞2着時と同じように好位のインでうまく立ち回った。結果はミッキーファイトから1馬身半差、4着キングズソードとは3馬身半差の3着であれば、先行勢には苦しいペースだったなかでも自身の能力は出し切ったと言える。

3歳勢のナルカミは6着、ナチュラルライズは11着だった。今後も同じレースに出走することも想定されるだけに、どのように上手く立ち回るかが課題になってきそうだ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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