【全日本2歳優駿】“JRAのダート無敗馬”は直近10年6勝 素質光るパイロマンサーが2歳王者へ

2025-12-17 06:00:47菊池敬太
過去10年の全日本2歳優駿,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ダート2歳王者決定戦

17日、全日本2歳優駿(ダート1600m・JpnⅠ)が川崎競馬場で実施される。JBC2歳優駿を制したタマモフリージアを筆頭に、同レースでクビ差の2着に健闘したフルールドール、デビューから2戦2勝のパイロマンサー、無傷の4連勝で鎌倉記念を制したホッカイドウのベストグリーンなど、JRAと地方の素質馬が集結した。

2年前の勝ち馬フォーエバーヤングは、今年のブリーダーズカップクラシックを制するなど世界を舞台に活躍。来年のダート3冠路線へ向けても見逃せない大一番だ。まずは予想の前に、過去10年のレース傾向を振り返っていく。

過去10年の全日本2歳優駿,ⒸSPAIA
人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では、1番人気が【5-0-2-3】で勝率、複勝率でトップ。2番人気は【2-5-0-3】、3番人気は【1-3-1-5】と、いずれも連対率40%以上をマークしている。

所属別成績,ⒸSPAIA


所属別成績では、JRA勢が8勝を含む17連対(栗東10、美浦7)と圧倒的な成績を残している。地方馬では川崎と船橋が各1勝で、浦和が2着1回だった。

実績面を見ると、連対20頭中16頭に重賞勝ち、もしくはダート連対率100%の実績を有していた。残る4頭に関してもJRA1勝クラスを勝利している。また、連対馬20頭中18頭が前走1着、残る2頭は重賞で2着に入っていた。

連対馬20頭の脚質では、【逃げ2 先行12 差し5 追込1】。小回りコースらしく、先行馬の活躍が目立っている。

過去10年の全日本2歳優駿 ピックアップデータ,ⒸSPAIA


初の地方も、適性見込める

◎パイロマンサー
デビューから2戦2勝。正攻法の競馬で新馬戦を快勝すると、次走のもちの木賞は砂をかぶってもひるまないレースセンスの高さを示した。

過去10年でJRA所属のダート無敗馬は6勝を挙げており、先行・差しと自在に動けるのは大きな強み。父パイロの血統に加え、510キロ超の馬格からは地方の馬場も合いそうだ。

輸送やナイター競馬など克服すべき課題はあるものの、ポテンシャルは非常に高い。スムーズに立ち回れればJpnⅠのタイトルに手が届く。

◯タマモフリージア
前走のJBC2歳優駿では、牝馬として初の優勝を果たした(北海道2歳優駿を含めれば2015年タイニーダンサー以来)。スタートで出遅れたものの、すぐに4番手まで挽回。直線では力強く脚を伸ばし、ゴール寸前でクビ差かわして勝利した。前章で挙げた好条件である「重賞勝ち馬」に該当する点もプラス材料だ。

スタートに課題があるだけに、今回は最内枠からのさばきがポイントになる。ただ、好位で流れに乗ることができれば、昨年勝ち馬のミリアッドラヴに続く牝馬戴冠も十分に見込める。

▲ベストグリーン
重賞3勝を含め、デビューから4戦無敗。前走の鎌倉記念は左回り、小回りと初物尽くしの条件だったが、1頭だけ次元の違う末脚を繰り出し、4馬身差で圧勝した。

過去10年で他地区勢の連対実績はないものの、前走のパフォーマンスから川崎コースの適性は高く、JRA勢が相手でも好勝負可能。2013年ハッピースプリント以来となるホッカイドウ所属馬の勝利となるか注目だ。

ほか、栗東所属のフルールドールはJBC2歳優駿でクビ差2着と惜しくも敗れたが、ハイペースを踏ん張った内容からは能力の高さが感じられた。前章で挙げた好条件「ダート連対率100%」にも該当しており、自分のリズムで先行できればチャンスは十分にある。

ホッカイドウ所属のアヤサンジョウタロはJBC2歳優駿の3着馬。長距離遠征、左回りともに初めてだが、持ち前の末脚を発揮できれば上位に食い込む力がある。イダテンシャチョウは過去10年で勝ち馬2頭が出た8枠を引いた。ただ、戦歴からは1200mの方が適性は高そうで、前走の1400m・1勝クラスでも7着。この馬のリズムで走れるかがポイントになりそうだ。

ダート短距離で初勝利を挙げたライフオブラクーンはマイル適性がカギになるが、過去10年で【2-2-1-14】連対率21.1%の6枠はプラス。さらに、同期間で2勝を挙げる戸崎圭太騎手の手綱さばきにも注目したい。

《ライタープロフィール》
菊池 敬太
サンケイスポーツで南関東競馬を中心に予想とコラムを掲載。近況のレース内容や傾向、データのほか、現場取材などで集めた情報をもとに高配当を狙っている。

《関連記事》
【全日本2歳優駿】出馬表詳細
逃げれば単回収率200%超え、砂の王者は坂井瑠星騎手 東大HCが“ダートに強い騎手”をデータで調査
【香港国際競走回顧】ロマンチックウォリアーが香港カップ4連覇達成 日本馬はベラジオオペラとソウルラッシュが2着も勝利ならず