【浦和記念回顧】C.デムーロ騎手騎乗のアウトレンジが重賞初制覇 ラスト2F12.6-12.0の瞬発力で6馬身差の圧勝

2024-11-21 12:00:24三木俊幸
2024年浦和記念勝ち馬アウトレンジ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

4歳秋を迎えて本格化

最高気温は10℃に届かず天候も雨、一気に冬が到来した浦和競馬場を舞台に行われた浦和記念(JpnⅡ・ダート2000m)はC.デムーロ騎手が騎乗した2番人気のアウトレンジが勝利し、重賞初制覇を飾った。

父レガーロは2015年の全日本2歳優駿で2着という成績を残したが、重賞は勝利できずに種牡馬入り。産駒はアウトレンジがここまでで唯一のJRA登録馬だった。

また、母クイーンパイレーツは代表産駒としてハピがいるが、重賞タイトル獲得にはあと一歩及ばないレースが続いている。父母とも現役時代に所有していたのは寺田寿男オーナー、管理したのは大久保龍志調教師と縁のある血統で掴んだこの重賞勝利は、格別のものとなったことだろう。

どの馬が逃げるのか注目された先行争いは、出ムチを入れたメイショウフンジンが内からすんなりハナを切る形で決着した。2番手にはダイシンピスケスが続き、アウトレンジはその直後を追走。1周目3角の400m通過地点から2周目3角手前の1400mまで13.3-13.2-13.1-13.0-12.9と遅いラップが刻まれる、淡々とした流れだった。

アウトレンジは勝負所で1F12.0と一気にペースが上がったところで先頭を奪うと、最後の直線は独走状態。C.デムーロ騎手は振り返って後続との差を確認する余裕もあり、後続に6馬身差をつけて勝利した。

馬場状態が本馬場入場直前の雨でこのレースから稍重へと変わったとはいえ、レース上がり36.6の瞬発力勝負で、アウトレンジは上がり2位よりも1.0秒も速い36.4を記録。ラスト400mも12.6-12.0と一気に加速して突き抜けた内容はインパクトがあった。

2024年浦和記念優勝馬アウトレンジの口取り式,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


9月のラジオ日本賞でオープンクラスを勝利し、重賞初挑戦となった前走みやこSでは11番人気で2着。川崎記念を制したライトウォーリアや昨年の浦和記念優勝馬で重賞3勝、今年の帝王賞3着のディクテオンなどに比べると実績では劣っていたが、これらのライバルたちを全く相手にしなかった。このことからも4歳秋を迎えて本格化したと言える。今後はもうワンランク上のレベルでも十分戦っていけそうだ。

1番人気ディクテオンは4着

2着は川崎所属のライトウォーリア。3走前の川崎記念、2走前の帝王賞とGⅠ級競走で逃げる競馬をしていたことからハナを切ることも予想されたが、アウトレンジとほぼ同じポジションのインをロスなく追走した。

結果的に勝ち馬からは6馬身離されたが、最後の直線だけ外に持ち出し、しぶとく逃げ粘った3着メイショウフンジン以下には2馬身差。前走コリアCからの帰国初戦だったがきっちりと格好はつけた。

一方、単勝1.7倍の1番人気に推されたディクテオンは、前走の白山大賞典を勝利して挑んだが4着に終わった。レース序盤は前4頭から離された5番手を追走し、勝負所のペースが上がったところで早めにポジションを押し上げていったが、最後は伸びきれず。道中のペースが遅くラスト600mの末脚勝負となってしまい、展開を味方につけることができなかった。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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