【浦和記念回顧】ホウオウルーレットが重賞連勝 岩田康誠騎手の“イン突き”が鮮やかに決まる
三木俊幸

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ポイントは2周目3角の進路取り
年末の東京大賞典の前哨戦という位置付けでもある浦和記念(JpnⅡ・ダート2000m)は、岩田康誠騎手騎乗で2番人気だったホウオウルーレットが勝利。前走のシリウスSで重賞初制覇を飾った勢いそのままに連勝を果たした。
レースはクラウンプライドが最後にゲートに入ろうかというタイミングでスレイマンがゲートから飛び出して200m近く進んでしまった影響で、多くの馬がゲート内で待たされた後のスタートとなった。
ここまで後方から追い込む競馬で結果を残してきたホウオウルーレットだったが、地方競馬の小回りコースということも考慮して「一頭でも前に行けるように頑張った」と岩田騎手が語ったように中団の外を追走。逃げたクラウンプライドが1000m通過1:04.1(12.9-11.7-13.7-12.6-13.2)という超スローペースを刻んだなかでしっかりと流れに乗ることができた。
その後も13.0-13.0とペースは上がらなかったが、2周目向正面で自ら動いて少しずつポジションを押し上げ、11.5と一気にペースが上がった3角では5番手。馬群が縦長になったところで生まれたスペースを利用して進路を内に切り替えたことで、岩田騎手の十八番でもある“イン突き”が鮮やかに決まり、勝利を引き寄せたポイントだったと言えるだろう。
4角では粘るクラウンプライド、その外にロードクロンヌが並びかけていったのを見る形で3番手だったが、一頭分きれいにスペースができた。手応えも良く、残り100mで先頭に立つとそのままロードクロンヌに1馬身半差。勝ちタイムは2:06.8での決着だった。
初の小回りコースでこの立ち回りができたのであれば、今後に向けてもレースの選択肢は広がる。パフォーマンスを最大限引き出してくれる鞍上とともに、2000m路線で更なる重賞タイトルを狙っていけそうだ。
デルマソトガケに復調の兆し
ここまで4戦連続重賞で3着以内に好走と安定感抜群の走りを披露し、単勝1.8倍の1番人気だったロードクロンヌは終始2番手から正攻法の競馬で前を捉えに行ったが2着。勝ち馬にうまく乗られてしまった。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
3着には7番人気のデルマソトガケが入った。2歳時には全日本2歳優駿でGⅠ級競走を勝利、3歳春にはUAEダービーを優勝、秋にはブリーダーズカップクラシックでも2着となるなど活躍したが、その後は5着が最高着順とそれまでのレース内容と比べると物足りないレースが続いた。
特に今年に入ってからは解散した音無秀孝厩舎から須貝尚介厩舎への転厩もあったが、3戦いずれも勝ち馬から2.1秒以上離される結果。その要因の一つとして馬体が太め残りだったことが考えられたが、今回はマイナス10kgでの出走。着圧タイプのマスクであるコンプレッションフードを着用するなど、馬具も工夫しているのが見受けられた。それらの効果もあってか、パドックでも活気溢れる周回が目立っており、レースでもロードクロンヌからは2馬身離されたが、復調の兆しが感じられた一戦だった。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。
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