【福島記念】アラタの連覇に黄信号 アンリーロード、イングランドアイズらの逆襲に注目
勝木淳

ⒸSPAIA
今年は開催最終週
福島の秋は短く、開催は3週間で幕を閉じる。福島はかつて春開催がなく、秋に2開催行われていた。
現在の春、夏、秋にひと開催ずつ行われるスケジュールは22年前の2003年からはじまった。その後、開催日程の調整を柔軟に行えるよう法改正がなされ、1開催6日間ないし12日間という日程が可能になり、春6日間、夏8日間、秋6日間というスケジュールが現在まで続く。
連続開催当時は10月に父内国産限定のカブトヤマ記念が行われ、福島記念は開催終盤の11月に行われていた。その年の福島開催を締めくくる福島記念は開催スケジュールが変更され、開催2週目に行われていたが、今年は最終週に戻ってきた。
たった1週間の違いだが、福島は開催ごとに馬場が目まぐるしく変わる競馬場であり、何かしら変化があるかもしれない。データは過去10年分を使用する。

1番人気は【1-3-3-3】勝率10.0%、複勝率70.0%で勝ったのは19年クレッシェンドラヴが最後。目下5連敗中と、さすが秋GⅠシーズン狭間のローカルハンデ重賞らしく、信頼度はさほど高くない。とはいえ複勝率は高いので、過度に疑わず、連軸に据えて好配当をひっかけるような感覚がいい。
一方で、2番人気【4-0-1-5】勝率40.0%、複勝率50.0%や3番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%など、なんだかんだと上位人気はそれなりに結果を残す。波乱前提で人気下位ばかりに当たりつけるのはよくない。人気薄は8、9番人気【0-0-0-20】など狙いごろの穴馬が結果を残していないので、注意が必要だ。

年齢をみると、3歳【2-1-1-10】勝率14.3%、複勝率28.6%や4歳【3-4-1-15】勝率13.0%、複勝率34.8%と若い組の好走確率が目立つ。
5歳【2-1-3-39】勝率6.7%、複勝率13.3%など5歳以上は出走数も多く、絞りにくい。また、ベテランは7歳以上【1-2-3-32】勝率2.6%、複勝率15.8%と軽く扱えない。3、4歳を中心に5歳以上は年齢にとらわれず、万遍なく買い目に入れたい。

開催最終日に変わるので変化があるかもしれないが、福島記念は枠番の傾向が顕著だ。
1枠【3-1-4-12】勝率15.0%、複勝率40.0%をはじめ、2枠3勝、3枠2勝と内枠が有利。反対に外枠は8枠【0-0-0-20】で、6枠から外【0-3-3-54】。実力拮抗のハンデ戦となると、内枠の立ち回りのよさが結果に結びつく。
連覇へのハードル
今回は昨年の勝ち馬アラタが連覇を目指し、出走する。福島記念連覇はハンデ戦でもあり、簡単ではない。
過去には1969、70年スイジンと2012、13年ダイワファルコンのみ。ダイワファルコンは斤量57→57.5kgで連覇達成。昨年57.5kgで勝ったアラタはハンデキャッパーのジャッジも気になるところだ。

様々な路線から集まる重賞らしく、個別のローテで判断するのは難しい。そこでざっくり前走重賞組の着順内訳を調べた。
4着以内【0-3-3-15】に対し、5着【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%など敗退組の数字がいい。やはり直前の重賞で好走してしまうと、ハンデが重くなる。札幌記念3着アラタはこのデータに当てはまる。連覇の道は険しいとみるべきだろうか。

とはいえ、重賞5着以下は【6-3-3-47】。取捨は決して簡単ではない。そこで距離別の内訳をみる。
目立つのは2000m未満【2-0-1-17】勝率10.0%、複勝率15.0%や2000m超【3-1-0-14】勝率16.7%、複勝率22.2%といった距離変化組。違う距離の重賞で負け、ここに転戦してくるのがパターンのひとつ。オールカマー6着リカンカブールなど候補は多い。
アイルランドトロフィー14着大敗のアンリーロードは2走前に福島で3勝クラスV。イングランドアイズも2走前に小倉記念で小回りコースに対応できた。好走候補はまだまだ多い。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。
《関連記事》
・福島巧者を種牡馬、騎手ごとに徹底検証 芝はブラックタイド産駒に妙味
・丹内祐次騎手のプラス条件、マイナス条件 「小回り」「ダートの内枠」に単回100%超条件がズラリ
・横山琉人騎手は福島で買い 小回り芝コースで狙える種牡馬と騎手を調査
