【デイリー杯2歳S】“連対率50%”の好データに該当 アドマイヤクワッズら前走新馬組に注目
勝木淳

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名マイラーの登竜門
近年のデイリー杯2歳Sが少頭数になる傾向にあるのは、2歳戦線がかなり整理された結果だろう。秋にはマイルと中距離に枝分かれしていき、どちらかというと中距離に重きを置く傾向がある。
とはいえ、デイリー杯2歳Sの勝ち馬をみると、アドマイヤマーズ、セリフォス、ジャンタルマンタルと名マイラーの名が刻まれており、少頭数であってもGⅡ格にふさわしいメンバーが集結していた。2歳でマイル重賞を勝てるスピードと持続力は将来の指標になる。結果もさることながら、レース内容にも注目したい。
ここからは2020~22年阪神を含めた過去10年分のデータを使用して、今年のデイリー杯2歳Sを展望する。

人気別成績では、1番人気が【5-2-1-2】勝率50.0%、複勝率80.0%と強力。やはり暮れのGⅠを意識する前哨戦らしく、主役にふさわしい実績馬はきっちり賞金加算していく。2番人気【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%など3番人気以内が9勝で、残る1勝も5番人気。単勝から荒れるシーンは想定しにくい。
一方で8番人気【0-2-0-6】複勝率25.0%など中穴の2、3着は十分考えられる。上位人気から中穴へ。ある程度手を広げて、それなりの配当を狙ってもいい。

キャリア別では、やはり少ないキャリアが優勢。1戦【4-3-2-14】勝率17.4%、複勝率39.1%、2戦【6-3-3-17】勝率20.7%、複勝率41.4%とアタマは2戦以内に絞っていい。だが、3戦【0-4-1-19】複勝率20.8%、4戦【0-0-3-6】複勝率33.3%と、4戦以内は許容範囲。2戦以内だけで馬券を構成するのは勇気が必要ではないか。
新馬、未勝利組の前走距離に注意
今年から芝1400mの重賞になった中京2歳Sの1、3着キャンディード、マイケルバローズは距離延長がカギ。同じく函館2歳S勝ち馬エイシンディードもマイル路線へ進めるかどうか試金石になる。マイル重賞組からはサウジアラビアRC2着ガリレアが出走予定。重賞実績豊富なメンバー構成だ。

まずはキャリア1戦から。新馬1着馬の距離別成績は1600m【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、1600m超【2-0-0-2】勝率、複勝率50.0%が大勢を占める。距離延長は【0-0-1-8】複勝率11.1%なので、新馬経由はマイル以上の経験がなければ厳しい。アドマイヤクワッズらマイルの新馬勝ちが候補に残る。

キャリア2戦以上の前走クラスを確認すると、前走GⅢ【1-2-1-12】勝率6.3%、複勝率25.0%はちょっと心もとない数字だが、1、2着に限ると、【1-1-1-2】なので、上記重賞ウイナーは自身が距離をこなせればチャンスはある。
2着ガリレアもOK。前走はスローでレース上がり34.0を好位から粘った。勝ち馬の切れ味には屈したものの、センスある運びは光った。馬体は大きくないため、関西圏への輸送で維持できるか。課題を克服し、次へ進みたい。

前走未勝利【3-4-3-15】勝率12.0%、複勝率40.0%も新馬と同じく距離別成績を出す。こちらも前走マイルが【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%と好成績。ところが、未勝利組は距離延長の1600m未満も【1-2-2-4】勝率11.1%、複勝率55.6%と悪くなく、反対に短縮は【0-1-1-5】複勝率28.6%とそうでもない。新馬とは違う点に注意しよう。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。
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