【チャンピオンズC】1番人気がジャパンカップダート時代を含め9勝 下半期のJRAダートGⅠの「記録」を振り返る

緒方きしん

チャンピオンズカップに関する「記録」,ⒸSPAIA

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単勝人気別では4番人気馬が好調

今週はチャンピオンズCが開催される。前身のジャパンカップダート時代にはウイングアローやエスポワールシチー、ニホンピロアワーズらが勝利。2014年に改名した後はホッコータルマエやゴールドドリーム、テーオーケインズらが優勝した。また、2003年にはアメリカのフリートストリートダンサーが外国馬として唯一勝利している。今回は、ジャパンカップダート時代も含めたチャンピオンズCの記録を振り返る。

当レースは1番人気馬が過去に9勝をあげており、安定感がある。チャンピオンズCに改名してからもルヴァンスレーヴ、テーオーケインズ、レモンポップと3頭の1番人気馬が勝利した。一方で2、3番人気はやや苦戦傾向。これまでの勝ち馬を人気別にランキングにすると、1位は1番人気、2位は4勝の4番人気、3位タイは2勝の2、3、6番人気となる。

6番人気と2、3番人気の勝ち数が同じであることからも、このレースの難しさが見てとれる。ただ、6番人気で勝利したのは、ニホンピロアワーズ、サウンドトゥルーと、いずれも相当な実力馬。4番人気で勝利したのもウイングアロー、タイムパラドックス、カネヒキリ、チュウワウィザードと実力馬ばかりだった。

ちなみに、単勝の配当ランキングでは、3位がイーグルカフェの20.8倍、2位がフリートストリートダンサーの49.3倍、1位がサンビスタの66.4倍。イーグルカフェはL.デットーリ騎手、フリートストリートダンサーはJ.コート騎手、サンビスタはM.デムーロ騎手と、いずれも外国人騎手とのコンビでの勝利である。サンビスタは牝馬として初の勝利でもあった。

そのほか、勝ち馬と2着馬のタイム差ランキングでは、3位タイが0.6秒差のウイングアロー、エスポワールシチー、ニホンピロアワーズ、2位が1.0秒差のテーオーケインズ、1位が1.1秒差のクロフネとなっている。

チャンピオンズCに改名してから今年で11回目。過去10回の馬体重関連の記録を確認すると、馬体重増で勝利した馬が8頭、増減なしが1頭。唯一、馬体重減で勝利したのが昨年のレモンポップだった。また、最も馬体重を増やしていたのはゴールドドリームで14kg増。ここにクリソベリルの11kg増、ジュンライトボルトの8kg増が続いている。

ダート王者決定戦でも最多勝を誇る武豊騎手

また、先週は武豊騎手がジャパンCで勝利し、同レースの最多勝利騎手となった。チャンピオンズC(ジャパンカップダート時代含む)の騎手の勝利数をランキングにすると、2位タイが2勝の藤田伸二騎手、C.ルメール騎手、M.デムーロ騎手。そして1位が4勝の武豊騎手とここでも同騎手の名前があがる。

当レースは2000年に創設され、第1回はウイングアローと岡部幸雄騎手のコンビが勝利。武豊騎手は第2回にクロフネとのコンビで勝利し、2004、05年にはタイムパラドックスとカネヒキリで連覇。さらに、1年おいた2007年にヴァーミリアンとのコンビで4勝目をあげた。

武豊騎手が当レースで初勝利をあげた相棒クロフネは、当時ダート2戦目。元々は「マル外」にクラシック競走が開放された初年度に登場した名馬で、重賞初挑戦のラジオたんぱ杯3歳Sこそアグネスタキオン、ジャングルポケットに続く3着と敗れているが、毎日杯、NHKマイルCと連勝した芝の実力馬だった。

その後は日本ダービー5着、神戸新聞杯3着と世代上位の走りを見せていたが、目標としていた天皇賞(秋)は外国産馬の出走枠2頭にメイショウドトウとアグネスデジタルが入ってきたため出走を断念し、ダートの武蔵野Sに向かうことに。すると、レースでは2着馬イーグルカフェ(2002年のジャパンカップダート勝ち馬)に9馬身差をつけるという抜群のパフォーマンスを披露し圧勝した。

続くジャパンカップダートでは、向正面の半ばから位置を上げ、4角では先頭。その後は後続を引き離す一方で、前年覇者ウイングアローらに7馬身差をつけて完勝、一気にダート界の頂点へと上り詰めたのだった。しかし、この後に屈腱炎を発症し引退。種牡馬としてスリープレスナイト、カレンチャン、ホエールキャプチャ、アエロリット、ソダシといった多くの名牝を送り出している。

同じく武豊騎手とのコンビで勝利を挙げたカネヒキリとヴァーミリアンは同期のライバル。カネヒキリは3歳で当レースを制したのち、2008年に6歳でC.ルメール騎手とのコンビで再び勝利。ジャパンカップダートで2勝目をあげたのは同馬が初めてだった。

何度も屈腱炎を乗り越えて復活し、「砂のディープインパクト」とも呼ばれた名馬だった。引退後はロンドンタウンやディオスコリダーを輩出。ライバルのヴァーミリアンはリュウノユキナやノブワイルド、ノットフォーマルを輩出している。

また、当レースで唯一の「連覇」を達成しているのが、藤田伸二騎手とトランセンド。ワイルドラッシュ産駒の素質馬で、2010年の4歳シーズンにみやこSで重賞初制覇を成し遂げると、続くジャパンカップダートでGⅠ初出走初制覇を達成し、ダート王者として君臨した。

翌年はフェブラリーS、マイルCS南部杯を勝利、ドバイワールドC、JBCクラシックを2着、締めくくりの当レースを押し切り勝ち、とほぼ完璧な1年を過ごした。引退後は種牡馬になり、産駒としてはジェミニキングやフリーフリッカーなど障害競走で素質を見せる馬を送っている。

今年はレモンポップによるトランセンド以来の連覇なるか、ウィルソンテソーロやペプチドナイルらが意地を見せるか、それとも伏兵が台頭するか。ダート王者決定戦からも目が離せない。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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