【京成杯AH】アスコリピチェーノら3歳馬は苦戦傾向 狙うべきは“5連覇”かかる5歳馬だ

逆瀬川龍之介

京成杯オータムハンデキャップの5歳馬成績と出走予定馬,ⒸSPAIA

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アスコリピチェーノに黄信号?

いよいよ秋競馬の開幕だ。中山開幕週の日曜メインは「伝統のマイル戦」京成杯オータムハンデキャップ。マイルCSに向けて見逃せない一戦だが、今年は例年と大きく様相が異なる点がある。それは3歳馬が大挙エントリーしてきたことだ。

なかでもエース格は昨年の2歳女王アスコリピチェーノ。これに続くのがアーリントンC覇者のディスペランツァ、京王杯2歳Sを制したコラソンビートで、3歳馬のうち重賞勝ち馬は計3頭。さらにパラダイスSで古馬を一蹴したオーキッドロマンス、アネモネSを快勝したキャットファイトも侮れず、かつてない実力派ぞろいとなっている。

グレード制が導入された84年以降で、3歳馬の最多出走は85年の6頭。仮に登録5頭が全て出走すれば、85年に次いで2番目の多さとなる。

それでは、3歳馬の上位独占があるのかというと、そうは問屋が卸さない。14年以降、近10回の年齢別成績を見ると、3歳は【1-1-2-16】の勝率5.0%、複勝率20.0%。全くダメというわけではないが、回収率は単勝が14%、複勝が49%だから積極的には手を出せない。3番人気以内に限っても【1-1-1-7】で良好とはいえない。

21年にはアスコリピチェーノと同じく2歳GⅠウイナーだったグレナディアガーズが1番人気で3着に敗れている。しかもグレナディアガーズのハンデは56kgであったのに対して、アスコリピチェーノは55.5kgで、牡馬換算だと57.5kg。単純な比較はできないとはいえ、楽な状況でないことは明らかだ。

では、逆に狙えるのは? こちらは一目瞭然で5歳だ。同じく近10年だと【7-4-3-38】の勝率13.5%、複勝率26.9%で好走馬が約半分の14頭と多い。回収率も単勝が81%、複勝が78%で3歳と比べて良好だ。1番人気が【3-0-0-1】、2番人気が【2-0-1-2】と堅実に走っている一方、14年には8番人気2着のブレイズアトレイル、21年には12番人気2着のコントラチェックなど、人気薄の好走も多数ある。

今年はサンライズロナウド、ショウナンマグマ、セルバーグ、ディオの4頭がエントリー。このなかで最有力なのは前走関屋記念2着のディオだが、他の3頭も上位争いして不思議ない実力馬たちだ。20年のトロワゼトワル、21年のカテドラル、22年のファルコニア、昨年のソウルラッシュに続く5歳馬の〝5連覇〟が期待できそうだ。

アスコリピチェーノを筆頭とした3歳に注目が集まりそうだが、ここはデータを信じて5歳を狙うべし。馬券はディオの単勝。さらには馬連とワイドの4頭BOXを買って、レースを心待ちにしたい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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