【天皇賞(春)】GⅠでは5戦未勝利の武豊騎手×国枝栄調教師 レジェンドタッグがディープ産駒サリエラで挑む

逆瀬川龍之介

GⅠ初制覇を狙う武豊騎手×国枝栄調教師のタッグ,ⒸSPAIA

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これまでは3着が最高成績

JRAのGⅠで81勝を挙げている武豊騎手。多くの名トレーナーが管理する名馬で、名勝負を演じてきた。

古くは伊藤雄二元調教師。89年の桜花賞ではシャダイカグラで不利な大外枠、さらには出遅れを克服して大逆転V。また、97年の天皇賞(秋)をエアグルーヴで制し、84年に同レースが2000m戦となって以降では初となる牝馬の戴冠を成し遂げた。

もちろん、瀬戸口勉元調教師のオグリキャップも印象的な一頭。90年の有馬記念では感動的なラストランを演出している。他にも池江泰郎元調教師のメジロマックイーンやディープインパクト、角居勝彦元調教師のウオッカ。現役では友道康夫調教師のドウデュースなど、人それぞれに多くの名馬、名シーンが思い出されることだろう。

武豊騎手がともにJRAのGⅠを制した調教師は、実に30人にのぼる。そんな中、そこに名を連ねていない名伯楽が国枝栄調教師だ。アーモンドアイやアパパネなどを手掛け、JRAのGⅠは現役最多タイの22勝しているが、そのうち8勝がC.ルメール騎手で、7勝が蛯名正義元騎手。武豊騎手では5戦して未勝利なのだ。

武豊騎手は87年にデビュー。そして国枝調教師は3年後の90年に開業した。平成から令和の競馬シーンをリードしてきた2人といえる。このタッグではJRAで88戦して【13-11-12-52】の勝率14.8%、複勝率40.9%。20年の弥生賞ディープインパクト記念をサトノフラッグで制し、7回目のチャレンジで重賞初制覇。しかし、GⅠでは5戦して99年マイルCSのブラックホークの3着が最高着順。ちなみに、これがこのコンビでの重賞初参戦だった。


71年ぶりの偉業なるか

「6度目の正直」を目指し、天皇賞(春)にはディープインパクト牝駒のサリエラで参戦する。

半兄のサリオスが19年朝日杯FSの覇者なら、全姉のサラキアは20年の府中牝馬Sを制し、その後のエリザベス女王杯と有馬記念で2着に健闘した血統馬。ここまで休み休みのローテーションとあって、5歳ながらキャリアは僅か8戦。重賞は未勝利だが、一昨年のローズSで2着、昨年の目黒記念で3着の実績がある。

初の長距離戦となった前走のダイヤモンドSでも、次走の阪神大賞典を圧勝するテーオーロイヤルからクビ差の2着に健闘。3kgの斤量差があったことは確かだが、当時の走りを再現できれば、GⅠでも十分にチャンスがあるだろう。

天皇賞(春)は武豊騎手が歴代最多の8勝を挙げる十八番のレース。国枝調教師も09年にマイネルキッツで制している。国枝調教師は26年2月に定年を迎えるため、一緒に勝利するチャンスはそう残されていない。

目指すは53年のレダ以来、71年ぶりの牝馬による春の盾制覇。2人のレジェンドが表彰式でガッチリと握手をかわすシーンを期待したい。

【武豊騎手&国枝調教師のJRA・GⅠ成績】
・1999年 マイルCS:3着 ブラックホーク
・2000年 阪神3歳牝馬S:5着 タカラサイレンス
・2020年 日本ダービー:11着 サトノフラッグ
・2022年 天皇賞(春):15着 ハヤヤッコ
・2022年 ジャパンC:11着 ハーツイストワール

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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