【プロキオンS】ダ1400mでリメイクを撃破した実績のあるシャマルが最有力

山崎エリカ

2023年プロキオンS出走馬のPP指数,ⒸSPAIA

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差し馬有利の傾向も、意外と前からでも押し切れる

過去3年は阪神と小倉で行われていたが、今年は中京ダ1400mに戻る。またこのレースは2012年からは阪神から中京に舞台が変わった。中京ダ1400mの過去8年の平均前半3Fは34秒06-後半3Fは36秒42。明確にハイペース傾向だが、他場のダ1400m戦と似たようなコース設定のため、極端ではない。

中京ダ1400mは他場同様に、最初のコーナーまでの距離が長く、先行争いが激化すると差し、追込馬のチャンスも高まる。しかし、この時期の中京は雨も多くダートが軽いことが多いため、過去8年で逃げ切りが2回、先行押し切りが3回と、意外と前からでも押し切れているのがポイントだ。今年は例年のこのレースと比較をすると逃げ、先行馬が手薄なだけに、直線一気とはならず、前からでも押し切れる可能性が高い。

能力値1~5位の紹介

2023年プロキオンS出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


【能力値1位 リメイク】
昨年のカペラSの覇者。同レースは6番枠からやや出遅れたが、ある程度促して中団を追走。3~4角で中団の中目を通り、4角出口でスムーズに外に出され、直線で追い出されるとスッと加速。ラスト1Fでは一頭だけ違う脚色でグングン伸びて、リュウノユキナに4馬身差をつけ圧勝した。

同レースの前半3Fは32秒2。このタイムは芝1200mでもなかなかお目に掛かれないレベルで、走破タイムも良馬場で1分08秒9。過去に稍重でケイアイガーベラが記録した歴代NO.1の走破タイム1分09秒1を上回った。つまり、レベルが高い一戦だったということ。当然、今回のメンバーでもNO.1の指数となる。

その後は海外のリヤドダートスプリント、ドバイゴールデンシャヒーンの2戦でも3、5着と日本馬では再先着を達成。ドバイゴールデンシャヒーンはホプキンスが激しい先行争いを制してのオーバーペースの逃げ。道中も競られて超絶ハイペースになったことで、出遅れて最後方からの競馬となった本馬は、その後の立ち回りもスムーズで展開に恵まれ、勝ち馬シベリウスと0.3秒差と、能力を引き出せたことは確か。この好走でさすがに疲れが出た可能性が高い。

今回はそこからリフレッシュを図っての始動戦。この先に行われるクラスターC、秋に大井で行われるJBCスプリントを見据えた一戦であることが濃厚だ。本馬はダ1400mで前半3F36秒7-後半3F36秒6と前有利の流れとなったオーバルスプリントでも3着馬を3馬身引き離して2着と好走しているように、この距離も悪くない。

しかし、やや出遅れを挽回して4番手を追走し、3角で2番手に上がったシャマルの後ろを追いかけて進出しながらも、最後の直線で同馬との差が詰められなかったように、ベストは速い流れのダ1200m戦。ここでは能力値1位だけに上位争いに加わる可能性は高いが、取りこぼしがあっても不思議はない。

【能力値2位 シャマル】
短距離の交流重賞で4勝の実績馬。今年の黒船賞は4番枠から好位の内を前の馬とのスペースを作って追走。3~4角で内から押し上げて、4角で砂厚の深い最内から抜け出し、直線序盤で外に出しながら一気に先頭。そこから後続との差をじわじわ広げ、3馬身差で完勝した。

本馬は昨秋のマイルCS南部杯で3着、チャンピオンズCで5着とマイルも中距離もそれなりにこなせるが、ベストはダ1400m。前記の黒船賞時に自己最高指数を記録したばかりではなく、昨秋のオーバルスプリントでは、3番手から3角を外から進出し、リメイクにマークされながらも直線で同馬に差を詰めさせず、1馬身半差で完勝している。

本馬は昨年1月の伊賀Sで、好位の直後から3~4角でズルズル後退し、直線で盛り返しながらも6着敗退、初めて内で揉まれた競馬で結果を出せなかった。そういったことから、前へ行く、外から進出する、馬場の悪い内から押し上げるなど、揉まれない競馬を意識して乗られているが、近走は内で揉まれる場面がありながらも、がんばりを見せている。

前走のさきたま杯は1番人気に支持されながらも、跛行で競走中止。今回はそこから立て直されての一戦。今回は3番枠と外から被されそうな枠に入ったが、得意のこの距離なら上位争いが濃厚。今回の本命候補だ。

【能力値3位 タガノビューティー】
初めてのブリンカー着用で挑んだ今年初戦の根岸Sで4着に入ると、次走のコーラルSで1着。そして前走のかしわ記念(JpnⅠ)でも2着と好走した。前走は13番枠から五分のスタートを切って、そこから押しながら中団外を追走。向正面では中目からハヤブサナンデクンの後ろまで押し上げ、3~4角では先に動いた同馬の直後から進出し、直線で外に誘導。外のメイショウハリオと併せて3番手まで上がり、ラスト1Fでハヤブサナンデクンを競り落として、メイショウハリオからクビ差の2着に好走した。

本馬は6歳ながらブリンカー効果が相当あったのか、前走で昨年と今年の帝王賞を優勝したメイショウハリオ相手に善戦するほどまで強くなった。また本馬は3走前の根岸Sでもやや出遅れたが、後方外から中団のバトルクライの後ろまで押し上げ、3~4角で同馬の外から強気に仕掛けて、直線序盤で同馬との叩き合いを演じて4着に食い込んでいる。

根岸S当日はかなりタフな馬場で、オーロラテソーロとヘリオスが競り合い、かなりペースが速くなり前が崩れたのは確かだ。しかし、本馬も4角で大外を回るロスがありながら善戦しており、この距離も問題ない。マイルがベストで前走で能力を出し切った感があるものの、近走の充実ぶりから当然チャンスはある。

【能力値4位 ドンフランキー】
前走の京都競馬場グランドOP記念は、10番枠から五分のスタートで出脚はそこまで速くなかったが、しつこく押して3角まで続いた激しい先行争いを制してハナに立ち、逃げ切り勝ちを決めた馬。同レースは2、3着馬との着差は2馬身差だったが、4着馬にはさらに5馬身差を付けており、リニューアル直後の京都でかなりタフな馬場、さらに強風だったことを考えればとても強い内容だった。

実際、このレースで本馬と競り合い9着に敗れたワルツフォーランは次走の天保山Sで2着に巻き返している。また本馬は3走前の遠江S(ダ1400m)では、14番枠からトップスタートを切って二の脚で内に切り込みながら、重馬場とはいえかなりのハイペースで逃げた。結果は2着に2馬身半差、3着にさらに3馬身差、4着にもさらに4馬身差と後続馬をバラバラにして逃げ切っているように、この距離も問題ない。

本馬はこれまで内で揉まれる競馬の経験がなく、相手強化のダートグレードで内枠に入って外から被されたときの危うさを感じていたが、今回のメンバーなら前走で1200m戦を行き切っている強みで逃げられる可能性が高い。仮に逃げられなかったとしても、前走の欅Sで逃げて2着のジレトールより外の枠なら、同馬の外を追走できるだろう。ダ1400mの重賞ながら前に行きたい馬が手薄なここは対抗候補だ。

【能力値5位 オメガレインボー】
ダート1700mに多くの好走実績があり、2021年夏にはマリーンS、エルムSで連続2着。その次走の武蔵野Sで3着したあと、距離不足と思われたカペラSでも3着。同レースは一気の2Fの距離短縮で、9番枠から出遅れて想定どおり後方からだったが、そこから盛り返すような脚を見せ、後方馬群の最内を追走。3~4角で最短距離を通って、直線では最内から進出。序盤はジリジリだったが、ラスト1Fでバテた馬を捌いて前のモズスーパーフレアを交わしたところがゴールだった。

一昨年のカペラSは良馬場で前半3F32秒8。昨年が異常過ぎただけで、一昨年も芝の逃げ馬モズスーパーフレアが極端なハイペースにしたことで、ラスト3F36秒7(11秒9-12秒0-12秒8)の消耗戦となり、直線で前がバタバタと失速。3着はそれをロスなく立ち回り、差したもの。本馬はその後もダートのオープンクラスで距離を問わず安定した成績を残している。今回の距離だとテンのスピード不足で後方からの競馬になる可能性が高いが、展開に恵まれればチャンスは十分ある。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)リメイクの3走前の指数「-35」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも3.5秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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