【CBC賞】最有力はハンデ58.5Kgも相手に恵まれたマッドクール 穴馬2頭は自分の競馬ができればチャンスあり
山崎エリカ
ⒸSPAIA
前有利も何か1頭が外から差す傾向
過去3年は阪神と小倉の芝で開催されたが、今年は3回中京の開幕週で行われる。中京芝はリニューアル後、しばらく時計を要していたが、2016年の高松宮記念の週から一気に高速化。良馬場なら1分7秒台前半、ペース次第では1分6秒台も視野に入るほどの超絶高速馬場。しかし、中京芝は金曜時点で重馬場。さらに土曜も雨予報が出ており、今回はそれなりに時計が掛かりそうだ。
また中京の開幕週で行われた2016年からの4年間で、3角先頭が3着3回、3角2番手が2着2回、3着1回と前有利の傾向だ。しかし、1着は全て3角6~16番手と中団より後方でレースを進めた馬。これは中京芝1200mの中盤にあたる3~4角が下り坂になっているため、そこでペースが緩まず、ラスト1Fで大きく減速する傾向があるからだ。今年は12頭と小頭数だが、前に行きたい馬が多数。差し馬の浮上も視野に入れたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 マッドクール】
芝のスプリント路線で上昇軌道に乗り、4連勝目で3走前の知立S(3勝クラス)を勝利した馬。同レースは二の脚で先行争いに加わったが、最終的には好位の内目を追走。3~4角では中目に誘導して位置を押し上げ、直線序盤で一気に伸びて先頭へ。ラスト1Fではもう抜け出し、外から迫るエイシンスポッターを振り切って1馬身半差で完勝した。そのエイシンスポッターはここでは能力値2位。本馬と4馬身半差の3着だったスンリも次走で3勝クラスを勝利しており、3勝クラスとしてはレベルの高い一戦だった。
前々走のシルクロードSは3着だったが、休養明け好走後の一戦ながら積極的にハナを主張し、前半から飛ばす攻めの騎乗だったがよく粘っていた。このレースで先着を許したナムラクレアとファストフォースが高松宮記念でもワン、ツーを決めている。そういったことから本馬も高松宮記念に出走していれば十分チャンスがあったと推測できるだけに、自ら厳しい流れに持ち込んで敗れ、賞金不足で出走できなかったのはもったいなかった。
休養明けで重馬場の前走・春雷Sは、ジャスパージャックを行かせて2番手を追走。4角で馬場の良い外に誘導し、先頭列に並びかけて直線へ。内から抜け出したキミワクイーンとの叩き合いをクビ差で制したが、前走は2~3走前と比べると指数をダウンさせているように、相手に恵まれた面が大きい。よってタフな馬場でも消耗が少なく、ここでの前進が期待できる。今回はハンデ58.5Kgとかなり見込まれたが、相手にも恵まれただけに最有力だろう。
【能力値2位 エイシンスポッター】
デビュー当初は中距離戦を走っていたが、5戦目から芝1200mを使われるようになり、同距離では【5-1-2-1】。着外に敗れた1回は6着で、そのレースは3~4角で後方の内で包まれ、最後の直線で前が壁になり、残り100mくらいまで進路を作れなかった。本馬は末脚を生かす馬らしく、安定した成績を収めながら、徐々に指数を上昇させている。
不良馬場の前走は14番枠からやや出遅れ、そこから促されたが追走に苦労して後方に下がって追走。道中では中目のスペースを詰めて3~4角では我慢。直線では中目を捌いて一気に3列目まで上がると、ラスト1Fでそのまましぶとく伸び、前を捉えて1馬身差で勝利した。
前走はタフな馬場ではあったが、そこまでペースが上がらず、先行馬でも粘れる展開ではあった。それでもタフな馬場で自己最高指数を記録した後の一戦となると、今回は余力面に不安があり、上昇は期待しにくい。また二の脚が遅く、この距離ではどうしても後ろからになってしまうので、道悪ならともかく、開幕週の前有利な馬場では苦しい。
【能力値3位 トゥラヴェスーラ】
今年の高松宮記念で3着に好走した馬。同レースは1番枠から五分のスタートを切り、中団の内目を追走。道中は各馬が馬場の良い外を選んでレースを進めていたが、本馬は3~4角で最短距離を通り、直線でも最内を選択。序盤でしぶとく伸びて2列目付近まで上がり、ラスト1Fまでファストフォースにしぶとく食らいついたが、最後はナムラクレアに差されて3着だった。
高松宮記念は極悪馬場で逃げ、先行馬が総壊滅する展開。終始馬場が悪化した最内を通ったにせよ、展開に恵まれた。ただ、スタミナが不足する休養明けで好走したことは褒められる。前走の京王杯スプリングCは中団の内目を追走。1番人気のダノンスコーピオンをマークして乗っていたが、直線序盤で同馬が動けない中で進路を作れず、仕掛けられなかった。結局、最後までまともに追えずに12着に敗れた。
前走は最後に進路を内に切って、スペースを確保してからも伸びなかった辺り、休養明けで好走した疲れがあったと見ている。ただそれでもスムーズならそこまで負けなかったはずだ。昨年の阪急杯でダイアトニックにクビ差の2着まで迫り、自己最高指数を記録していることから、距離が長かったということもないだろう。よってここでの巻き返しがあっても不思議はない。またエイシンスポッター同様に後半型の馬ではあるが、同馬よりも二の脚が速く、後方からの競馬になり過ぎない点も良い。
【能力値4位 ヨシノイースター】
4走前のファイナルSでは、エイシンスポッターとの一騎打ちを演じた馬。同レースは2番枠からまずまずのスタートを切って各馬の出方を窺っていたところを、外のショウナンラスボスに強引に進路をカットされ、スムーズさを欠いたが、それでも好位の内をキープして追走。3~4角でペースが上がらず、進路がない状態だったが、4角で外目に誘導して何とか進路を確保。直線序盤で追い出されるとしぶとく伸びて先頭列まで上がり、ラスト1Fで外のエイシンスポッターと馬体を合わせての叩き合いとなった。
結果はアタマ差の2着だったが、3着のショウナンラスボスには2馬身半差を付けており、なかなかの好指数&好内容だったと言える。また3~4角で待たされて動けなかった本馬に対し、エイシンスポッターは3~4角で開いた中団内のスペースを利用して前に迫っており、とても上手く乗られていた。
前走の鞍馬Sでもエイシンスポッターに敗れ4着。ただ同レースは8番枠から出遅れて中団馬群の中目を追走。ペースが上がらずに団子状態となったため、3角手前で位置を下げて外に誘導する形となった。そこから3~4角の後方外々を回って4角出口で大外に出されると、直線序盤ではジリジリだったが、ラスト1Fでエンジンが掛かると目立つ脚で伸び3着のスマートクラージュにハナ差まで迫った。本馬はエイシンスポッターとそう変わらない能力の持ち主で、展開ひとつで逆転はあると見ている。しかし、ここ2戦、特に前走は後方からレースをしており、スムーズに流れに乗れるかどうか。まして今回1番枠となると不安もある。
【能力値5位 スマートクラージュ】
5走前の淀短距離Sでは、タイセイアベニールを寄せ付けずに勝利した馬。同レースは4番枠からまずまずのスタートを切って、二の脚でハナを主張。外のレジェーロが内に切れ込んで来たので、ブレーキ気味に位置を下げ、最終的に2列目の最内を追走。3~4角でもコントロールして2列目で直線へ。直線序盤で狭い内を割ってすっと伸び、ここで先頭。ラスト1Fで外から迫るダディーズビビッドに3/4差を付け完勝した。このレースは当時芝1200mの安定勢力だったタイセイアベニールにも完勝しており、それなりの評価ができる。
本馬は長期休養明けからの復帰戦となった3走前の京阪杯でも、やや出遅れたのを挽回して好位の内から、3~4角で上手く最短距離を通ったとはいえ、3着に善戦。その次走こそ二走ボケで8着と崩れたが、立て直された前走はスタートを決めて、逃げ馬の直後でレースを進め、早め先頭の競馬で3着に粘れている。前走から前進があればここでも通用するが、前走でそれなりに走っているので、ここで大きく変わるかはやや疑問を感じる。
穴馬はテイエムスパーダとサンライズオネスト
【テイエムスパーダ】
小倉のコンクリート馬場で行われた昨年のCBC賞を、驚異的なレコードタイムで逃げ切り勝ちした馬。当時は斤量48Kg。軽斤量はダッシュ力、瞬発力などの加速力に最も大きなプラスの影響を与えるだけに、超絶高速戦で48kgは圧倒的に有利だったことは確か。しかし、そこを踏まえても5F通過53秒8(アイビスSDのレコードタイムに0.1秒差)の超ハイペースで逃げての3馬身差は圧倒的だった。
本馬はこれまでの4勝が全て1~2番手でレースを進めての結果であるように、揉まれずに前に行ってこその馬。近走は出遅れ続きで本来の力を出し切れていないが、立て直されての今回は巻き返しに期待する。本馬はもともとテンの速い馬ではないが、今回はスタートさえ決まれば、ジャスパークローネの2番手には行けるだろう。
【サンライズオネスト】
昨年の阪急杯3着や、その後のOP・L連対時2度が先行策だったように、前でレースの流れに乗れると馬券圏内に突入することが多い馬。福島開幕週ながらタフな馬場だった3走前のモルガナイトSも2列目の外でレースを進め、逃げたヴィズサクセスのクビ差2着に好走した。
本馬は前半のペースが速いと前の位置が取れないという弱点がある。しかし、時計の掛かる馬場なら前の位置を取れさえすれば、しぶとさを生かして通用する可能性が高まる。また時計が掛かれば、ロスなく立ち回れる内枠の優位性がそれほどなく、外枠の不利は軽減される。
テイエムスパーダが出遅れ、タフな馬場で好走してきた馬が能力を出し切れないなど、他馬が力を出し切れず、なおかつ本馬が自分の形で競馬ができたときは、馬券圏内突入のチャンスが高まるので要注意だ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)マッドクールの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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