【セントウルS回顧】フリッカージャブ、スプリンターズSへ向け完成の域 自制欠いたピューロマジックは次走に期待
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【セントウルS回顧】フリッカージャブ、スプリンターズSへ向け完成の域 自制欠いたピューロマジックは次走に期待

2026/09/07 10:39
勝木淳
2026年セントウルS、レース結果,ⒸSPAIA

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仕掛けるピューロマジック、待つフリッカージャブ

サマースプリントシリーズ最終戦セントウルSはフリッカージャブが制し、重賞2勝目。2着ピューロマジック、3着ママコチャで決着した。サマーシリーズのなかでもスプリントは最終戦が熱かった。

フリッカージャブの逆転の目はセントウルSを勝ち、かつピューロマジックが6着以下に敗れたとき。いいかえれば、ピューロマジックはセントウルSを走り、自分が崩れさえしなければ優勝できる。そして2頭はどちらもスピードを武器にシリーズを戦い抜いてきた。その隊列や出方ひとつで結果は変わる。注目は先行争いにあった。

スタート直後、抜群の発馬で先制攻撃を仕掛けたのはフリッカージャブだった。対するピューロマジックは一完歩目でわずかに、本当に一瞬だけ内にヨレてダッシュで遅れをとってしまった。外からピューロマジックが来るのを待つフリッカージャブ。挽回するピューロマジック。この攻防が結果をわけた。

ピューロマジックはここ2戦では自然流で先手をとったが、今回は自ら仕掛けてハナを奪いにいった。この動きによって馬のスイッチが入ってしまったようで、後ろを離す形で前半600m32.8を記録した。わずかだが、ペースが速すぎた。200m通過後から残り400mまで10.3-10.5-10.8。3区間連続10秒台が響いた。本来できたはずの自制の効いた走りに収まりきれなかった。まして得意とはいえない急坂が待っており、ここでフリッカージャブにかわされてしまった。


待つ力を身につけたフリッカージャブ

フリッカージャブは序盤でピューロマジックを待ち、かつ先をいく同馬を追いかけずに離れた2番手を走れた。ムキになってついていってしまえば、共倒れもあった。有り余るスピードをコントロールし、待つ力を身につけた。これがこの夏の進化。北九州記念でも同じような競馬ができており、いよいよスプリンターとして完成の域を迎えた感がある。

前後半32.8-34.1、1.06.9でセントウルSを勝ち切ったのはスプリンターズSにつながるだろう。中山芝1200mは昨年のようなスローペースは滅多になく、基本は前傾ラップのハイペース。ピューロマジックが演出する速いラップを乗り切ったのは予行練習になった。本番はハイペースを余裕で追走できないと好走できない。

2着ピューロマジックはスタート直後の一瞬の動きでわずかに乱れたペースの差で最後に差された。とはいえ、2着に踏みとどまり、サマースプリントシリーズ優勝は決めた。さすがは重賞連勝中の充実期にある馬だ。少し飛ばしたとはいえ、急坂があってもあっさりとは止まらない。今回、序盤で自制を欠いたことがこの先どう影響するかは心配だが、本来は大人の逃げが打てるので、次走以降も安定して走ってくれるのではないか。


芝で見せ場をつくったママコチャ

3着はママコチャ。3年前のスプリンターズS覇者は7歳になっても決して衰えていない。今回は高松宮記念以来となる芝だったが、やはりダートより安定感がある。激しい先行争いから一歩引く形をとり、直線でしぶとく脚を使ってきた。センス良く理想の位置に構え、抜け出すのはママコチャの得意パターンであり、形さえつくれれば崩れない。

3番人気ファストネットワークは15着。香港の馬体重計測は日本と違い、当日に行わないので、数字を額面通り受け取ってはいけないが、28キロ減は気になった。この日もコースレコードで圧倒した怪物カーインライジングを避ける形で日本のスプリント路線へ参戦してきたが、調整がうまくいっていなかったか。とはいえ、これを叩いて本番へという青写真を描いているなら、セントウルSは試走だと割り切っている可能性もある。特に外国馬はそういった計画性が顕著であり、この大敗は鵜呑みにできない。

4番人気ダイヤモンドノットは8着。中団から追走しているうちに余力がなくなったようで、直線は反応しきれなかった。休み明け、2歳夏以来の1200mとそれなりに高い壁への挑戦であり、この結果ひとつで決めつけられない。これを経験して、1200mで一変なんてこともあるかもしれない。結果がすべてだが、結果だけで判断することもできない。

2026年セントウルS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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