SPAIA競馬
トップ>ニュース>【新潟記念】不屈の実力馬オフサイドトラップが重賞連勝 トップハンデはねのけた1998年をプレイバック

【新潟記念】不屈の実力馬オフサイドトラップが重賞連勝 トップハンデはねのけた1998年をプレイバック

2026/08/24 17:00
緒方きしん
プレイバック1998年 新潟記念,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

前走で初タイトル 屈腱炎を乗り越えたオフサイドトラップ

今週は新潟記念が開催される。過去にはダイナフェアリーやブラストワンピース、マイネルファンロンが制したレース。今回はそんな中から1998年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。

1998年の新潟記念は、単勝オッズが上から3.6倍、4.5倍、4.6倍と、上位人気3頭が睨み合う構図となっていた。49キロ〜58キロと幅広い斤量の馬たちが並ぶなかで、1番人気となったのはトップハンデ58キロを背負うオフサイドトラップだった。

オフサイドトラップは三冠馬ナリタブライアンと同期の1994年クラシック組。世代限定戦のセントポーリア賞、若葉Sではチョウカイキャロル、エアダブリンといった素質馬を破って連勝したものの、皐月賞7着、ダービー8着とクラシックでは掲示板を逃してしまう。さらに、その次走では屈腱炎を発症と、逆風が続いたなか、陣営は治療の道を選んだ。

復帰後は屈腱炎の再発に苦しみながらも、陣営の尽力で何度も競馬場に戻り、着実に力をつけていく。重賞では2着・3着と惜敗が続いたが、それでも挑戦をやめず、8歳(数え年、以下同様)の7月、ついに七夕賞を制覇。念願のタイトルを手にした勢いのまま、新潟記念に乗り込んできた。

2番人気は毎日王冠やカブトヤマ記念と重賞2勝の実績を持つスガノオージ。年明け以降、ほぼ毎月レースに使われるタフネスぶりで、前走の関屋記念では2着と好走していた。3番人気は重賞初挑戦のブラボーグリーン。直近6走は1着3回、2着2回、3着1回と、条件戦とはいえ抜群の安定感を示しており、斤量54キロという点も魅力だった。

さらに、2年前の新潟記念覇者トウカイタロー、前年の牝馬三冠を皆勤したプロモーションをはじめ、タマモクロス産駒のファーストソニアや先行力が武器のガールスカウトなど、伏兵勢も面白いメンバーが集っていた。

外から捲って力強く差し切る

重馬場のなか、オフサイドトラップをはじめ各馬が好スタートを切るなか、戦前の予想通り、牝馬ガールスカウトが促されて先頭に立つ。ファーストソニア、スガノオージらがこれを追い、2番手に4頭が横並び。さらにその後方にも4頭が並ぶという密集した隊列で最初のコーナーに差しかかる。

コーナーでは馬群が少しだけばらけ、2番手にベテランのトウカイタロー、3番手にスガノオージがつける。先行集団では、各馬が好位を巡って探り合う展開となった。一方、オフサイドトラップは後方5番手付近。8枠14番ということもあって、鞍上の蛯名正義騎手は外を回し、内に3頭ほど置く形で進めた。

残り1000m地点でも、ガールスカウトを先頭に隊列は密集したまま3、4コーナーへ。4コーナー手前、オフサイドトラップが大外から一気にポジションを上げていく。そのタイミングで、人気の一角スガノオージは失速してしまう。前では、2番手のトウカイタローがガールスカウトに襲い掛かり、先頭に並びかけて直線へ。

直線に入ると、馬群は横に広がる大接戦となった。ラチ沿いではファーストソニアが先頭をうかがい、ガールスカウトも盛り返す。一方、トウカイタローは脚色が鈍っていく。そんななか、馬群の中から抜け出したのはブラボーグリーン。その外からはオフサイドトラップが猛然と追い込んできた。

ラスト100m、勝負はブラボーグリーンとオフサイドトラップの2頭に絞られた。両鞍上の手が激しく動く追い比べ。先に抜け出したブラボーグリーンが粘り込むか──。そう思われた刹那、オフサイドトラップがもうひと伸び、ふた伸び。ゴール前、わずかにハナ差だけ差し切る。あまりにも見事な勝利だった。

3着には斤量50キロのファーストソニア、4着には52キロのアグネスハンサムとハンデの恩恵を得た馬たちが入る。道中で急失速したスガノオージは8着だった。

2番人気スガノオージが敗れたとはいえ、1番人気オフサイドトラップと3番人気ブラボーグリーンの決着で、馬連の配当は970円だった。3着ファーストソニアは11番人気の伏兵であり、複勝は680円の好配当。当時、ワイドや3連単が発売されていたら、おいしい馬券になっただろう。

今年は7歳馬3頭が若き実績馬たちに挑む

オフサイドトラップはその次走で春クラシック二冠以来となるGⅠ、天皇賞(秋)に挑戦することになる。ステイゴールドに騎乗する蛯名騎手にかわり、柴田善臣騎手とコンビを結成。奇しくも、新潟記念でハナ差の勝負を演じたブラボーグリーンの鞍上である。

その天皇賞(秋)では、単勝1.2倍の大本命だったサイレンススズカがレース中に故障。悲鳴があがるほどの騒然とした雰囲気のなか、オフサイドトラップはステイゴールドとの追い比べを制し、GⅠ制覇を果たした。悲劇の一戦ではあったが、8歳ながら、幾度もの怪我を乗り越えて掴んだオフサイドトラップの勝利は、大いに称賛されるべきものであろう。

昨年からは従来のハンデ戦ではなく別定戦に条件が変わった新潟記念。多数のGⅠ馬をはじめとした豪華メンバーが揃い、大熱戦が期待される。

その一方、当時のオフサイドトラップと同年齢で挑むジュンブロッサム、ボーンディスウェイ、バレエマスターも参戦。いずれもキャリア30戦近くを走り抜いてきたベテラン馬だ。人気の若い世代を相手にどのような走りを見せてくれるのだろうか──。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、コスモネモシン、ドウデュース。

《関連記事》
【新潟記念】過去10年のレースデータ
【新潟記念】前走GⅠ組が近10年で5勝 "前例なきプロフィール"3歳ロデオドライブがカギ
現役最高の新潟巧者は? 勝率52.4%の「ルメール」×「未勝利戦」など騎手、種牡馬ごとに徹底検証