【京成杯AH回顧】スピード優先の馬場がピコローズに味方 5着サイルーンは次走も要チェック
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【京成杯AH回顧】スピード優先の馬場がピコローズに味方 5着サイルーンは次走も要チェック

2026/09/07 12:00
勝木淳
2026年京成杯AH、レース結果,ⒸSPAIA

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抑え気味だったメタルスピードのペース

サマーマイルシリーズ最終戦の京成杯オータムハンディキャップはピコローズが制し、重賞初制覇。2着エコロブルーム、3着ドロップオブライトで決着した。ピコローズは10番人気、昇級初戦、最軽量ハンデでの優勝だった。

1986年以降、京成杯AH(旧京王杯AH)で53キロ以下の最軽量ハンデ馬が制したのは15年フラアンジェリコ、19年トロワゼトワルに次ぐ3例目。このうち昇級初戦だったのはトロワゼトワルであり、ピコローズはこの馬に近い。トロワゼトワルは翌年、前年より3キロ増で連覇を決めており、来年まで覚えておきたいところだ。

最軽量ハンデ馬が優勝した背景はいくつかある。まずは馬場状態。前日夕方から本降りになった影響を受け、開幕週の芝は稍重でスタートした。しかし、午後には良に回復しており、2勝クラスの芝1200mの勝ち時計は1.07.0と開幕週らしい絶好の馬場でレースを迎えた。

大規模な芝の張替えを終え、全面野芝で行われる9月開催は中山であっても比較的軽く、特に上がり時計が速くなりやすい。スピード優先の馬場は軽ハンデに味方した。

また、決着時計が1.32.0と馬場設定を踏まえると、そこまで速くなかったのもピコローズには味方した。

昨年は1.31.3、2年前1.30.8と高速決着になりやすい。今年、そう速くなかったのは前半のペースにある。

ハイペースで飛ばせるメタルスピードは先手をとりながらも、前半800mを45.8で入った。開幕週でこの時計は同馬の脚力を考えると決して飛ばしておらず、むしろ抑え気味に入った。


シンプルな作戦が当たったピコローズ

前半で抑えていけば、後半は自然と速くなる。後半800m46.2、特に上がり600m34.5はメタルスピードにとって速い。本来はもう少し突っ込んで入り、最後に時計を要する我慢比べに持ち込んで粘る形がベスト。同馬が溜めていったことで、最後は33秒台の末脚が問われることになった。

秋の中山はペースが緩いと、どの距離でも最後は33秒台勝負になり、中山のイメージと異なる適性が必要になる。

ペースが速くない新潟芝1400mを33.1で差し切ったピコローズはその経験がつながった。さらに昇級初戦の挑戦者らしく、リズム重視で進み、内を立ち回って直線で進路ができたところを抜けるというシンプルな作戦も当たった。

とはいえ、このメンバーで好位の後ろから上がり33.6で繰り出せたのはポテンシャルの高さ。3歳終わりから4歳にかけて成長曲線が上向き、完成の域を迎えた。次走以降はハンデの恩恵がなくなるが、どこまでやれるか。楽しみはある。


5着サイルーンは次走注意

2着エコロブルームは前走と同じく安定した先行力を発揮し、ソツなく立ち回った。トップハンデ馬であり、実績馬らしいレースぶりだった。2年前に当舞台のニュージーランドTを勝っており、むしろ5番人気は勘ぐられすぎた。

奇しくも1、2着は前走1400mに出走していた距離延長組。時計が速い軽いレースになると、距離延長が威力を発揮する。この先、秋はしばらくこういった馬場による軽いレースが続くので、作戦的に覚えておきたい。

3着ドロップオブライトは7歳牝馬。56.5キロのハンデでの好走なので素直に偉い。イン突き得意の鞍上にインを立ち回るのが上手な馬。この人馬に内枠が当たり、なおかつ開幕週とくれば、これぐらいはやれる。8番人気は絶妙で、この展開を読めた方も多かったのではないか。好走パターンは決まっており、ハマりそうなときに狙いうちしたい。

結果的にほぼ外を回ったらアウトという競馬だったが、逆に内を選んで、力を出し切れなかったのが5着サイルーンだ。

目の前にいるドロップオブライトが頑張っていたこともあり、ほぼ進路がないまま終わった。追い出しが遅れ、仕掛けたのはゴール寸前のこと。それで掲示板まで来たので、この敗戦は次走以降に役立てたい。


2026年京成杯AH、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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