【府中牝馬S回顧】セキトバイーストの強みを生かした浜中俊騎手 持久力戦で輝いたジャイアンツコーズウェイの血

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勝利を引き寄せた離し逃げ
4月の終わりに開幕した東京開催は全9週間の日程を終えた。今週を除く前8週間で芝は88レース行われ、そのうち良馬場が87レース。稍重は6月13日2Rの1レースだけだった。
東京の芝は多少の雨では悪化しない。開催が進み、各馬が内を避ける場面こそあったが、総じて時計の速い状態を維持してきた。
だが、最終週は土曜からまとまった雨が降り、芝は滑り出しから稍重。さすがにタフな状態へと変わっていった。
春の連続開催最後の芝レースの府中牝馬Sは、軽さより持続力を求める状況にあった。切れ味より持続力、瞬間的なスピードが要求されない馬場への適性が結果を左右した。そして、その適性を最大限に引き出したのが昨年の覇者セキトバイーストだった。
その昨年は1000m通過58.9、上がり600m35.4の持続力勝負を4コーナー3番手から抜け出した。エリカヴィータの逃げを利用した味な競馬だった。一方で、控えて重賞タイトルを獲得したことで幅が広がるかと思いきや、そこから4連敗。大きく負けたわけではないが、パンチ不足を感じさせる競馬が続いた。
今回はテリオスララという逃げ候補こそいたものの、セキトバイーストはあえてハナに立った。この判断がもどかしい現状を打ち破った。
適度に時計がかかる馬場と、さほど速いペースをつくらないテリオスララが自身より外に入ったことが逃げという答えにたどり着いた。この1年、ずっと騎乗してきた浜中俊騎手でなければこの答えは導き出せなかったのではないか。
逃げる形もあえて後ろを引き離していく強気な姿勢だったことも好判断だった。東京芝1800mで一気に飛ばす構えを見せられれば、深追いするのは難しい。とはいえ1000m通過は58.9。昨年とまるで同じタイムで進んでおり、セキトバイーストがもっとも力を発揮できるペースだった。
11秒台後半を刻み続け、ラスト800mも11.5-11.5-11.6-12.0。加速せずとも失速もなし。これがセキトバイーストのスタイル。離し逃げから上がり600m35.1でまとめられては後続はなす術なし。上がり最速は2着ウイントワイライトの33.9で、瞬間的なスピードを出せない馬場も味方した。
この春輝いたジャイアンツコーズウェイの血
確かに控えて幅を出す競馬も悪くないが、後半でギアを上げられない面をカバーするなら自分で先手をとり、その要素を自ら消していく形がいい。自分より飛ばす馬がいればいいが、今後も相手関係を読んで柔軟に出ていってほしい。
セキトバイーストの適性は父デクラレーションオブウォーそのもの。勝負を決するまでずっと11秒台後半で走るスタイルだ。
加えてタイヘイ牧場が輸入した母ベアフットレディの産駒は兄マテンロウアレス、弟ジョバンニ、妹ソルパッサーレと先行粘り込みを得意とする。
母の父フットステップスインザサンドはジャイアンツコーズウェイの血を引き、母系にはカーリアンの血も入る。持続力の要素が濃い血統だ。
ちなみにジャイアンツコーズウェイは二冠馬ロブチェンの母の父であり、ここにきて日本で再ブレイクの予感がする。父として日本でもエイシンアポロンやエーシンジーラインを出したが、やや一本調子な面が物足りなくも感じた。
だが、時代的にサンデーサイレンス系全盛だったこともあった。この先、母の父など血統表の奥に入ることで、底力を支える存在になりそうだ。
レイデオロ×ダイワメジャーの距離適性
2着に追い込んできたのはウイントワイライト。デビューから1400m以下に出走しており、一気の距離延長で新たな一面をみせた。
セキトバイーストが作った厳しい流れにより、好位中団勢が伸びあぐねたのもあるが、この距離のタフな流れでゴールまで伸びてきたのは大きい。父レイデオロのタフな面が出てきたようだ。
母の父ダイワメジャーとの組み合わせは1400mもいいが、1800m、2000mの成績もいい。東京や京都の成績もよく、直線が長く、急坂がないコースに強い。しばらく開催はないが、ぜひ覚えておいてほしい。
3着は14番人気のミアネーロ。フラワーS以来勝ち星から遠ざかっているが、昨年秋までは出走すれば人気に推されていた一頭。年明け初戦にダートを使い惨敗していたのが嫌われたか、一気に14番人気と人気を落としていた。
このレースは重賞実績馬がハンデを背負ったせいか軒並み人気を落としていたが、好走したのはミアネーロだった。個人的には完全に人気落ちの実績馬選びを間違えた。持続力勝負に強く、ある程度位置をとれたのが好走要因だろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。
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