【宝塚記念】キタサンブラック&ドゥラメンテを撃破 牝馬マリアライトのジャイアントキリングをプレイバック

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主役は4歳世代の二強
今週は宝塚記念が開催される。過去にはナカヤマフェスタやゴールドシップ、タイトルホルダーらが制したレース。今回はそんな中から2016年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。
2016年の宝塚記念は、4歳牡馬の実力馬がそろった一戦だった。シュヴァルグラン、サトノクラウン、アンビシャス、ヤマカツエースなど好メンバーが集まったなか、特に人気を集めたのはドゥラメンテとキタサンブラックの2頭だった。
ドゥラメンテは前年のクラシック二冠馬。三冠や、凱旋門賞挑戦が期待されていたが、ダービー後は骨折により、休養を余儀なくされる。それでも復帰戦の中山記念を制すると、ドバイシーマクラシックでも2着と好走。キャリア8戦すべてで連対を続けており、抜群の安定感を誇っていた。
一方のキタサンブラックはドゥラメンテと初対戦となった皐月賞では3着、続くダービーでは14着と敗北を喫する。しかし、同馬の戦線離脱後は最後の一冠・菊花賞を制し、有馬記念も3着と好走。4歳春には大阪杯2着、天皇賞(春)制覇と着実に力をつけていた。
単勝オッズは、ドゥラメンテが1.9倍、キタサンブラックが5.0倍。もちろん宝塚記念の名にふさわしく、別世代にも強豪が集結していた。ラブリーデイ、トーホウジャッカル、ステファノスのほか、後に波乱の主役となる牝馬マリアライトも参戦していた。
マリアライトは半兄にダートの強豪クリソライトがいる血統。父がディープインパクトに替わったことで芝適性を示し、前年にはエリザベス女王杯を制覇していた。その後も牡馬相手に好走を続けていたが、ここでは8番人気に甘んじた。
ドゥラメンテか、キタサンブラックか。それとも──。ファンの視線がゲートへ注がれた。
キタサンブラックを差し、ドゥラメンテをおさえる
ゲートが開くと好スタートを切ったキタサンブラックが内からスッと前につける。ワンテンポおいてカレンミロティックやトーホウジャッカルら複数頭が前をうかがうが、キタサンブラックに競りかかる馬はおらず、隊列は早々に決まった。
一方のドゥラメンテは後方4番手を追走。キタサンブラックとは対照的な位置取りとなった。マリアライトも11番手と後方にポジションを取る。
前半の1000mタイムは59.1というペース。向正面では蛯名騎手とマリアライトが、外からポジションを少し押し上げる。武豊騎手とキタサンブラックの作るペースのなか、中団馬群はかなり横に広がっていた。
3コーナーでも横に広がった集団の外目をマリアライトは追走した。一方、ドゥラメンテは馬群の中を進む。ここからどう捌いていくのかが焦点に。
4コーナー手前では、徐々に各馬の攻防が激しくなる。2番手のワンアンドオンリーが激しく追われると、その外からはサトノノブレス、ラブリーデイも進出。先行勢が火花を散らす。
それらをまとめて飲み込もうとする馬がいた。鞍上の激しいアクションとともに勢いがついたマリアライトである。ドゥラメンテは中団馬群で進路を探していた。
直線、先頭はキタサンブラック。豊富なスタミナと鞍上の完璧なレースコントロールで、余裕を見せながら追い出しに入る。少し離れた2番手集団では、ラブリーデイとステファノスの脚色が良い。ドゥラメンテも外に持ち出されながら末脚が着火。ここから観衆の視線は慌ただしく動くことになる。
粘り込みを図るキタサンブラック、迫りくるドゥラメンテ。2頭の間からはマリアライトも2番手まで順位を上げている。
キタサンブラックが粘り切るか、ドゥラメンテ、あるいはマリアライトが差し切るか──その瞬間、マリアライトがもうひと伸びした。キタサンブラックを差し、ドゥラメンテをおさえ、牝馬が先頭でゴール。衝撃の決着だった。
ファンのざわめきはしばらく止まず、マリアライトの激走を讃える拍手も巻き起こった。クビ差の2着にドゥラメンテ、ハナ差の3着にキタサンブラック。単勝が2,510円に対し、三連複が2,800円と、二強への信頼の厚さがうかがえる配当だった。
父が果たせなかった春古馬三冠へ クロワデュノールが偉業に王手
キタサンブラックはまたしてもドゥラメンテに先着を許したことになるが、さらなるリベンジは叶わなかった。ドゥラメンテが怪我により、競走能力を喪失してしまったのである。キタサンブラックはドゥラメンテという偉大なライバルを失ったが、その後は勝利を重ね、2016年・2017年と年度代表馬に輝いた。さらには2020年に顕彰馬にも選出されている。
ドゥラメンテとキタサンブラック、引退後の種牡馬としての対決は多くのファンの知るところである。ドゥラメンテはタイトルホルダーやリバティアイランド、キタサンブラックはイクイノックスやクロワデュノールらを輩出。奇しくも、両者とも産駒が宝塚記念制覇を果たしている。
マリアライトも繁殖牝馬として、その良血ぶりを発揮。初仔のオーソクレースは菊花賞で3番人気2着となったが、そのタイトルを阻んだのはドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーだった。いつの日か、マリアライトの仔が宝塚記念を制する日がくれば面白い。
さて、キタサンブラックは大阪杯→天皇賞(春)→宝塚記念というローテを2度試している(最初の大阪杯はGⅠ昇格前)。1度目の宝塚記念は牝馬のマリアライトに敗れ、2度目は春古馬三冠もかかっていたが、9着に敗れた。
今回挑戦するクロワデュノールは、父と同じく春古馬三冠を懸けて宝塚記念に臨む。果たして、父が越えられなかった壁を乗り越えることはできるのだろうか──。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はメジロマックイーン、グラスワンダー、ヒシミラクル、アーネストリー。
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