【日本ダービー】武豊騎手とキズナが魅せた大外一気 復活の2013年をプレイバック

皐月賞馬ロゴタイプを抑えて1番人気に支持されたキズナ
今週は日本ダービーが開催される。2010年以降ではドウデュースやコントレイル、ドゥラメンテらが制したレース。今回はそんな中から2013年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。
2013年の日本ダービーは、皐月賞馬ロゴタイプが2番人気という評価となっていた。
ロゴタイプは朝日杯FS、スプリングSを含む3連勝で皐月賞へ参戦。1番人気に支持されると、2着エピファネイアに半馬身差をつけて勝利した。2歳時はマイルを中心に使われていたものの、皐月賞の内容は強く、当然ダービーでも最有力候補の一頭と見られていた。
しかし、そのロゴタイプを抑えて1番人気に支持されたのがキズナだった。ラジオNIKKEI杯を3着、弥生賞を5着と敗れていたが、その後は毎日杯、京都新聞杯を連勝。スケールの大きな走りに加え、「武豊騎手×父ディープインパクト」と組み合わせも後押しとなり、多くのファンの支持を集めた。単勝オッズは2.9倍。ロゴタイプの単勝3.0倍をわずかに上回っていた。
さらに3番人気のエピファネイアをはじめ、コディーノやラブリーデイ、マイネルホウオウなど多彩なメンバーが集結。世代の頂点を決めるに相応しい顔ぶれとなった。
絵に描いたような直線一気
揃ったスタート。2枠3番アポロソニックがスムーズに加速していくが、外からサムソンズプライドが競りかける。ともに逃げて結果を出してきた馬だけに、お互いポジションは譲れない。
一方、武豊騎手はキズナを後方3番手にいれる。ロゴタイプは4番手、エピファネイアは中団付近にポジションを確保。各鞍上の思惑を胸に、2400mの長い旅が始まる。
コーナーワークでアポロソニックが先頭を奪う。直後につけるサムソンズプライドと2頭で、後続を少しずつ引き離していく。
向正面に入ると、ペースを読んだか、メイケイペガスターが鞍上の藤田伸二騎手に促されて外から一気に進出。先頭を奪いきった。各馬の反応は様々で、早めにペースをあげる馬もいれば、じっと構える馬もいた。隊列は間延びし、複雑な展開となっていく。
3コーナー付近では、中団を進んでいたエピファネイアが躓くアクシデント。
あわや転倒、落馬かという場面だったが、鞍上の福永祐一騎手は冷静に対応。何とか立て直し、大事には至らなかった。
一方、キズナは外から少しだけポジションを上げる。しかし、後方にいたテイエムイナズマがさらに外から並びかけてきたことで、キズナは外に1頭置いた難しい形で勝負どころを迎えることになった。武豊騎手はどう捌くのか。
アポロソニックとメイケイペガスターが後続とのリードを保ったまま、レースは最後の直線へ。
武豊騎手は、すぐには全力で追わなかった。他馬がばらけるのを待ち、進路ができると、そのスペースへとキズナを誘導する。
前では先頭へ立つアポロソニックに、好位で構えていたペプチドアマゾン、ロゴタイプが迫る。さらに外からは手ごたえが良いエピファネイア。力強く伸びると、残り100m付近では4頭が横一直線の大激戦となる。
しかし、後方からさらに鋭く伸びてきた馬がいた。キズナだ。大外から一完歩ずつ差を詰めると、先頭へ立っていたエピファネイアをラスト50m過ぎで捉える。そのまま半馬身抜け出し、多くのファンの記憶に残る“大外一気”で日本ダービーを制した。
2着は道中10番手付近を走ったエピファネイア。3着アポロソニック、4着ペプチドアマゾン、5着ロゴタイプはいずれも道中5番手以内を走っていた馬たちであり、レース自体はやや前残りの展開だったといえる。それだけに、キズナとエピファネイアの末脚が際立つ一戦だった。
配当は馬連が970円と、その後の2頭の活躍を考えれば中々オイシイ配当。さらに三連単は、3着に8番人気アポロソニックが粘ったことで54,950円と跳ね上がった。武豊騎手の8年ぶりのダービー制覇に観衆は酔いしれ、惜しみない拍手と「豊コール」を贈った。
別路線組が輝くか
2010年に落馬して長期離脱後、低迷期が続いていた武豊騎手。ダービー後の「僕は帰ってきました」というセリフは、あまりにも有名だ。その言葉通り、武豊騎手は見事に復活。2022年にもドウデュースでダービーを制するなど、今なお日本競馬界を牽引し続けている。
そしてキズナとエピファネイアは、引退後も種牡馬としてライバル関係にある。キズナはジャスティンミラノ、ソングライン、ディープボンドなどを送り出し、一方のエピファネイアもエフフォーリア、ダノンデサイル、デアリングタクトらを輩出。現在もリーディング争いを繰り広げている。
また、2013年のダービーは皐月賞組以外の別路線組が掲示板内に3頭食い込んだ一戦でもある。
今年も別路線組は粒ぞろい。京都新聞杯2着馬ベレシートの戦線離脱は惜しまれるものの、同レース勝ち馬コンジェスタス、青葉賞勝ち馬ゴーイントゥスカイらにも注目が集まる。
奇しくも上記2頭は父がコントレイルであり、キズナ同様にディープインパクトの血を受け継ぐ存在だ。そして、ゴーイントゥスカイの背には武豊騎手。キズナのように大舞台で羽ばたけるだろうか。
キズナ、エピファネイアが争ったダービーのように、先々まで名を刻む名馬たちの戦いに期待したい。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はトウカイテイオー、スペシャルウィーク、オルフェーヴル、ドウデュース。
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