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【日本ダービー】二冠を阻む“10%の壁”  ロブチェン中心は揺るがないが…着順の変化には注意

2026/05/24 18:00
勝木淳
過去10年のデータから見る日本ダービー,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

選び抜かれた18頭に祝意を

今年もいよいよ日本ダービーがやってくる。2023年に生まれたサラブレッドの頂点を決する戦いがひとつの結末を迎える。その勝ち馬になるために。誕生からダービー当日まで関係者とサラブレッドが歩んできた道のりの先に栄光はあるのか。

登録馬は20頭で、除外候補はカフジエメンタールとケントンの2頭。ダービーの馬番は18まで。まずは馬番が与えられた馬と陣営に祝意を送ろう。たった18頭の狭き門を潜るだけでも偉業だ。

18頭の優駿たちによる2分20秒ちょっとのドラマの結末はいかに。ダービーだけは馬券の種類云々ではなく、単勝を当てたい。ダービー馬を当ててはじめて的中したといえるのではないか。ここからは過去10年分のデータを使用し、今年の日本ダービーを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【2-3-2-3】勝率20.0%、複勝率70.0%とまずまずも、2番人気【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%、3番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と推移し、4番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%までは大きな差がない。

最近のダービーは混戦が多く、絶対的な主役がいて、1頭を中心に展開していくという年が少ない。もちろん、衆目一致の抜けた馬がいる年もあるが、上位人気馬たちの差はほぼなく、推理に力が入るケースが増えた。

一方で、10番人気以下は【1-0-2-85】勝率1.1%、複勝率3.4%で、かつてほど伏兵が入り込む可能性は減った。とはいえ、上位人気馬たちに視線が集中すればするほど盲点が生まれるのもダービーというレースの特徴で、その典型が9番人気でダービー馬に輝いたダノンデサイル。皐月賞除外馬の大逆転劇だった。

所属別成績,ⒸSPAIA


2026年GⅠシリーズはヴィクトリアマイル終了時点までで、関東馬5勝、関西馬4勝。条件戦では依然として関西馬が強い傾向があるものの、近年、GⅠでの関東馬の奮闘が際立ってきた。以前はよく使われた西高東低という言葉も耳にしなくなり、関東の躍進は目覚ましい。

そう書きつつも、ダービーは関西馬が圧倒的に強く、栗東【8-4-6-95】勝率7.1%、複勝率15.9%に対し、美浦は【2-6-4-53】勝率3.1%、複勝率18.5%。単勝を狙うという意味では関西馬狙いが常道といえる。

昨年もマスカレードボールが3番人気2着と惜敗。連対、複勝圏内ならば、関東馬も互角なので、馬券を組み立てる上で軽くは扱えないものの、なかなか関西馬の牙城を崩せない。

皐月賞2着以内の重み

この10年、関東馬のダービー馬は17年レイデオロ、23年タスティエーラの2頭。藤沢和雄厩舎、堀宣行厩舎とトップステーブルが並ぶ。

昨年2着マスカレードボールを管理する手塚貴久厩舎は皐月賞2着リアライズシリウス、スプリングSを勝ったアウダーシアの2頭を登録してきた。ダービートレーナーの称号をいつ獲得してもおかしくないトップステーブルであり、今年もチャンスを迎える。

今年の中心はホープフルS、皐月賞を勝ったロブチェンだろう。最大の関心事は皐月賞を逃げ切ったこと。この戦法が東京芝2400mでどう変化するのか。皐月賞はライバルたちがけん制するスキを突いた逃げであり、むしろアドリブのような逃げだった。

前走レース別成績,ⒸSPAIA


ローテーションなど様々な面で形が変わってきた昨今の競馬だが、ダービーは皐月賞が基本という考え方は変わらない。前走皐月賞は【8-10-6-76】勝率8.0%、複勝率24.0%。まずここを入念にチェックしないことにははじまらない。

前走皐月賞・着順別成績,ⒸSPAIA


前走皐月賞の着順内訳を見ていく。皐月賞馬はダービーで【1-4-1-4】勝率10.0%、複勝率60.0%。3着をはずす可能性は低いが、連勝は簡単ではない。1勝は無敗の三冠馬コントレイルによるもので、21年以降の5年間は2、7、2、2、6着。ジオグリフ、ミュージアムマイルが圏外に敗れた。

狙いは2着【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%。その着差が0.2秒以内なら【2-2-1-2】であり、リアライズシリウスの逆転の目はまだある。また3着【1-3-1-4】勝率11.1%、複勝率55.6%、5着【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%など敗れた馬たちも黙っていない。

ライヒスアドラー、フォルテアンジェロの上原佑紀厩舎の2頭は皐月賞で差し届かず3、5着。決め手比べの東京ならひっくり返せるのではないか。

前走皐月賞・上がり600m順位別成績,ⒸSPAIA


オークスは桜花賞上がり上位馬の成績がよく、決め手を問う舞台というデータが残っているが、ダービーはオークスほど強調データになっていない。もちろん、皐月賞上がり最速も【3-1-0-7】勝率27.3%、複勝率36.4%と目立つが、これは上がり最速かつ3着【3-1-0-1】が条件。4着以下は【0-0-0-6】で、最速を記録しても馬券圏内には入れないと厳しい。

逆に上がり6位以下【1-2-3-48】勝率1.9%、複勝率11.1%であっても、2着以内に入っていれば、【1-2-0-1】。イクイノックス、ジャスティンミラノが2着に入り、クロワデュノールが勝利した。

負けた1頭も菊花賞馬タイトルホルダーで、皐月賞で速い上がりを繰り出せずに2着以内に入れるのは名馬の条件ともいえる。ロブチェン、リアライズシリウスはこれに一致する。

皐月賞逃げ先行で1、2着に入ると、【2-5-1-2】と崩れにくい。中山で前に行って粘った事実はダービーでの不安点にあげられる傾向があるが、実際は違う。大切なのは皐月賞で連対圏に入ることで、今年もロブチェン、リアライズシリウスが中心だ。

逃げ先行で1着だと【0-3-0-1】で、2着は【2-2-1-1】。リアライズシリウスの逆転はある。ただし、皐月賞の有力ステップである共同通信杯勝ち馬はダービーとの相性がよくない。エフフォーリアも二冠目を落とした。

1986年以降、共同通信杯を勝ち、ダービー馬に就いたのはダイナガリバー、アイネスフウジン、ナリタブライアン、ジャングルポケットの4頭だけ。特に共同通信杯でスピードを前面に押し出すと危ない。今年のダービーはなにかが起こる予感がする。

過去10年のデータから見る日本ダービー,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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