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【オークス】馬群こじ開けたシンハライトの勝負根性 進路選択が勝敗分けた2016年の2強対決をプレイバック

2026/05/18 17:00
緒方きしん
プレイバック2016年オークス

単勝オッズ1桁台はわずか2頭

今週はオークスが開催される。過去にはブエナビスタやベガ、シーザリオらが制した牝馬クラシック第二戦。今回はそんな中から2016年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。

2016年のオークスは単勝オッズ1桁台の馬が2頭のみ。一方で、単勝オッズ3桁台の馬が5頭という極端なオッズ構成となっていた。

その中心を担ったのが、1番人気シンハライト(単勝2.0倍)と2番人気チェッキーノ(単勝4.0倍)の2頭である。なお、桜花賞馬のジュエラーは中間に左前第1指骨の剥離骨折が判明しレースを回避していた。

シンハライトは桜花賞でジュエラーに約2センチ差の2着。キャリア4戦目で初めての敗北であったが、裏を返せば唯一先着を許したライバル・ジュエラーが不在。ここで主役評価となるのも当然だった。

兄姉にはラジオNIKKEI杯勝ち馬アダムスピーク、マーメイドS勝ち馬リラヴァティと、中距離での活躍馬も多い。距離延長を不安視する声も少なかった。

そこに待ったをかけようというのが、2番人気のチェッキーノである。デビュー戦こそ2着に敗れたものの、そこから未勝利戦→アネモネS→フローラSと3連勝。負けたデビュー戦は1400m戦であり、距離を延ばしながらパフォーマンスを上げてきた。

ここまで全レースで上がり最速を記録している末脚も東京コース向きと見られ、実際にフローラSでは2着に3馬身差をつける圧巻の内容。今回、初対戦となるシンハライトとの力関係に注目が集まっていた。

さらに、フラワーC勝ち馬エンジェルフェイス(3番人気)、桜花賞3着のアットザシーサイド(4番人気)ら素質馬もスタンバイ。二強決着か、それとも波乱か。晴れやかなオークスの舞台に18頭の牝馬が集まった。

馬群をこじ開けて差し切る勝負根性

ゲートが開くと、ダンツペンダントとエンジェルフェイスが良いスタートを切る。逃げて2連勝中のエンジェルフェイスがここでもハナを主張するかと思いきや、ダンツペンダントが先手を主張し、エンジェルフェイスが続く。

一方、シンハライトとチェッキーノは後方集団にいた。特にシンハライトは、後方3番手付近を追走。桜花賞では中団から運んでいただけに、池添謙一騎手がこの位置取りからどうレースを組み立てるのか注目が集まった。

2コーナーに入るころには隊列が長くなり、向正面に入ってもゆったりとした流れのまま睨み合いが続く。シンハライトは少しだけ位置を上げ、チェッキーノと並走する形に。人気の2頭が後方で火花を散らす。

そして最終コーナー、各馬がいよいよ動く。シンハライト、チェッキーノも後方から進出を開始。池添騎手はシンハライトを馬群の真ん中へ。一方、戸崎圭太騎手はチェッキーノを大外へ持ち出すと、勢いよく追い上げていく。

直線序盤ではエンジェルフェイスが先頭に立ち、粘りこみをはかるが、ビッシュら中団の馬たちが徐々に先行勢を飲み込んでいく。それでも人気馬の意地か、エンジェルフェイスは抵抗の姿勢を見せる。

後方からは馬群の中を突くシンハライト、大外を伸びるチェッキーノ。4コーナーでの距離ロスが少ない分か、シンハライトの脚色が目立つ。しかし進路は狭く、抜け出せるのか。

残り200m付近でビッシュが先頭へ。このまま押し切りそうな勢いに見える。一方、進路確保に手間取ったシンハライトを尻目に、チェッキーノが大外から前に迫る。

しかし、シンハライトはわずかな隙間をこじ開けると、凄まじい勢いで伸び、最後はビッシュとチェッキーノをまとめて差し切った。馬群の狭い間へ果敢に飛び込み、それでもなお伸び続けたシンハライトの勝負根性は稀有だったといえる。

なお、池添騎手は直線での斜行により2日間の騎乗停止処分に。まさに紙一重の攻防だった。

2着はクビ差でチェッキーノ、さらに半馬身差の3着には5番人気のビッシュが入った。馬連は420円、三連複は2,070円と、堅実な決着。4着には10番人気ジェラシー、5着には8番人気ペプチドサプルと伏兵勢も健闘したが、最後はビッシュが馬券圏内を守り切った。

オークス母娘制覇の偉業なるか

このレースに出走した牝馬たちは、その後も多くの馬が活躍。改めて素質馬揃いの一戦だったことを感じさせる。

また、優秀な繁殖牝馬も多い。2着チェッキーノは二冠牝馬チェルヴィニアを送り出し、13着に敗れたロッテンマイヤーの仔エンブロイダリーは、先日のヴィクトリアマイルを制してGⅠ3勝目を挙げた。

そして今年のオークスには、シンハライトの仔アランカールが出走を予定。阪神JF、桜花賞ともに5着と、重賞勝ちはないものの、大崩れのない安定感は魅力だ。ここを制してオークス母娘制覇という偉業を成し遂げられるだろうか。大きな期待がかかる。

また、ここを勝てば当時の連対馬2頭の仔がオークスを制覇したことになり、さらに同年オークス出走馬の仔による2週連続GⅠ制覇という珍しい記録も生まれる。果たしてそんなロマンは続くのだろうか──。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はエアグルーヴ、ローブデコルテ、アパパネ、ラヴズオンリーユー。

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