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【青葉賞回顧】本番に繋がるレースを見せたゴーイントゥスカイ ダービーに向けて理想的な成長曲線を描くコントレイル産駒

2026/04/27 10:31
勝木淳
2026年青葉賞、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

後半1600m1分34秒5の深み

ダービートライアル青葉賞はゴーイントゥスカイが制し、重賞初制覇。2着タイダルロック、3着ブラックオリンピアで決着した。

青葉賞に出走した馬たちにとってダービー出走をかけた実質ラストチャンスは、過酷なレースになった。2番人気ノーブルサヴェージは4コーナーで故障発生、競走中止。左第1指関節脱臼で予後不良と診断された。決して慣れてはいけないが、受け入れなくてはならない。

重賞の上位人気馬のインパクトは大きいが、こういった事故はクラスも場所も選ばず発生してしまう。命を懸けて走るサラブレッドの現実と、青葉賞というレースの重さを痛感するできごとだった。

春開催開幕週の東京芝は緑鮮やかな絶好の状態で幕を開けた。当然ながら全体時計は速い。フカフカの芝は走りやすく、負荷をかけずともスピードに乗る。先手を主張した大寒桜賞を勝ったテルヒコウは序盤、ラストスマイルに併せられ、それを振りほどき、中盤以降はヨカオウら先行勢がプレッシャーをかけにきた。

悠々と走られてはダービーの権利を相手に渡すことになる。なにより後ろの有力馬たちより先をいき、物理的な差を味方に粘らないと自分たちにダービーの切符は回ってこない。チャンスは自分で掴みにいかないと手に入らない。先行勢の動きにそう教えられた気がした。

1000m通過1:00.4は馬場を考えると、とりたてて速くはないが、800~1000mは11.9と緩むことなく、その後も12.1-12.0-12.2-12.1と続く。

ペースを落とすことなく1600mを走り切るような競馬だった。後半1600mは1:34.5。2400m戦とは思えぬラップが刻まれ、ここに先行勢の覚悟がみえてくる。

コントレイル産駒の理想

ラスト600m11.7-11.3-11.2で中盤も緩まず、後半で加速ラップを描くという過酷な戦いになった。耐えきれない先行勢が後退していき、唯一伸びる雰囲気をみせたブラックオリンピアが内を立ち回って抜け出すも、ラスト200mで苦しくなり、外からゴーイントゥスカイが伸びた。

後ろからタイダルロックが迫ると、ゴーイントゥスカイは再びファイティングポーズをとるなど2400mを走り切る体力と精神力をみせた。また11.3-11.2を差し切った脚力も際立った。

中団で脚を溜め、あくまで前を射程圏内に入れながら勝負所まで進むという武豊騎手のポジション取りも見事だったが、なによりゴーイントゥスカイの能力が勝利をたぐり寄せた。

いくら理想的な競馬でも最後まで伸びきれないと、東京芝2400mは勝てない。ゴールまで甘くなることなく走りきる力を示した。ダービーに向けてインパクトあるレースだった。

父コントレイルは皐月賞に出走馬を送れず、種牡馬としての評価に疑問符を投げかける向きもあるが、青葉賞に4頭も出走馬を送ったという事実がその特徴を端的に示しているのではないか。

皐月賞に向かうにはマイルから1800m前後のスピード競馬への対応力が欠かせず、さらに2歳から能力を解放できる早めの成長力も問われてくる。コントレイル産駒は総じて距離が延びて成績を上昇させる傾向があり、3歳になってから成長曲線が前をいくトップクラスに追いついてくる。

ダービーに適性とピークを合わせてくる血統のような気がしてならない。ダービーを狙うなら、焦らずにコントレイル産駒。将来、そんな格言が生まれるかもしれない。

ゴーイントゥスカイは2歳10月新馬V、京都2歳Sは距離不足を感じさせる内容で3着。皐月賞出走をかけたきさらぎ賞6着はある意味納得で、そこからダービーに照準を絞ったローテーションが結果に結びついた。

見切りの早さが消耗を抑えたのは語るまでもない。残るは厳しい青葉賞を戦った反動のみ。無事に本番を迎えてほしい。そう祈るのみだ。

成長力を感じる2、3着馬

2着タイダルロックは新馬V以降、3連敗で皐月賞出走を逃したが、ダービーの切符はなんとか手にできた。

母の母ライジングクロスはダービー馬クロワデュノールの母で、牝系の勢いを感じる。母アースライズはフラワーC2着馬で、オークスは4着だった。

アースライズの産駒は母の父マンハッタンカフェの影響を受け、兄ラスカンブレスなど成長曲線が緩やかなタイプが多い。タイダルロックもそのクチで、ようやく噛み合ってきた印象がある。これからもっと強くなりそうだ。

3着ブラックオリンピアは先行勢が末脚をなくす展開のなか、唯一前で踏ん張った。最後は着順を落とさないよう粘るので精一杯だったが、現時点での体力の差というか成長の差のような気もする。 父キタサンブラックらしい成長曲線に期待しよう。いずれ粘りながらも残す脚を繰り出せるようになりそうだ。


2026年青葉賞、レース回顧,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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